第1話 出逢い
「我は傾城の美女なのだぞ? なあ? おい、聞いておるのか?」
どこにでもいそうな男子高校生の自室、そこに全国どこを探しても見つかりそうにない変人がいた。少女の姿をしているそいつは頭に猫耳を、尻にはしっぽを生やしている。
その手術によって手に入れた美貌は――
「違う! 整形じゃない!」
じゃあこの枠線は――
「それは罫線だろう!」
麻痺を伴う副作用――
「ああもうそれはけいせいでも痙性! 我が言っているのは城が傾く傾城だ!」
もはや涙目で俺の腕をつねってくるそれに、傾城の美女などという威厳はどこにもないってか痛い痛い痛い。
「なのに…なのにどうしてこんな仕打ちができるというのか‼」
そいつが俺の腕を離し、ある物をビシっと指差す。それはキャットフード。イッツアキャットフード。
「これはどういうことだ! こんなもの我が食べれるわけなかろう!」
せっかく俺が自腹で買ってきたやった飯だというのに文句を言うどころか暴れだす始末。だから腕をつねるのをやめろそれとなきっ面を近づけるな。全く最初に拾った頃から相も変わらず図々しいことこの上ない。
俺がこの怪奇と遭遇したのは学校から帰っているときのことだった。普段通り一人で家に帰っているとハンドホール――マンホールの一回り小さいやつ――に何かがハマっていた。近づいてみるとそれは頭からすっぽりとハマった猫だとわかって心底呆れた。
まあそれでも見捨てるわけには行かずその猫をむんずと掴んで引っ張ると意外にすぐ抜けて俺は尻もちをついた。すっぽーんと抜けた猫はそのままの勢いで俺の顔に着地。そのせいで俺は地面に倒れてしまう。
俺の顔に着地した猫は状況を理解したのか、少し経つと移動してくれた。俺の腹の方に。しかもその後は俺の体の上でくつろぎ始める。あまりの図々しさにも一回ハンドホールにハメとくかと思ったその時、腹の上の猫がねーこねーこねこ膨らんだ、とへんてこな音を上げながら大きくなっていく。
そして気づけばその猫は猫耳としっぽの生えた人間の少女と姿を変えていた。俺の腹に馬乗りになっているその少女は、驚愕している俺の顔を見ると、
「よくぞ我を助けてくれた。褒めて遣わす」
などと図々しい台詞を吐くものだから思わず両頬を引っ張ってしまった。
その後そいつは呼んでもいないのに俺についてきて、勝手に俺の部屋にまで入ってきた。その上ご飯をやろうというのに文句をつけてくる、傾城の美女(笑)。
「おい今すごい失礼なこと考えなかったかおい」
どうしてこうなってしまったのか。あまりにうるさいそいつの後頭部を掴んでキャットフードに溺れさせながら俺はため息をつくのだった。
どうも、紳士です。
猫が好きです。猫が擬人化して美少女にならないかな〜とか思いながら考えた猫耳少女といちゃいちゃする小説がいつの間にかこんなになっていました。妖怪のせいですね。怖いなあ。
文字数少なめの軽い感じで書いているので軽い感じで読んでいただければ嬉しく存じます。あと誤字報告受け付けているのでもし何かあれば「ここ違うだろベイベー」って感じで報告してください。
続きを書く予定ではありますが、まだ予定は未定です。
それでは。




