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おれたちの考えたさいきょうの真理

「ひさしぶりね、メル。こっちへいらっしゃい」


にこやかだが目が笑ってない。追い詰められてるなー。

はいと返事をして近寄るとぎゅうっと抱きしめられた。


「オイ……!なんっ」

「やばいやばいやばいやばい幽閉される聖女ダメやばい」

「イタタタダダッ」


肩に顔を埋めた刃丞が全力で訴えてくる。

理性は残ってるらしく小声なのでピネちゃんたちは微笑ましげがにこちらをみてるが、しがみつかれた指の力がはんぱない! 微笑みかえせない!


「これから聖女争いの発表があって、学生のうちに決着をつけるらしいの。それで決まったら幽閉生活……!」

「なんだよそれ」

「お父様のやる気がすっごい、きっとわたくしは勝たされるわ」

「お、おう」

「ムリムリムリ! 中身わたくしよ!?」

「いぃぃてぇー……!」


背中に指が食い込んでめちゃくちゃ痛い。筋肉引きちぎる気かよ!?

ぐいーっと肩を押してなんとか遠ざけたけど、なんて顔してるんだよ絶望を前に出しすぎてる。気合いをいれるのに一度深呼吸をしてから刃丞の顔を改めてみる。おれはしっかり目を見て頷いてみせた。


「大丈夫ですわ」


おれがついてるからな! なんとか方法ひねりだそうぜ!



初めて入ったお城の広間は広かいうえに内装がすごかった。柱に魔力クリスタルとか使ってるレベル。夏にきたダンスホールって質素なほうだったんだなと理解した。

メインのところからすこし横、広間の西側におれたちは立たされていた。

対岸には白いドレスを着たレクティータさんとたぶんチャービル伯爵がいる。


(おれの場違い感がすごい)


広間には貴族たちが老若男女集まっていて、大貴族みたいな人もいる。テーブルはなくて給仕がドリンクを配ったり回収してるが、みなさん飲むようすはあまりなく、興味深げにおれたちをみていた。


刃丞はさすが公爵令嬢、堂々と立っている。

ピネちゃんたちも顔を少しうつむけて微動だにしない。こういうのに慣れてるのかなー。


間もなく部屋の横の扉から豪華な服のおじさんが入ってくると、貴族たちは音もなく頭を下げた。ピネちゃんたちも最敬礼

をしたのでおれも空気を読んで頭を下げた。


「頭をあげよ」


大勢の身じろぐ気配におれも身を起こす。

………え、王冠かぶっていらっしゃるんだけど。


(王様やーん!!)


まじかよ。いって大臣ぐらいの話かと思ったら王様じゃん!

田舎貴族だから生で見るのはじめてだ……姿絵より太っとるな。


生でしかも近距離でみる国のトップに驚いてるうちに、刃丞とレクティータさんが王様の御前へ呼ばれてた。


「此度、まことに喜ばしいことに新しい聖女候補があらわれた。現在の聖女も在位50年をむかえこの新しい聖女候補に譲位する意向だそうだ。

余は、この聖女候補が魔法学生を卒業した際に、どちらかをこの国の新しい聖女としようとおもう。

これは大事である。みなのものの助力を期待している」


おおー、なんか喋り方が重々しくて王様っぽい。

そのあとも色々喋ってたけど、最前列にいた刃丞のおとうさんが周りの貴族と満足そうに頷いているのが気になった。刃丞が言うとおり、かなりやる気になってるな。



その後、おれたちが紹介されるということもなく解散となった。まぁいちいち言わなくてもローズマリー陣営で侍女予定ってのはわかるんだろう。


はじめに案内された控え室へ。

ピネちゃんたち三人は王様のお言葉か、聖女候補決定にか興奮してるようで小声ではあるがお互いに頑張りましょうとか言い合ってた。

部屋に着くとおれはさり気なく刃丞のとなりへ行き声をかける。


「ローズマリー様、お疲れ様でした。公爵様も張り切っておられましたね」

「ええ……困ったわ」

「ローズマリー様なら必ずや選ばれますわ」

「ええ、わたくしたちもお手伝いいたします」


しょんぼりした刃丞にピネちゃんとハチクちゃんが励ましの言葉をくれる。いい友達だよな。


「方法は思いつきまして?」

「まったく。けれど、やる気は見せなくてはね」


はぁ、とため息をつく。


「お疲れですわね。すぐに紅茶をご用意しますわぁ」

「でしたら、わたくしはローズマリーのお手を揉みますわね」


プリュネちゃんがお茶の用意をメイドに言いに行ってくれるのに便乗して、おれは刃丞の真横に陣取る。刃丞が手を差し出すのを擦るようにした。


「ちょっと考えたんだけど、このままでいいんじゃないか?」

「……どういうこと?」

「いやさ、ゲームってか正史ではヒロインに決まるじゃん」


聖女になるのはヒロインだろ。


「………たしかに!」

「その通りに動けば聖女は回避じゃね?」

「そうね、つまりわたくしが“悪役令嬢”をまっとうすれば」

「選ばれるのは、」


おれたちは目をみあわせて頷いた。


「どうぞぉ」


ティーセットを用意させたプリュネちゃんたちが席につき一息つく。

ピネちゃんたちがちょっと心配そうに刃丞をみてる。


テーブルをみわたし、ひとりひとりの目を見つめる刃丞。

ゆっくりと紅茶を一口のんで、そして言った。


「みなさん、わたくし頑張りますわね」

すごく深夜でごめんなさい……

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