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おれの魔法!

すっかり午後の授業も終わったのでサロンからそのままエントランスへむかう。コンシェルジュに手配をお願いしたからメイドちゃんもそっちに待機してるはずだ。


「ローズマリー様、いつから先輩のことあやしいと思ってたのです? 初対面ですよね?」

「サロンで押し倒されてるとき。なんだかあざとかったのよね」

「ああーわかるぅー」


たしかに出来過ぎなくらい“か弱い女の子”って感じだったもんな。先輩はサロンにほかの生徒がきたので自然なふりをして別れてきた。

すれ違う女生徒たちがごきげんようローズマリー様とあいさつしていくのに刃丞は手を振ってこたえてる。中身はまだまだイケメンかよ。


「それに、なんというのかしら……魔力の雰囲気が武藤先輩と似てたの」


えっそれって前世から魔力見えてたってことか?

おまえ、スピリチュアルなやつだったんか……というおれの表情に気づいた刃丞が首を振った。


「ちがうわよ! 言葉にするのってどうも難しいわね」


刃丞がうーんと頬に手をあてて考えてるうちにエントランスに着いた。各家の馬車が何台か停まっていて、侍女や執事に連れられて生徒たちが帰っていく。

刃丞ん家の侍女もすでにスタンバイしてる。


「メル、今日はうちにきまして?」

「んー……やめておきますわ、試験のために練習したいですし。先輩の“おはなし”が聞けるのは明日でしたよね」

「ええ、資料を用意してくださるって。……はぁ、試験ですわね」


あからさまに気落ちした様子で手を胸に持っていくわかりやすい刃丞とじゃあねーと別れて、おれは受付の守衛に名前を告げる。待機所で待ってるメイドちゃんに馬車を連れてきてもらうためだ。

男爵家みたいな地位だと馬車は学校の遠くのほうに停めなきゃいけないから帰るまでに時間かかるんだよねー。


「カエノメルさん」


座って待つかと壁際へいこうとしたら、振り返ると今にも泣きそうなレゴちゃんがいた。


「あっレゴさ、まぁ!?」

「よかった、ご無事でしたのね……! わ、わたくし心配しましたのよ!」


ぎゅうぎゅうと抱きしめてくるレゴちゃん。

涙目だったけど、抱きついた瞬間には号泣していた。


思い返せば、昼休みに不審者追いかけて戻ってこない友人とかそりゃ心配になるよね。ごめんよぅ。


「申し訳ありませんレゴ様! いままでローズマリー様と一緒にいて、事態は解決しましたのっ」

「そ、そうっ、でしたっ、のね……っ」


あわわわわ! ひぐひぐって引きつれるくらい泣いてる女子ってどうしたらいい!?

おデコまで真っ赤にして涙を流してるんだけど、この涙は指で拭っていいやつ? それともイケメンがよくやる口でいくやつ!?


「レゴ様、馬車の用意ができてございます」


気配もなく現れた侍女さんがレゴちゃんの体をそっと離してハンカチーフで涙をふいてやってる。チラッとこちらをみて目礼してきた。


(いや、これは助け舟だ!)


「えと、レゴ様、お迎えがいらしたようなので……」

「ぅ、んくっ、カエノメル様、ほんじつはこ、これで。ごきげんよう」

「はい。また明日」

「っええ!」


去っていくレゴちゃんを見送ってからしばらく後、おれの馬車も到着した。



まず家についたらレゴちゃんの涙でびちゃびちゃになった制服のブラウスをぬいで部屋着に着替えることに。着替えるといっても外に出ても恥ずかしくないぐらいのワンピースだ。

メイドちゃんに手伝ってもらって制服のしたのコルセットを外すと、呼吸のしやすやが段違いによくなる。


(コルセットって体によくないよなー)


はふぅと息を吸って、吐く。

鏡の前で着替えてるから、おっぱいポロンなんだけど自分の身体って萌えないよね。ふしぎ。まぁまぁ大きいと思うんだけどなー。これがヒトサマのおっぱいであったなら……ざんねんだ。


侍女さんがワンピースを選んでくれてる間はヒマなので、両手でおっぱい挟んで「おっぱいビぃーム」とか小声でやって待ってる。


侍女さんによる厳しいチョイスの末、今日は水色のワンピースを着付けてくれた。まぁ裕福な家じゃないからね、そんなに何種類もないよ。でも侍女さんの大事な仕事のひとつだから邪魔はできないんだ。


「カエノメルさま、本日は魔法の練習をなさると伺いましたので災いを退けると言われる水霊のブルーにいたしました」

「はーい、ありがと」


災いって怪我とかかなぁ。

険しい顔の侍女さんとメイドちゃんにその他ヘアスタイルとか化粧とかの身支度を整えられ、オッケーがでたら家の庭にでる。


いちおう男爵家っていう貴族の王都別邸なんだけど、中央から離れた王都の端にあって、いわゆる郊外だから人気もないんだ。


屋敷自体は平屋っぽい造りで、二階がちょこんてあるけど使用人用のフロアだから行ったことない。その代わり庭はでかい。持て余してる気がする程度にはデカい。


「よっしゃ、やるぞ!」


侍女さんとメイドちゃん、あと使用人の男が見守るなかおれは魔力を練り始めた。


あったかいような、ゾワゾワするような感じが手の中でうごめいている。

これがおれの魔力。


指先がしびれてくるようになったところで、


「いけ! 触手ちゃん!」


地面に触れると5メートル先にニュッ!と黒い触手が10本生えた。


「ひっ」

「ヒィ」

「うわぁ…」


「うん! 上出来だわ!」


ピコピコ蠢いているおれの触手。

ツヤもテリも完璧だ。


今日は長さを伸ばす練習しよーっと。








長なった(´・ω・`)

ブクマありがとうございます!うれしーい(^ν^)

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