日記2
あの人のことが好き。
日に焼けた肌に森の木々のような瞳。
優しそうなあの目で見つめられるとなんだか体の奥が熱くなって変な気分になる。
どうしてこんな風に思うようになってしまったんだろう。
あの人にとって私はただの知り合いなだけなのに。
初めは年上だから優しいのだと思っていたけど、それだけじゃない。
あの人は本当に優しい人なんだ。
そう思ったのはつい最近。
でももうすぐあの人はいなくなる。
もう二度と会えないかもしれない。
そんなの嫌。
でも、心の中でほっとしている自分もいる。
だってこのまま気持ちを伝えずただ挨拶をするだけの関係が続くなんて地獄だ。
会うたびに自分の心に気づかされる。
どうしてこんな恋をしてしまうのだろう。
どうして絶対に叶わない思いを抱いてしまったの?
もっと美しければよかったのに。
そうしたらアールのように結婚できたのかもしれないのに。
この不健康な肌の色と地味な瞳の色が大嫌い。
綺麗になりたい。
綺麗になったらなんでもできるのに。
私がアールみたいな美人だったら、今すぐにでもあの人に想いを伝えているのに。
アールが言ってた。
自分に自信のない子は他人につけこまれやすいし、騙されやすいって。
でも私はほんと目立たないからそういう対象にすらならない。
ある意味安全かもしれないけどつまらない。
誰か私のことを人として認めてくれる人っているんだろうか。
アールは一応友達だったけど、いつも怒られてばかりいたから対等な友人関係じゃなかったような気がする。
でもアールは結婚して、今は幸せなんだろうな。
友達の幸せを素直に喜ばない人間になりたくない。
もう連絡は取れなくなっちゃったけど、楽しい思い出をアールはいっぱいくれた。
だからどこかで楽しく暮らしてくれれば、それでいい。