公爵令嬢の晩餐会
公爵家につくといままで行ったことない待合室に案内された。
ちょっと遅れて着いたつもりだったけど、ちょうどみんなが来る時間だったみたい。ピネちゃんたちもいるし、知らない年上の女性もたくさんいた。
もうすぐ夕方という時間、仲良しのみんなでディナーを食べたりおしゃべりしようっていうのが今回のパーティーらしい。
「ごきげんようピネ様、ハチク様、プリュネ様」
「ごきげんようカエノメルさん。公爵様の晩餐会でお会いするのは初めてですわよね」
「聖夜祭にみなで集まれてうれしいわ」
「もう四人でいないと落ち着かないですわぁ」
ピネちゃんたちがいるあたりへ行くと優しく迎え入れてくれた。みんな冬なのに胸元が強調されたドレス着てて学校で会うのと違う雰囲気だ。日焼けもしてないから白いおっぱいが眩しいぜ、これが眼福というやつか……。
冬休みに入って数日なのに、ほんとにひさしぶりに会う感じでキャラキャラと楽しそうに喋る三人。可愛い女の子たちが仲良いのって見てるだけで癒やされるよね。
「皆様、準備が整いましたのでご案内いたします」
大きいバンケットルームに整然とテーブルが並び、洗練された陶磁器の食器とカトラリー、グラス、細くても美しいラインのキャンドルが飾られて所々に生花が活けられてる。
全体的に白とブルーで統一されて聖夜祭と冬って感じを演出してた。学校でおせわになってるランチの本気版って感じだ。
エスコート相手を紹介してくれて、おれも決められた席に着く。ピネちゃんたちはすぐ近くにいるけど、エスコートしてくれたやつじゃないほうの隣席も見たことない男。さり気なく見渡してみるけどBクラス男子はいないな。
「魔法学校からはあまり来ていない?」
エスコート相手は騎士学校の生徒で同い年の子爵家の息子なんだって。
「どうでしょうか、いるとは思いますがわたくしと同じクラスのものはおりませんの」
「そうなんだ」
「ねえ貴女、お気をつけてあそばせ、彼ったらすぐに女性を口説くのよ」
おれの向かいに座った女の子が話しかけてきた。この子のドレスがすごくて直視できない。まず胸のあき方が普通より一段広い。たぶんだけどすごく凝視したら先端がみえるとおもう。
「こらこら、初対面の女の子になんてことを」
「可愛い女の子が隣のだなんて心配なのよ。あなたは浮気症だから」
「そんなことはないよ」
「んもう、誤魔化されないんだからね」
おい。おれの隣でいちゃつくなよ。あっちいけ。
「……気まずいですね」
ぽそっと隣の男がつぶやいたので頷いておいた。
公爵様の挨拶があって晩餐会が始まった。
美味しい食べ物がたくさんあったので緊張も解けてきてピネちゃんたちと話したり、隣席の男・ジャンニと少し話したりして楽しんだ。
刃丞は公爵たちといるから会えてない。
けど、姿は見えてる。社交がんばってるんだなって感じだ。
おれの視線に気づいたハチクちゃんも刃丞のほうを見て、
「まぁ!ローズマリー様のお席にはバラが飾ってありますのね。真紅でおきれいですわ」
「あら。他の席にはありませんわよね」
「贈り物かしら? 真紅なんて素敵ですわ、憧れますわぁ」
なんだろう。気まずい気持ちだ。あのバラおれが使用人さんを通して渡したやつに似てる。
お相手はだれかでピネちゃんたちはキャッキャとはしゃいでるし。
「……赤バラは真実の愛と意味しますね」
ジャンニがぽそっと呟いたのはおれにしか聞こえなかったと思う。けどそれで十分だった、おれに衝撃をあたえるのには……!
「え、えっ、それって花言葉ですか?」
「……はい。赤バラは愛の花です」
あああー!
やってしまった感じですねこれぇー!
飾られてるのがおれの贈ったものじゃないのを祈りつつ、使用人さんに渡した花はいったん回収したい。無理だろうけど。
あああー……
「添えてあるあのグリーンのおリボンも素敵だわ」
「何か意味があるのかしら」
「聖夜祭といえばブルーかホワイトですよねぇ」
クリスマスだからだ。花束の根本に飾るのに聖夜祭は前世でいうクリスマスだなーっておれが安易に選んだからだ!
(つまり、おれがあげたやつじゃーん!)
姿勢よく座ってたけどもうだめだ。おのれの失態を目の当たりにして耐えられない。
おれは椅子にもたれて目を閉じた。
「……大丈夫ですか?おかげんが?」
「食べ過ぎだだけですので、大丈夫ですわ……」
ジャンニが少し慌てた声色で聞いてくれたが、本当のことなんて言えないよね!恥ずかしい!
「カエノメルさん、大丈夫っ?」
「気をしっかり」
「わたくし気付け薬もってますわぁ」
気づいた三人も心配してくれるのが優しくて泣けた。
実際涙目になりながら大丈夫と応えていたが、しばらくして晩餐会が終わるとかけ寄ってきてくれた。
このあとは女子はサロンに移動だ……刃丞とどういう顔して会えばいいんだ。ずぅんと沈んでいると左右をピネちゃんとハチクちゃんが腕を絡めて支えてくれる。
いまは女の子のやわからさに集中しよう……。
聖夜祭ちょと長なった……
感想、ブクマ、評価ありがとうございます(^ν^)やる気がもりもりでてきます!




