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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

クラスの人たちと一緒に、異世界召喚~私一人で帰ります? 編~

続きはありません。


最近、どこぞの小説サイトで『クラス全員で異世界召喚』という小説を読みました。

まさか、自分の身にそんなことが起こるとは思わずに。

こんなことなら、もっとあの小説を真面目に読んでおけばよかった!


私は、異世界による拉致監禁誘拐そして強制労働を強要する世界で『無能力者』と判断された平凡な女子高生です。

他の皆はあるのに、私だけない。

本当に、あの小説を真面目に読みこんでおけばよかった。


やはり、異世界召喚における大定番をやらかす奴がいました。

クラスの中で、イケメンで女子に人気のある日野孝史君です。

問答無用に、異世界を跨いだ拉致監禁誘拐、そして殺しという名の強制労働させる国の王様の言葉「現在、この国は他種族からの侵攻を受けて危機にある。どうか、この人間界を救って欲しい」というのを信じて、「俺たちがこの国を救います!なあ、みんな」と言って勝手に同意しました。

救いようのないお花畑思考ですね。

私は時期を見て、逃げる決意をしました。

無能力者で『男の子』なら問答無用で追い出されるのですが、『女の子』な私は追い出されることはありませんでした。

言葉は異世界補正があるので問題ないのですが、文字をある程度覚えたところで私は城から逃げ出した。

途中で警備の人たちに遭遇したのですが、問答無用にボコった上で気絶させたので、問題なく城から出れました。

余計なお世話でしょうが、この程度の警備で他種族の世界から攻め込まれないのが不思議です。

きっとなにか仕掛けがあるに違いありません。


私は、廣瀬和泉。

廣瀬家は、少々特殊で幼い頃から様々な格闘・サバイバル技術などを徹底的に仕込まれます。

どんなところに行っても生き残れるようにと。

お祖母様によると、他家に比べて我が家の異世界への誘拐率は高いのだとか。

ちなみに私は、中学二年の頃に厨二病を発病して魔術が使えるようになりました。

パリー・ポッタリーのように、杖を振るって呪文を唱えて魔法を使うのではありませんので、『魔術』と表現をしています。


城から脱出して森の中に入った頃、隣国へ行くまでの道で、盗賊(ニセモノ)に襲われている商人一行を見つけました。

なぜ、盗賊の格好をしているのにニセモノだと見分けられたかと言いますと、王城内で見かけた近衛騎士たちが商人の乗った馬車を襲っていたからです。

商人の護衛は善戦しているようですが、いかんせん近衛騎士相手です。

分が悪すぎます。

ただ、物語ではないのでイレギュラーが存在するというもの。

私は使い慣れた釘バットを両手で握りしめて、近衛騎士たちを殴り倒しました。

途中、命乞いをするようなセリフを聞いたけど、私に気付いたようなので無視して釘バットで殴り続けました。

釘バットで殴り続けたのは、主に綺麗な顔したお顔。

近衛騎士たちは、元の世界でイケメンと呼ばれるたぐいの人しかいませんでした。

近衛騎士隊長がいなかったので、あとで様子を探りに来ると予想をつけて、証拠隠滅を兼ねてあえて顔をメインに殴り続けたのです。

これなら、すぐに近衛騎士隊長が自分が商人を暗殺するために送り込んだ部下だと気付かないですよね?

きっと、無能力者である私が犯人だと彼らが主張しても、王城内の人たち、元クラスの人たちは信じないでしょう。

散々、人を馬鹿にしてきた人たちなのですから。

この恨み、晴らさでおくべきか!


結果的に、商人から感謝をされました。

商人一行も、自分たちを襲ってきたのは盗賊ではなく近衛騎士たちだと気付いていたようです。

実はこの商人一行。

人間界を見限って、魔界に行こうとしていたのです。

なんでも、私をこの世界に拉致監禁誘拐した犯人たちは、あらゆる不正を行い、国民たちを苦しめているのだとか。

この商人は、この世界のあらゆる国から信頼を得ていて、もしこの商人が他界に行くとしたら、人間界にとって大きな損失。

人間界の王様は、道中に盗賊に襲われたことにしてしまえば問題ないとして、近衛騎士たちに直々に任命して商人一行を暗殺しようとしていたわけです。


襲い来る近衛騎士たちを叩きのめして潰しながら、着いた魔界。

もちろん、ちゃんと近衛騎士たちを二度と刃向わないように教育をしました。

本当にちゃんと、心を叩き潰したんですよ?

粉々になるくらい。

二度と立ち直れないくらい。


魔王城で商人一行と私を出迎えたのは魔王様です。

私は、魔王様を見て膝から崩れ落ちました。

そこにいたのは、すべての可愛さを兼ね備えたスーパーロリっ子だからです。

商人は、「その気持ち分かるぞ」と私の肩を叩いて目線で伝えてきました。

なぜ、人間界の王はこの方を『悪』だと言ったのでしょう?

可愛さに負けたからか?

自分の娘よりも、可愛いからか?

すると、商人は魔王様にここまで来た経緯を話しだしました。

魔王様とその他の方たちは商人の話を聞いて、呆れて人間界の王への怒りをあらわにしました

なんでも、この世界の物資の流通や豊かさはこの商人の尽力があってこそだからです。

それも、見限られたからと言って容易に暗殺を命令する人間界の王は何をしようとしたのか分かっていない。

ちなみに、この商人はジャスティ・インテリジティー。

商人の話を聞き終えた魔王様は私に、

「お主のステータスを見てもよいか?」

「人間界では、『無能力者』と判断されたので面白くないと思うのですが」

「インテリジティ―商人が言うには、お主の活躍があったからこそ、ここまでこれたと言っている。なら、確かめたいと思うのが筋じゃろ」

「なら、いいですよ」

「いいのか?そんなにあっさり決めてしまって」

「はい」

「そうか、ステータスオープン......これはっ!?」

「どうかしたのですか?」

「お主、異世界から誘拐されたのか?」

「はい」

「そうか...廣瀬一族の者だったとはな。通りで、無能力者と判断されるはずだ。あの一族は、他の異世界召喚された奴らと違って『異世界能力補正』というものが必要ないからな」

「そうだったんですか?」

「うむ。そうじゃ。祖父や祖母から聞いておらんのか?」

「見知らぬ土地で、生き抜ける訓練を小さい頃からしているくらいですね」

「鬼か!お主の一族は」

「当り前だと思っていたんですけどね...」

私は一族総出のスパルタ教育を思い出し、遠い目をしました。


お花畑思考の勇者一行が、人間界以外を荒らしながら魔界に向かっているという情報を得ました。

か弱い子どもたち・女性たち・老人たちを傷つけ時には人質にしながら、自分たちより強い者を殺す。

そして、彼らが守っている世界を破壊する。

同じ世界の住人としては、アイツらは別次元の生き物で私と同類ではないと主張したい!!

街を荒しながら魔王城まで来たお花畑勇者一行は、魔王様に狙いを定めた。

私が他種族の王様たちやその他の者たちが、それを見てキレる。

異世界能力補正?そんな物、今の私たちには関係ない。

異世界能力補正と言っても、ちゃんと訓練して得たものではない。

反則技で得た力。

自分で体得した物にした上で、使ってはいない。

つまり、根本的な意味で『自分自身の能力ではない』のです。

敢えて言うなら、『紛い物の力』。

そんな物に私たちが、負けるはずがない。


私はそんなことを考えながら、お花畑勇者一行を愛用の釘バットで殴り続けました。

いやー、考え事しながらでも体に染みついた行動は簡単にできるものなのですね。

あの、地獄の特訓が無駄にならずによかったです。

気が付いたら、私はお花畑勇者一行の親玉の倒れた勇者の背中の上に乗って仁王立ちしていました。

すると何を思ったのか勇者は突然おかしなことを言ってきました。

「廣瀬さん、無事でよかった。人間界の王様から、廣瀬さんは魔王に誘拐されているって聞かされたんだ。助けに来たから、安心していい。さあ、今すぐ一緒に魔王を倒そう!」

馬鹿が馬鹿なことを言った瞬間、この広間にいる私を含めた者たちがお花畑勇者一行いに対して、殺気を滾らせた。

それと同時に、私は足で広間の床(大理石)に勇者の顔を力の限りめり込ませました。

元クラスの人たちの中の一部の女子たちが悲鳴を上げて、煩いです。

何かもう一つ足りないと思い、勇者に釘バットを全力で振りおろそうとしたところ、なぜか周りから全力で止められました。

私が疑問に思って周りを見ると、私の下の床(大理石)を指差されました。

そこにはなんと、全身が血塗れになっている勇者様と元クラスの人たちが...!

意識が戻ると他種族よりも、私と距離を取る元クラスの人たち。

いい感じに血塗れになった釘バットが原因でしょうか?

気が済んだので、そろそろ元の世界に帰らないと。

彼らにやり返さないと、未練が残って気持ちが消化できないですよね?

彼らが指一本動かせないことをいいことに、

「魔王様ー、私そろそろ元の世界に戻ります♪」

「ああ、確か奴らから嫌がらせされたから、それをやり返したら帰ると言っておったの。じゃが、こ奴らはここにいても邪魔なだけじゃ。どうするのじゃ?」

「この世界の人間界に、強制送還します」

「おっ、それはいいな」

私は詠唱なしで魔方陣を出現させ、彼らを人間界の王城に強制転移させました。

彼らよりも、良心がある私は『強制服従回避の魔術』をかけてあげました。

これで、人間界の王様に術で奴隷にされずに済むでしょう。

その間、彼らは何か言っていたのですが興味がないので聞き流しました。

きっと、何も大したことは言っていないでしょう。絶対に!

次に、私は元の世界に戻るための魔方陣を展開させ

「魔王様、皆様、お世話になりました」

「うむ、元気でな」


私は誘拐されたその日の同時刻に教室に戻りました。

そして、すぐに食堂に向かいました。

別のクラスの友人と昼食を取るためです。

教室に戻ると、誰もいない教室で慌てている先生がいました。

私にどうなっているのか先生が訊いてきたのですが、「今まで食堂にいましたけど?」というと先生は慌てて職員室に行きました。

大人しく、優等生をしてよかったです。

それにしても、現代日本で役に立たない魔術を使えたことを今まで感謝した日がありませんでした。

これからは、魔術を使えることに感謝したいと思います。



そして、異世界に誘拐された元クラスの人たちはこの世界に戻って来ることはなかったようです。

私はというと、普通なら先生たちや警察の人たちに元クラスの人たちがいなくて私だけ残っていることに追及されるところなのですが、その時間に食堂にいたということで『アリバイあり。この神隠しのようなことに無関係だ』と判断されて必要以上に追及されませんでした。

・主人公は普段、魔術を使う時には雰囲気重視で詠唱呪文を唱えます。

・主人公が、日野孝史を途中から「勇者」といっているのは名前を忘れたからです。

・異世界では、異世界から拉致した子どもを元の世界に返す方法は存在しません。

主人公は魔術を使えるため、元の世界に戻ることができました。



読んでくださり、ありがとうございます。

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