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目撃!やっちゃうやつ

家に帰り湯船を用意してもらう。一人用のちっちゃい猫脚お風呂だ。

洗浄魔法のある世界で、お風呂に浸かるのは趣味扱い。我が家はおれの記憶がもどってから三ヶ月後ぐらいに作ってもらった。不思議なんだけど、浄化魔法しててもお風呂ないとなんか気持ち悪いし体が怠くなるのな。前世ですごい風呂が好き!ってわけじゃなかったんだけどなー。


湯から足をあげて上に伸ばす。

うむ。毛もないすべらかな足だ。


「お嬢様、力加減はいかがでしょうか」

「だいじょーぶー」


メイドちゃんがすぐそばにスタンバイしてて、言えば体と頭を洗ってくれる。体は洗ってもらったので、いまは湯に肩まで浸かったまま頭を洗ってもらってるんだけど最高に気持ち良い。

我が家では体も髪も石鹸を使うから頭キッシキシになるのが難点。最後にオイル塗ってやっとどうにかなる。


面倒ってわかっててもお風呂は入っちゃうんだよねー。


全裸にガウンを着せてもらって部屋へ戻ると侍女のダンドワさんがトレイ片手に寄ってきた。


「お嬢様、旦那様にお手紙を書かれてはいかがでしょうか」

「そうね、いろいろあったもんねー」


テーブルにつめたいドリンクと一緒にレターセットを置いてくれたので、アイスティーを一口飲んでからおれはペンを手にとった。




翌日の学校はいつも通りというか、とくになにも聞かされてないっぽいのかな? 静かなものだった。

ウワサの人物になっちゃうかな!?って少し早く登校したのなー。甲斐なしなのである。


そしてふと思い立って裏庭を通って教室に行くことにした。

あの子に会えたらラッキーくらいの気持ちで、でも内心かなりの期待をして。


「あらーニャンちゃんいたのーおはようだねぇー?」


かくして期待は応えられた!

あの! グレーの美猫ちゃんとの再会が叶えられたのだ。


「食べる? 鹿のお肉しゅきかな?」

「……おい」


すぐさましゃがみ込んで、あれから制服の胸ポケットに仕込んでおいた乾燥鹿肉(無添加)を猫ちゃんに差し出す。

地面に一粒おくと咥えてベンチの下に潜り込んで食べてるっぽい。口元がムニムニ動いてるのかわいい。


「おい」

「うんうん、よく噛んでねー」


いやーこれはずっと眺めていられる。


「おいっ、おれの足元でぼんやりするな!」

「大声やめてくださいませ。猫ちゃんがびっくりするでしょう。ねーやだねー?」

「ぐ……っ」


ベンチに座っていた先客、いつかの不良がおれに声をかけてくるが重要な話じゃないっぽいので猫ちゃんからは目を離さない。一秒でも長くみていたい!


胸ポケットからもう一粒鹿肉を出してあげると、警戒心が少しとけたのか指先から咥えてベンチ下へ持ってった。


「ふぁー慣れたのかなー」


感動だ……!

もっと居たかったけどそろそろ授業が始まるから行かなくてはならん。

よいせ、と立ち上がりオレンジ髪の不良の顔を改めてみた。お、なんか今日は前髪右ワケだな。


「髪型かえました? お似合いですわ」

「……おまえに関係ないだろ」

「左様ですわね。では、またね」


鹿肉に夢中の猫ちゃんに挨拶をして教室へ歩く。

また……!? とか不良が呟いてるけど、おれとしては猫ちゃんの好物を考えることのほうが重要だ。つぎは魚肉にしようかな。



一年生の学棟ロビーに立ち入ると人だかりが出来ていた。

なんだなんだ、モメゴトかね? おれにも見せてごらんよ!


生徒たちをかき分けて中心地を見ると、刃丞とレクティータさん、ふたりの聖女候補が対峙していた。


「あなたの髪型、上質なオイルつかってるのね。シルクのようじゃなくて?」

「は、はい。お家のメイドさんが持ってきてくれて……」

「ポニーテールなのね、手触りも良さそうだわ」

「は、はい……」

「お肌のきれいさも相まってよくお似合いよ」

「あっありがとうございます……!」


何だマジで。

ロビーのど真ん中で刃丞がレクティータさんを誉めまくってる。それを遠目に囲む生徒たちが人だかりになってる。

意味がわからない。


「あら……!」


刃丞とばっちり目があった。レクティータさんに挨拶するとツカツカと近づいてくる。

周りの生徒はすこしザワザワっとして距離を開けた。


「ごきげんようローズマリー様」

「ごきげんようメル」


ニッコニコの刃丞が抱きしめてきた。

そして例のごとく耳元で伝えてくる。


「どう!? やってやったわ!」

「あん?」

「悪役よ、あくやく!」


………?


「威圧してみたの!」


ああーなるほどー???

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