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お昼休みの恋バナ

学校内のひときわ豪華なガゼボ(東屋)でランチ。


「まぁ! きょうもステキですわね!」

「このキレイな絵付け、もしかして隣国のではございません?」

「このチキン、レモンの香りがさわやかですわぁ〜」


取り巻きの女子がキャッキャしてる。


丸テーブルにはクロス敷かれてシルバーの食器がセットされてる。いつもちがう花が活けられてるし、椅子には干したてフカフカのクッションが人数分おいてあって、ランチのメニューも見た目にも華やかで豪華。味もおいしい。


これをだいたいローズマリーの家がやってくれて、昼飯をご馳走になっちゃえる。取り巻きの特権なのだ。


いつもランチに出るメンバーは刃丞とおれ、あとSクラスとAクラスの貴族の三人の女の子。


昼休みは各家からメイドさんと侍女も学内に入ってきて給仕してくれるから、正直実家より贅沢なお昼だ。


おれん家そんなに余裕ないからメイドちゃんひとりしか付いてないし、他の子みたいに「スコーンを用意させましたの」「うちの領地の自慢のデザートを……」とか出来ない。二度言うが余裕がないからな!


おれの後ろに立って所在なさげな我が家のメイドちゃん。紅茶を一口飲むとその分すぐ注ぎ足してくれる。

わかるよ、やることないもんね。格上ばかりの家のメイドさんに囲まれてるから緊張するしね。ごめんよ毎日公爵家ランチに参加して……だってごはん、うまいんだ!


(そのぶんがんばって紅茶飲むから!)


膀胱の限界まで飲むからお茶を注ぐ仕事に専念するといいよ!


「メルはご機嫌そうね」


スコーンにハム乗せて食べてたら刃丞から話しかけられた。


「あら、カエノメルさんはいつもご機嫌ですのに?」

「なにかあったのかしら」

「もしかして……恋でもなさったのかしら!」


キャッキャ!


キラキラした目でみてくる3人娘。前世非モテとしてはたじろぐけど、いまはおにゃのこだからね!おれも!


「いいえ。じつはクラスの方といっそう仲良くなれましたの。それがうれしくて顔にでたのかもしれませんわ」


ホホホとお嬢様風に微笑む。どうや、15年鍛えたスマイルは!


「あらーそうでしたのー」


スキャンダルでなくて微妙に興味を失ったらしい3人。


「恋といえばローズマリー様は? さきほどレキサ王子とお話されてましたよねっ」

「美男美女でわたくしたち、憧れていますのっ」


レキサ王子っていうのはこの国の第二王子で、刃丞の婚約者で同い年。記憶の戻った6歳のときにはすでにそういう方向で話が進んでたらしい。もちろん本人の意思じゃくて、家同士のお話ね。


この話するときの刃丞がめっちゃ面白かった。前世思い出したら王子の嫁決定とか悪夢だもんな。精神安定のためか刃丞は話しながら自分のおっぱい揉んでて、「あ、ほんとに嫌なんだな」って理解した。


「ええ、前回のお茶会のことでお話を。我が家でお出ししたフルーツについて聞かれたのですわ」

「まあっ!」

「婚約者とお茶会なんてステキですわ」

「ああん、ロマンチックですわねぇ」

「ソウデスワネ」


うっとりする3人と刃丞の棒読みの落差よ。


「はふぅ……そうですわローズマリー様、わたくしの持ってきたスコーン召し上がってみてくださいません?」

「ええ、いただくわ」


人の恋バナ?にうっとりしてた3人娘のうち赤い髪の子ピネちゃんがもじもじしてスコーンを勧めた。刃丞がちいさくちぎって一口食べるのをかたずを飲むように見てる。


「……うん、ピネさんのスコーンとってもおいしいですわ」

「ほんとうですか!」


ポッと頬を赤くしてうれしそうなピネちゃん。


「ふふっなにかワケがありそうですわね?」


刃丞がピネちゃんの手を握って悪戯っこみたいな目でつめよる。ほかのふたりも興味津々だ。


おれといえば親友の手の早さ(物理)に引いていた。なんだあいつ。ナチュラルに女子の手を握ってやがる…!


「夏休暇にわたくし主催でお茶会をすることになりましたの。そのときスコーンをお出ししようと思っていて……」

「まぁっ お誘いするなかに気になる御方がいらっしゃるのね!」


緑髪のハチクちゃんが自分のことのように真っ赤になった。


「ピネさんの恋はきっとうまくいきますわ」


チュッ


(は?)


は?え!? いま刃丞がピネちゃんのほっぺにキキキキ……ちゅーしたけど!? 事案ですよ!!


「きゃあっローズマリー様ったら!」

「おまじないですわ」

「ああんっ素敵ですぅ」


キャッキャ!

ピネちゃんも気にしてないようで「わたくし、がんばりますわっ」とか言ってる。


(えええ〜ずるいしぃ〜!)


そんなんオッケーならおれもレゴちゃんにチュッチュチュッチュしたかった。刃丞のやろー元はモテイケメンだったからな。くそが!!


「夏のお茶会の成功、お祈りしてますわね」


ちょっと得したな〜ぐらいのテンションなのが憎い。慣れてやがる。女子との接触に余裕な態度がむかつくぜ!


「でもその前に定期試験がありますわねー」

「はう!?」


ムギュっと自分のおっぱいを握る刃丞にすこし溜飲がさがった。

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