好感度は常に変動
怪鳥見学っていう楽しい行事ができたところで、現実に立ち返った。対策が思いつかないから先延ばしにしてたヒロインの相手をどうするかという問題だ。
まずはレゴちゃんに頼んで好感度の調査だ。
恒例の礼拝堂でレゴちゃんと密会です。
「カエノメルさん、今日の結果は少々複雑ですわ」
ベンチに座って書類をまとめてたレゴちゃんが難しい顔をしてる。持ってる書類もいつもより量がある気がする。
フェナクと別れたのが影響してんのかな。
「フェナク様とは元のようにご友人になられましたし、各家のほうでも問題視はしてないようですわ。もちろん社交界での噂はあったようですが、両家が手を回して終息させましたの」
「そうですか……」
貴族らしい対応だな。
「それで……あの、カエノメルさんにお伺いしたいことがございますの。その答え次第で情報をまとめ直さなければ、正確なことが見えてこなくて……。心苦しいのですが答えてくださいますか」
ほんとうに申し訳なさそうだ。レゴちゃんからの疑問ならぜんぜん良いけどね!
「かまいませんわ!何でも聞いてください!」
「それでは、えぇと……カエノメルさん、お家で重要なお話があったりしませんでしたか」
「いいえ?なにもないですよ」
「なるほど。ローズマリー様からレキサ王子とのことでお話は?」
「王子のことでですか?」
……ま、まさかお忍びのことがバレたんじゃ?どうする!あれがバレるのは王家にとってマイナスだよな。でも変にごまかすのもレゴちゃんの調査力を考えるとこわいな。
「えー……ご趣味のことなどを話しました」
「ご趣味ですか。……うぅん、ならあれはただの噂ですね……ありがとうございます。これで情報が繋がりそうですわ!」
「? お役に立てたなら良かったです」
レゴちゃんは書類をペラペラと捲ってしばし考えてたけど、納得がいったらしく顔をあげて満面の笑みを向けてくれた。つられておれもニッコリ。
「お待たせしました。では、現在の交友関係がどのような状態かお話しますね」
「お願いします!」
「まずはレクティータ様のことですね」
緊張するぜ。レクティータさんが誰と仲良いかが、いまいちばん重要だもんな。手元の書類をみてるレゴちゃんの言葉を待つ。
「レキサ王子とは相変わらず親交は深めておいでです」
うー!そっかあ。聖女選択では刃丞有利そうだったけど、レクティータさんと王子の仲良し度は上がってんのか。フラグおりきれてないっぽい。
「変わったことといえば、去年からは後輩のジンドールさんと一緒にランチを過ごしているようです。また街でヴェガ様のお手当をしてる姿が目撃されてますね。フェナク様はただのご友人といった関係です」
ジンドールくんいい感じなのか。ヴェガの手当てっていうのは、たぶんヴェガルートのイベントだな。『スラムの子どもをかばったヒロインを守るためにヴェガが負傷する』ってなんか映画でありそうな展開のイベントだ。
ヴェガルートも着々と進んでるてたんか。
「つぎにレキサ王子ですが、ローズマリー様とは仲睦まじくお過ごしですね」
っしゃあ! レクティータさんのときより評価良さそう!
「それからカエノメルさん、あなたとも仲が良いと噂がでてましたがやっぱりウワサはウワサ、ですね!」
「もしかして、それって私が貴族の男を狙ってるという例の……」
「お気に病むことはないですわ!カエノメルさんは。そんなことする方ではありませんものっ。ただ、その……少々まわりの方々の動きが活発でして」
「動きですか?」
「はい。けれど、わたくしが勝手に深読みしてしまったのですわ。気にしすぎでしたね」
な、なんだろう、レゴちゃんがおれを気にしてくれてるって。率直にいうと嬉しい。えへへ。
「ローズマリー様とレクティータ様のことは以上ですわ」
「ありがとうございました!」
たくさん調べてくれたんだな。たくさんある資料の半分は読まれない情報で、きっとウワサとか偽情報とか、いろいろあんだろう。レゴちゃんには感謝しかないぜ。
おれは心から礼を言って、まだ礼拝堂にいるというレゴちゃんと別れた。
方針が見えてきそうで気分があがってたおれは、レゴちゃんが難しい顔をしてるのに気づかなかった。
ちょっと短めですすみません!
ちなみにレゴちゃんの調査対象からシフリールは外れたようです。
ブクマ、評価ありがとうございます(^ν^)!




