青空
なぜだろう
こんな風に穏やかに晴れた日には
意味もなく泣きたくなる
悲しいことなど何もないのに
差す様な鋭い日差しではなく
風は柔らかく
近くの公園で遊ぶ子供の声
時折 車が通り過ぎる音
ただそれだけなのに
意味もなく泣きたくなる
どこかへ帰りたくなってしまう
ここより他に
帰る場所などないのに
誰かが待っているわけでもないのに
静かな水面に石を投じたように
心に円を描いて波が広がる
その波が何なのか
投じられた石は何だったのか
考えたところで
答の与えられることもなく
生まれた波を鎮める術も知らず
帰る場所がないなら
いっそ消えてしまいたくなる
跡形もなく
塵ひとつさえ私の証を残すことなく
窓の外にはただ鮮やかな青空
私の心があそこへ届くことはないだろう
こんな風に穏やかに晴れた日には
自分がここに在る意味をうたがってしまう