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悪役の悪事

「相手を憎まず正々堂々と勝負なさるのですね。さすがローズマリー様ですわ」

「ほんとうに! お互い切磋琢磨せよとのことでしょう……お志が高いのですね」

「わたくしも見習わなくてはなりませんわぁ」


いつものガゼボ。いつものランチメンバー。

みんな朝のロビーの事件を知っているらしく口々に誉めるのを

刃丞は優雅に紅茶を飲みながらこたえてる。

だけど左手はがっつり自分のおっぱいに置いてるあたり動揺が隠しきれてない。


(これはもー協力は期待できないな)


悪役令嬢の悪事には取り巻きの三人が協力して行われるものも多いらしい。でもこの、


「聖女様の候補ですものね」

「お心から清らかなのですわね」

「素晴らしいですわぁ」


さすマリ状態(さすがですローズマリー様)では言い出しづらいのは解る。


「みんな、ありがとう」


ひきつった笑顔で微笑む刃丞をうっとり見つめる三人に混じっておれもそれを眺めておいた。



放課後、公爵家のサロン。

ここにくるのも随分ひさしぶりな感じがする。


「むぅりぃー! どうしてこうなりましたの!?」


穏やかな日差しのサロンで公爵令嬢がソファに伏せって喚いていた。


「まぁ、よく考えたら女の子いじめるって無理だよなー」

「でしょうっ? 可哀想よ!」


前世から優しいもんな、おまえ。

体をおこしてティーテーブルに肘をついて頭をかかえる刃丞。

おれは刃丞が持っている資料を読み込んでいるが、解決法が思い浮かばない。


「辞退したらどうなんだろな」

「国への忠誠を疑われるわ。なによりお父様に殺される」

「おお……幽閉と追放にくわえて殺害エンディングが」

「いらない隠しエンディング……!!」


ぐぅぅーとか呻いた刃丞がティーカップに入ったレモンをスプーンでつつき回し始めた。やばい。


「大丈夫だ! とりまき三人の協力は得られないだろうけど、その分おれが手伝うから!」

「つぎの『いじわる・教科書がない編』はどうするのBクラスのメルメルちゃん」

「うぐ……っ」


そう。ゲーム1年生秋の悪役令嬢イベントはヒロインの教科書を隠すやつで終わりだ。

つぎは冬季試験のときに転入したてでステータス不足のヒロインを成績を理由に見下すイベント。一ヶ月半ないくらいだな。


「……冬季試験までに成績を爆アゲはどうか?」

「うわぁあん! ごめんなさぁい!」


情緒不安定か。


「仕方ない。近々のイベントは捨てようぜ」

「よろしいの?」

「その代わり、王子の攻略を進めろ」

「……そうなるのね」


そう。幽閉も追放も殺害も、国への反逆疑惑も回避するには“ローズマリー”が婚約者のレキサ王子と結婚すればいいのだ。

今のうちに王子の好感度をあげておくのは無駄じゃないはず。


「そして同時にヒロインが王子とイベントを起こすのを避ける」


そのためには多少の理不尽もガマンしてもらおう、ヒロインにも、刃丞にも。


「お父様には王子とは距離をおけと遠回しに言われたけれど、遠回しだもの。無視するわ」


ぐ、と拳を握る。

今世での刃丞の父親は公爵家当主だけあってうちみたいに甘い人物じゃないんだろうな。


「あんまり気張りすぎるなよ。もし追放されたら、おれんちに来れるように布石打ったから。そしたら一緒に田舎で暮らそーぜ」

「……ふふっ。それも楽しそうね」


やっと息を吐いた親友におれもちょっとホッとした。



数日後。

いつものランチに異変がおきた。


「なるほど。カエノメルは肉をよく食べるのだな」


ガゼボにはいつものメンバーに加えてレキサ王子がいた。


「はい。ローズマリー様のところのハムは極上ですから、力に直結してる気持ちになります」

「力に……筋肉がつくのだな! であるなら女性はもっと肉を食べねばならんな」


刃丞が王子の好感度をあげるべく早速行動にうつし、王子をランチに誘ったのだ。


「レキサ王子、ローズマリー様も最近はスクワットなどもして鍛えていらっしゃるのです」

「スクワットとはなんだ」

「少々お耳をよろしいでしょうか…………下半身、主にお尻を鍛える運動ですわ」

「なんだと……!!」


ぐりん!と刃丞を振り返り、まじまじと下半身をみる尻フェチ王子。素直な反応だけど女性にその感じはだめじゃない?


とりまきの三人娘は王子がいることに既にうっとりしてランチすらおぼつかない状態だからセーフのようなものだよね。


刃丞は刃丞で見られてることに慣れてるから平然としてるし、なんだったら尻を少し王子に傾けてアピールしてるくらいだ。

大丈夫かな?逆セクハラじゃないか?


「うむむ……」


王子もうむむじゃない。

なんだこの空間は。


とにかく、こうしておれたちは全力をつくした。

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