肝試し
「ねえ、お兄ちゃん」
「――――」
「暑くないの?」
「――――」
「え? 飴くれるの?」
「――――」
「ありがとう!」
「――――」
「……ねえー、何か喋ってよー!」
「――――」
「何だよ、死んでるからって無視しなくてもいいじゃんかー!」
「――――」
「ちぇっ、飴は貰うからね! ばいばいお兄ちゃん!」
それが、『生者』としての最後の言葉だった。
「ねー、今日の夜肝試ししない?」
「ん、あ。戸野か、って肝試し? 今夜?」
「そ! 翔谷と正人と美子は参加決定してるよ!」
「んぁー、どうすっかなあ。今日見たいテレビあんだよな」
「録画すれば?」
「おぉ、そっか」
「……貴祐って何処か抜けてるよねー」
「うっせ」
「で? 参加すんの?」
「へいへいすりゃ良いんでしょ?」
「それでよし!」
―そして夜―
貴祐「ほー、結構雰囲気有るな」
翔谷「だなあ」
貴祐「……おい、遥。こっち来いよ。お前が誘ったんだぞ?」
遥「う、うっさいなあ。ちょっと怖いからここで精神統一してんの!」
正人「ほーれ早くしないと置いてくぞー」
美子「そうだよ遥ちゃーん!」
遥「うえぇっ!? 美子までー!」
翔谷「とりあえずアイツは置いて行くで良いか?」
正人・美子「異議無し!」
遥「そんなぁ!」
貴祐「いや駄目だろJK」
遥「貴祐よく言ったあ! とりあえず今そっち行くよー!」
貴祐「へいへい」
安純「本当に煩いねえ」
貴祐「っぶふう!?」
翔谷「おお!?」
正人「わあ!?」
美子・遥「っっぴゃあ!?」
貴祐「おん前なあ、人前で出るなっつたろーが。とりあえずお前肝試し禁止」
安純「いやんラヴラヴの癖に~」
貴祐「アホか。あとお前ラヴ禁止」
翔谷「ちょ、お前これ何だ!?」
貴祐「あ? ……あ~。話せば短いんだがな?」
正人「なら話せよ」
貴祐「何か何時の間にかとり憑かれてた。以上」
遥「QEDが早いよ!」
美子「おー、幽霊居たよ」
安純「ほお、まさか普通に認める奴がこの時代に居るとはな」
美子「んー、別に居たっていいしな。と」
安純「ははっ! 成程ねえ」
貴祐「とりあえずお前はここで待ってろ。……あ、先生かなんか来たら教えてくれや」
安純「はいはい」
そして、俺達は『彼』に逢ったのだ。
長い、永い物語の始まり。
次話はキャラと一緒にキャラ説明です。