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魔法使いさんと妖精さんと  作者: otsk
第1章:魔法使いさんと旅の方々
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それ食べるんですか?

 食用の魚を取ろうとしていたところ上流から青い鳥が流れてきました。

 これを捕まえてハイ終わりというわけではないが、弱ってはいるが死んではないようなので、ひとまず温めてやることにした。


「現実は非情ですね〜使えないと分かったらすぐに食されてしまうのですよ」


「人聞き悪いことを言うな!まだ生きてるよ。羽濡れてるから乾かしがてら温めてやらないと」


「……火、強くしますか?」


「魚焦げるから今のままでいいわ。俺はタオル持ってくるからちょっと見ててやってくれ」


「はーい」


 しかしながら拾ってきたものの回復するのかどうかは分からない。このまま衰弱してしまう可能性もないわけではないし。

 そもそもどこから来たのだろうか。


「なんか変わりはあるか?」


「精々濡れたところが乾いたぐらいですね。ルピナスにくるんで温めてます」


「ルピナスを便利な暖房器具みたいに言うなよ……」


 確かに火に近づけっぱなしは危ないし、ルピナスならなんとなく温かそうだし。


「あと……」


 とりあえず持ってきたタオルにくるんで再びルピナスのところに戻してやる。

 シオンが何か言いたげなので、そっちの方に顔を向けた。


「どうやら怪我をしてるみたいですね。おそらく猟師かなんかに撃たれて川へ墜落したのではないでしょうか?」


「怪我?」


 内臓器官が撃たれたのであればこんな小さな体ではひとたまりもないだろう。

 ならば、足か翼か。

 足を見ても特に問題はなさそうだし、翼が撃ち抜かれた様子もない。

 おそらくはかすった程度かもしれない。上を飛んでいては狙い撃たれると予感して川へと自ら飛び込んだ可能性も考えられるか。


「あ、ここだな」


 少し、羽が縮れている部分があった。


「消毒薬と……あと包帯持ってくるか」


「なんでもあるな」


「自然元素を使った魔法は使えるが、残念ながら治癒魔法はなんてものはないからな。怪我をしたら自分で治さないといけない。現に医者だっているからな。そんな魔法がまかり通ってるなら医者は廃業だ」


「それもそうだな。……」


 ルピナスはまだ何か言いたそうにしていたが、怪我の治療の方が先決なので、治療をしながら聞くことにした。


「なんか言いたそうだったけど、何かあったか?」


「……その魔法には第五の元素、エーテルというものがあるらしいな。もしかしたら、そのエーテルがお前が望む魔法かもしれないな」


「いわゆる治癒魔法?」


「とも限りませんよ」


 暇を持て余してたのかシオンが横から割って入ってきた。まあ、自分の分野であるのでここで登場しなかったらどこでその頭使うんだといつレベルだし。


「なんか失礼なこと考えてませんか?別に魔法の話しに来たわけじゃないです。魚焼けたので持ってきました」


「お前の分ないぞ」


「がーん。……そうでした……」


 シオンの視線は目下治療中の青い鳥に向けられている。


「食べちゃダメですか?」


「お前が一番血も涙もねえな⁉︎」


「流石の私もそれぐらい弁えますよ。いざとなればルピナスを食べます」


「……たぶん、お前が食われる側だろうな」


 魔法を使えるとはいえ、そんな小さな体ではルピナスに襲われたらひとたまりもないだろう。


「そんな与太話はどうでもいいわ。シオンはエーテルについて何か知ってることがあるのか?」


「噂話程度のことしか知らないというのは前にも言ったことがあると思いますけど、まあ、光、だとか、存在しない物質だとか、少なくとも回復だとか治癒だとか人に関与するものではなかった気がします」


「存在しない物質……?」


「科学で解明できないようなおよそ見たことのない物質のことです。話ではどうやら人に害を及ぶすようですけど」


「……魔法はさ、便利なもんだよ」


「そうですね」


「でも、使い方を間違えれば人を傷つけるかもしれないし、物を壊してしまうかもしれない」


「何か言いたいことがあるんですか?」


「エーテルがさ、人を傷つけるだけのものとは到底思えないなって」


「……使い方次第ですよ。それは凶器にもなりますし、誰かを助けるものになるかもしれません。……まあ、精々アルスさんは使い方を間違えないようにしてくださいね」


 パタパタと手当てをしている青い鳥の翼とは全く違う、まるで昆虫のような、それでも透明で綺麗な羽を羽ばたかせて、シオンは焚き火の方へと戻っていった。

 手渡された魚を見る。きっと何も味付けもせず持ってきたのだろう。


「ルピナス、こいつちょっと面倒見ててくれ」


「どこに行く?」


「さすがに飯抜きじゃかわいそうだからな。半分分けてくるわ」


「……つくづくお前も甘いな」


「あとでビービー騒がれるより何倍もマシだ」


「それもそうだ」


 青い鳥を預かってもらい、シオンのところへ焼き魚を持っていった。

 まずは回復を待つばかりだが、あの青い鳥はこれからどこかへ飛び立つことができるのだろうか。

 ……しばらく世話をすることになりそうだ。名前をつけてやろう。そうすりゃ、さすがに食べようとか言い出すアホ妖精もでないはずだ。

 少しでも可愛がってくれるといいんだが。

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