第二回、聖女選択開始
その後レクティータさんも現着して遠くからおれたちに会釈をしてきた。
お付きの兵士もついてるようでこちらに近寄れないっぽい。ちょっと寂しいなって思ってたらフェナクがレクティータさんに声をかけに行ってた。
「好感度は順調に上がってるみたいだな」
「街でのイベントはまだのはずよ」
「気品ステ足りてへんからね」
顔を寄せ合ってコソコソと会議をする。男同士だと気まずいのに相手の顔が女の子ってだけで不快感ないのがすごいよね。
フェナクの顔はみえないけど声をかけられたレクティータさんもニコニコしてるし、ヒロインちゃんがおおむね順調そうでとりあえずは安心だ。だけど好感度が高いと結界構築中に“応援”が発生しちゃうよね。
「きみたちは本当に仲が良いな」
こえをかけられて振り向くとレキサ王子が剣を携えて立っていた。挨拶をすると鷹揚に応えてくれるが、眉をよせて困り顔だ。
「レキサ王子、お加減がわるいのですか」
気遣いスキルが女子のみならず周りにも発揮されるタイプのイケメンだった刃丞が王子に声をかけた。すぐに距離をつめて王子の手をとったのは打算が感じられるけど。
「いや、そうではない。ローズマリーとカエノメルは仲が良いことを改めて考えていたのだ」
????
なんでそれが困り顔になるんだろ。よくわかんないからふたりを見守る態度で無難に微笑み返していると、ウィステリア先輩がこそっと囁いてきた。
「嫉妬とちゃう?」
「……あー」
おれの婚約者が親友と仲良すぎてってこと? それなら刃丞が王子にすごい好かれてるって証拠じゃん!
人が集まってきたせいでにわかに騒がしくなった湖畔に白いローブの集団がやってきた。現聖女様たちの到着である。
お供の数もおおく、厳かな雰囲気をかもしだす一行に静まる現場。前回の聖女試験のときにみせた魔力や迫力を間近に見たから、ハチクちゃんなんかは両手を組んで感動のため息をついてる。信者ってこうやって増えるんかなー。
それをものともせずに聖女様はゆっくり小舟に近寄り、注目しているおれたちを見渡した。
「みなさまお集まりください感謝いたします。本日も、あらたな結界のためのご協力をお願いいたしますわ」
聖女様は優しい微笑みで告げ、刃丞とレクティータさんにゆっくり手を差し伸べた。
お供の人に手をかされて小舟に乗り込む三人。揺れるからか刃丞はレクティータさんの手をとって自然と手伝ったりしてた。
ちいさい舟だからそれだけで定員いっぱいってかんじ。
「どなたが漕ぐのかしら?」
ピネちゃんの疑問はみんなの疑問だった。令嬢は舟を漕ぐ人生送ってないからな。
「それでは、あとはよろしくお願いいたします」
ゆらゆらと揺れてる舟に平然と立った聖女様。候補ふたりは座ってしっかり舟のふちを握ってるのに。
聖女様はおれたちに礼をしたあと、ゆっくりと指を組み何かをつぶやいた。すると魔力がふきだし、
「浮いた……!」
「まぁあ!」
ふわーと浮いた舟は摩擦がないように水の上をすべってあっさり小島についたようだった。あっという間に距離をおき小さくなった聖女たち。
「素晴らしい魔力操作ですわね!」
「波動が美しくて感動しますわぁ」
淀みなく使われた魔法に、魔法学校に通うピネちゃんたちが興奮したらしく手近にいたみんなで抱き合った。やっぱり上級クラスの生徒たちだからこういうのに熱心だよね。
そうこうするうちに地面が、そして水面が振動し始めた。結界を壊し始めたのだろう。
周囲の騎士や兵士たちも構えをとる。王子やほかの攻略対象者とおれたちはその外側に配置された。今回の結界の影響はこの大きい湖にあるので、ほとんどのモスンターは湖から発生するらしい。
ピネちゃん、ハチクちゃん、プリュネちゃん、それにウィステリア先輩と顔を見合わせて、力強くうなずき合う。
気合いいれなくちゃな!
小島からの魔力が膨れ上がり、衝撃波のように風が巻き起こった。
遠くで七つ時の鐘がなるのとおなじくして、東の湖の結界が消された。
短くてすみません(´・ω・`)




