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一年時、冬季試験

前話のタイトルと改行が誤ってたので直しました!すみません!

「ンキャアアアアー! 離しなさい!」 


ラレールさんが黒くて細いものに縛られている。そう、縛っているのはおれの触手ちゃんである。

夏と違うのは少し地面から浮いてる点だ。強度が増したというか魔力の通し方に慣れたからちょっと強くなったんだ。


「カルダモン! 許さなくてよ!」

「無礼だわッ」

「早くラレール様をお離しなさいッ」


あとひとつ。ラレールさんに取り巻きが出来てた。

同じBクラスの女の子なんだけど話したことないふたりだ。たぶんおれが男爵家だから関わる必要ナシって判断してたんだろう。まぁおれもだけど。


「許さなくても無礼でも結構ですわ。ラレール様がレゴ様を二度も泣かせたこと、わたくしも許せませんから」

「それはっ! じ、事故だったのよ!」

「「ちょっといいところ見せたかったのよッ」」


息のあったフォローをする取り巻き。よく訓練されてるな。


今回も実技試験の列で待ちながら、レゴちゃんとお互いの半年の成長を話してキャッキャする → ラレールさんの試験中、風魔法の威力がつよい → 風が撒き散らされる→おれとレゴちゃんのスカートがめくれる → レゴちゃん泣く、の流れでこうなってる。


いいところ見せたい相手ってもしかしてレゴちゃんかな。もちろんレゴちゃんは別室である。


「いいからこの黒いのをほどきなさい!」


ラレールさんが浮きながら睨みつけてくるなか、その周りで取り巻きのふたりがあわあわしてた。触手ちゃんに触るのが嫌らしい。失礼ですな。


「カルダモン嬢、これは?」

「夏季試験の課題だった捕縛後のひとつの可能性です」

「浮かしたの?」

「はい、足が地につかなければ不安定になりますから、脅威が多少減るかと」

「なるほど」


先生がオブジェみたいなラレールさんを見る。


「先生!これは不適切な魔法の使い方ですわ!」

「ラレール様は魔力が多いですが、捕縛後このように混乱させてその魔力の無効化も期待できます」

「そうね」

「さらにこのように……」


ウニュニュ!

触手ちゃんがニュルンと動いて胸元をハート型に、腰はひし形

お尻は三角形が重なった形に飾った。


「可愛らしくもできますの!」


どうやこらー! 可愛くてしかたないやろが!

夏からずっと色変えるのと同時に考えてきたんだ。ついにお披露目できた……感動だ。


「そ、そうね、そう言われると可愛い?かしら」


なぜか先生が目をそらして首をかしげてる。


「魔力操作も完璧ですね、カルダモン嬢は合格とします。プセル嬢は先生とお話しましょう」


先生がぽんと両手を合わせると触手ちゃんたちが消えた。

夏もそうだったけど、こんなに簡単に魔法をキャンセルされるとびっくりする。


「んあっ!?」

「「ラレールさまぁ!」」


むぎゅ! 取り巻きたちが身を呈してラレールさんを受け止めた。スライディングみたいにして下敷きになったからスカートめくれちゃってるけどいいのだろうか……忠誠心はしっかりしてるんだな。



試験も終わり、エントランスにいくと思いがけないふたりがいた。差し込む日差しを背中に浴びて、神々しい雰囲気で仁王立ちをする刃丞と王子だ。


「メル、あの技を教えなさい!」


周囲の引いてる生徒たちをものともせず、ツカツカと刃丞が来る。


「カエノメル、もういちど見たいんだ……!」


王子は王子で立場をわきまえてはいるらしく小声で訴えてきた。でも内容がフェチのそれだな。


「おふたりとも落ち着いてくださいませ……っ」


ふたりが肩を掴んでるんだけどすごい痛い!


「明日!明日よ!」

「私もローズマリーの屋敷へ行く」

「はいっ、約束ですわ!」


婚約者たちがお互いをみて力強く頷いてる。

明日って休みじゃんよ。

おれの返事も聞かずに刃丞と王子はそれぞれの馬車で颯爽と帰って行った。


「カエノメルさん」


呼ばれて振り返るとピネちゃんたちが揃って立っていた。

あわてて挨拶しようとするのを制してピネちゃんが一歩前に出てくる。


「カエノメルさん、ローズマリー様をよろしく頼みましたわ」

「え」

「あんなにはしゃいでるローズマリー様をはじめて見ました」

「わたくしたち話し合って、カエノメルさんを一のお付と認めようと決めたのですわぁ」


同じ年のはずなんだけど、幼子にむけるように微笑む三人。

ピネちゃんがおれの手をとり、それをハチクちゃんとプリュネちゃんが包むように手を重ねてくる。


「カエノメルさんが彼の方たちとどのような関係になっても、わたくしたちは理解いたしますからね」


代表してピネちゃんが伝えてくれたが、いったいどんな関係を想像してるんだ……。

不安になりつつもおれにはこう答えるしかなかった。


「ありがとうございます、みなさま」

ブクマと評価ありがとうございます(^ν^)感想もくれると嬉しいです!ください!

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