第1話[ ベットが消えた ]
寒っっ!
冬の朝とはいえ寒すぎないか・・・?
なんか体もバキバキだし。
まだ寝たい。
・・・眩しいなあもう。
せっかく二度寝したのに、眩しさからすぐに起きてしまった。
目を開かなくても僕の家じゃないのはすぐにわかった。
異様な雰囲気。花や木々の香り。
ほんのりと温かい風が体に触れる。
でもあまりの眩しさに目を開けられない。
「え?…なんで…」
少しずつ、少しずつ、目を開いたらそこは高原だった。
白い花がぽつぽつ咲いて、青白くて高い山々が連なっている。
以前修学旅行で北海道の放牧場に行ったけど、
そんなのよりずっと・・・。
久々に良い夢になりそうだ。
ここのところよく眠れなかったから。
とりあえず探索をしてみることにした。
田舎育ちだから昔から冒険は大好きだ。
友達と山に遊びにいってよく怒られていた。
街とかあるのかな。
綺麗なところだけれどここには何もない。
とりあえず街に行こうと思った。
高原の坂は急でさすがに直感でも危ないってわかる。
夢だって怖い思いはしたくない。
森から下ることにした。
痛ッ。うぅぅ・・・。
石で滑って尻もちをついた。
最初はこの夢にワクワクしたけど、
森の中は整備されてなくて危なっかしいし。
もうめんどくさくなってきた。
早く夢終わらないかなー。
夢は全然終わらない。
止まっていてもつまらないし、仕方ないから森を進む。
お腹が空いた。寒い。眠い。
結局夜になっても森の中だった。
眠いけどこんなところで眠れるか。僕は夜行バスで寝れないタイプなんだ。
そう思っていたのにあまりの疲れから倒れるように寝てしまった。
あれ?
夜行バスなんて乗ったことあったっけ。
まあ、いいか。
ぐぅぅ。
日は昇りかけ。空腹で目が覚めた。
なんで夢の中なのにこんな辛い思いをしなきゃいけないんだ。
夢じゃないのか・・・?
そう思うと震えが止まらなくなった。
この震えは寒さだけじゃない。
心がなくなったような感覚。
引きこもりが外に出る辛さはどこからくるのでしょうか。
外から逃げて内にこもっているから外が怖いものとしているのでしょうか。
次回はついに街に到着します。