おれも遭遇イベント
はぁー。
次のイベントからはおれも傍にいる!と宣言したそばから、クラスか違うから課外授業付いていけないという現実ね。
午前の授業終わってすぐに担任の先生に直訴しに行ったんだけど、
「Sクラスの実力だからダンジョンに行けるのよ。Bクラスの生徒では自分どころか、ほかの生徒を危険に晒すかもしれないわ。したがってカルダモン嬢、許可はだせません」
先生がストレートに正論言ってきて何も言えなかったよね。
(いやー申しわけねぇなー……)
親友のピンチに手助けできそうにない。
いつものランチをとるためガゼボにむかうが、なんか方法はないかと模索しながらなので人通りのない校舎裏を歩いてると、先の曲がり角から人の気配がした。
「これでもう大丈夫です。……あっお昼はじまっちゃう。食堂って結構混むんですよね、お昼なくなっちゃうと困るから私もう行きますね」
「……ああ」
軽やかな女の子の声と立ち去る足音。
ほほう、こんなほかに人気もないところで男女がふたりきりなど逢引の現場ですかな?
(どの世界にも恋愛が充実しちゃうやつっているんだなー、その顔見せてみろ!)
コソッと角から顔を出すと木陰のベンチに座って自分の指先を見つめる不良がいた。いや、初めて見る男を不良って判じていいんかわからんけど、イケメンだけど目つき鋭いし、制服着崩してたりして見た目がもう不良なんだ。
「……あ? なんだテメェ」
すごい。不良がこっちに秒で気づいて威嚇してきた。
しかし慌てる必要などない! なぜならこの世界でおれは貴族の令嬢。そのご令嬢を、しかも貴族の多い学内でボコボコにするヤツなどいないはずだ。
そう考えると前世の男でいたときのほうが危険度は高かったな。
「ただの通りすがりですわ。中庭に行きたいのですが、通ってもよろしいでしょうか?」
心に余裕のあるおれはしずしずと前に出てかるく膝を曲げて挨拶をする。
このときちょっと微笑むのがコツである。どや?可憐やろ?
「……好きにしろ」
おれの令嬢スマイルに興味ない目でみたあげく顎をしゃくって行けといってくる。これだから不良は!
あれ、でもこいつこんな無愛想なのに彼女いるの? 世の中不条理すぎない?
内心でブーイング送りながら歩きだそうとしたとき、不良の座るベンチの下でモゾッと動く小さい影が。
「ニャーン……」
「はひゃー! かわいい!」
猫ちゃんやんけ!
目を凝らすとベンチの下にグレーの色した猫が一匹こちらを見てた。警戒してるのか声は小さい。
「どちたんー? そんなとこでニャーンしてんのー」
「お、おい」
しゃがんでベンチの下を覗き込むと猫ちゃんがこちらを伺い、それからそろ……っと歩いてきた。
「ふあーちょっとこわいのねー、そうですかー」
成猫になって間もないくらいかな。好奇心のほうが勝るらしくおれを気にして寄ってくるが、いま一歩出ずに不良の足にくっついてる。可愛いくてニコニコしちゃうよね!
拳をそっと差し出すと身を乗り出してくる。
「おいっ引っかかれるぞ!」
「大丈夫でちゅよねー。ねー?」
フスフスとおれの手を嗅ぐと、ベンチの下から出て来てするりとおれの足に体を擦りつけてきたのでそうっと撫でてやる。
「……すごいな。おれでも撫でさせてくれるのは稀なのに」
「ふぁーそうなのー、なでなでやなのー」
おれんちは今世含めてペット飼ったことないんだけど、前世で刃丞んちにいた猫がすごく懐っこくてなつかしくなる。
ピク、となにかに反応した猫ちゃんはおもむろに立ち上がるとどこかへ歩いていってしまった。
「飼い猫ですか?」
「……いや、ここに住み着いた野良だろ」
「そうなんですか」
なかなか良い美猫であったな。
「またここに来たらあえますか?」
猫ちゃんがここにいるなら刃丞連れてきてやろう。
さきに猫ちゃんと知り合いだったろう不良の顔を見てきいてやる。
「っ!? ………来るつもりか」
「ええ、ダメでしょうか? どなたかと会います?」
あー逢引場だっりほかの不良が集まったりするんかな。それならトラブルに巻きこまれるのは嫌だから諦めるが。
「べつに……好きにしろ、普段はおれしかいねぇ」
「はぁ」
予想外の一言を足したわりに目をそらして無愛想に返事する不良。制服のネクタイの色が一年のそれだから同級生なんだろな。
「それでは、わたくしは行きますわね。お邪魔いたしましたわ」
ふたたび膝を曲げて辞去するがこちらを見ようともしない。なんなんだ不良ってむずかしいな。思春期か?
まぁいまはとにかくランチに急がなくちゃいかん。
思わぬ時間を過ごしたからメインディッシュなくなっちゃってるかもしれないからな!
翔義は動物をひらすら甘やかすタイプ( ^ν^)
ブクマと感想、評価ありがとうございます( ^ν^)!




