表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

君のいない理由 4

 茶色ぶちねこはゆっくりと立ち上がり、ゆらゆらとした足取りで、灰色ぶちねこの元へ行こうと歩き出しました。


 けれどそこにはもう、灰色ぶちねこはいませんでした。

 いるのは、赤色ねこだけでした。


 茶色ぶちねこは赤色ねこのそばに寄り、「あー」と一つ鳴きました。けれども赤色ねこは何も返事をしてくれません。


「あー」もう一つ茶色ぶちねこは鳴きました。けれどもやっぱり、赤色ねこは何も言ってくれません。


アスファルトをどうしようもなく愛してしまったかのように、道路を抱くようにしてべったりと横になっています。


 赤色ねこは灰色ぶちねこなのかもしれません。そして、そうではないのかもしれません。

 茶色ぶちねこよりもアスファルト道路を愛してしまったのかもしれません。そして、そうではないのかもしれません。


 茶色ぶちねこは赤色ねこが起き上がるまで待っていました。ずっと待っていました。ずっとずっと待っていました。

 けれども赤色ねこは起き上がりませんでした。


 やがて空がまでもが赤い衣を纏うころになると、赤色ねこは人間の手によってきれいに消されてしまいました。


 そして、そこでは何事も起きなかった、最初から猫も猛獣も何も存在していなかったかのように、グレーのアスファルト道路と茶色ぶちねこだけが残りました。


 その日から、灰色ぶちねこが茶色ぶちねこの目の前に現れることは、二度とありませんでした。




 それから毎晩、丘の上から一匹の猫の歌が、街に響き渡るようになりました。


 それは、何もない日はもちろん、空の泣いた日もため息をついた日も。「あー」と一つ鳴いたあと、まるで、もう一つの声が猫には聞こえているかのように、「あー、あー」と、一拍、一拍おいて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ