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波乱の予感

あのあと試験はなにごともなく進み、レゴちゃんの水魔法も“良”の評価をもらえてニコニコしてエントランスで別れた。


「メル! なんですのあれなんですのあれ!」

「おごバア!?」


ガッ!と後ろから羽交い締めにされ、そのまますごい力で後ろに引きずられて行かれる。


「ちょ、ちょちょローズマリー様!? なんなん!?」

「いいから乗って! 早く早く早く早く!! あなたはメルの家にわたくしの家に行くことを伝えてきて!」


はい、といつでも冷静な刃丞ん家のメイドが一礼して受付に向かうのが見えたときには既に馬車に乗らされていた。


扉が閉められたと思ったらすぐに刃丞が壁ドンしてくる。


「さっきのなんですの!どうやってやった、つかやってやってやって!エーロイ!!あれ見たい!ですわ!」

「近ぇー!!」


両手で顔面をぐいーっと力いっぱい押し返す。いくら美少女でも中身が刃丞だから近いとうざい。


「お嬢様、席におかけください」


こちらもいつでも冷静すぎる刃丞の侍女さんが、刃丞の腹に腕を回して強引に座らせた。公爵令嬢の口からぐえーとかリアルな呻き声が口から漏れてたけど、助かったから気にしない。


「あんな魔法みたことないわ! やり方教えて!」


すぐに立ち直って、しかし行儀よく座ってたまま訴えてくる。すごい、さすが教育が行き届いてる。


「お嬢様、お声が大きゅうございます」

「大きくもなるわよ! 理想の魔法を目撃したのよ!? ボイーンでバイーンでギュウー!なのよ!?」

「申し訳ございません、なにをおっしゃっているかわかりかねます」

「くぅぅっロマン! ロマンが爆発しちゃうのこの感じ伝わらないかしらー! ねぇっメル!」


拳をぶんぶん振って同意を求められるが、おれはそっちの属性なかったみたいでそんなに興奮しなかったんだよな。

長さをだすために細くなるのは触手ちゃんに求める進化ではないし。


「そろそろ到着でございます。すぐサロンへ向かいますか?」

「ええもちろんよ! メル、じっくり聞かせてもらいますからね!」


目をキラキラさせる令嬢をのせた公爵家の馬車は、その豪華さに見合うお屋敷に入っていったのだった。




「ああーなるほど……思ったよりぜんぜん痛くないわね。姿見もう少しこちらに傾けて」


数日がんばった結果、どうしてか細長くすることに成功して触手ちゃんはいま、おれと刃丞の体をそれぞれ縛りつけていた。


「おーたしかに痛くないな。しかもこれすごいおっぱい強調されるな」


現在、大きめな鏡を見ながらどのように縛ったらよりエロいかを研究中である。もちろん人払いはしてある。知的で優雅な言い訳が思いつかないし、第三者からみたら前世とおなじく変態と思われてしまうかもしれん。

しかし自ら縛られてみたらなかなか奥深い。


「うーん……わたくしも翔義も細身だからインパクトに欠けるわねー」

「それなー」

「わたくしは翔義よりお尻大きいじゃない? これを上手く使えないかしら」


尻か……。

こっちに向けてくる刃丞の尻をじっくりみる。細いウエストと太ももからはアンバランスにみえる大きめなお尻。カーブがしっかりわかるくらい丸いし、肉も乗って重そうだ。


「とりあえずTバックかな?」

「そうね、定番だしやってみて」


シュルシュル! 触手ちゃんが刃丞のお尻に沿って這いまわりTバックパンツの形になった。


「うーん……」

「いまいち……」


主観を抜きにしてもあんまり萌えない。


「あ、尻肉をぎゅって……こうするのは?」


触手ちゃんをふたつの丘を分けるようにまるく這わす。


「お、おお! なかなかよろしくてよ!」

「こうか! 正解みつけたな!」

「気を抜かないでっまだまだ発展はあるはずだわ! がんばりましょう」

「ええ!」

「じゃあ、つぎは」


「なにをしているんだ………」


興奮しておれたちは気づかなかった。

レキサ王子がだいぶ前からサロンの扉をノックしていたことに。

業を煮やした王子が扉を開けてしまったことに。


そして、おれの尻をガン見していたことにも。

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