日本一の山
日本一高い山は富士山(標高:3776m(2024年の衛星測量では3776.56m))なのは異論はないと思います。
※あくまで令和7年(2025年)現在の話であり、かつて日本領だった台湾島の最高峰の新高山(玉山(ユイシャン)標高3952m)というのは無しでお願いします。
しかし、日本一低い山はどうでしょうか?
“日本一低い山はどこか”というのは中々難しいのです。
そもそも『山』とは何なのでしょうか。
『周囲よりも高く盛り上がった地形や場所』
『丘陵や台地よりも周囲との相対的高度差(比高)や起伏が大きいもの』
『平地と比べて傾斜した地形から成るもの』
辞書的な山はこういう感じとは思いますが、どの程度、周囲との標高の違いや傾斜角があれば『山』なのかは諸説あるでしょう。
公園の砂場で子供が造った砂山も山と言い張れるかもしれませんが、これを「地図上の山」と言っていいのかは疑問があるというか、ほとんどの人は違うと思われるかと。
また、海底火山の噴火で海面上に僅かに頂上がでてきた場合に、これを山と言っていいのかという話もありますし、中には海水面上昇などで海面下に沈んだ山もありますが、これはどうなるのかという疑問もでてきます。
それになにより、明確な基準を設けると、多くの人が『山』と思っていて“○○山”と呼んでいる地形が『山ではなくなる』おそれもありますし、逆に多くの人が『山ではない』と思っている地形が『山にされる』事も起きえます。
現状で山と思われている地形を全て満たした上で、現状で山とは思われていない地形は一切満たさないという基準を定めることは事実上不可能だと思われます。
そういうこともあってか、国土地理院では『山』の定義を定めていません。
つまり『山』というのは『多くの人が山と呼ぶから山』というフワッとしたものです。
日本一高い山は日本の国土の中での最高標高点なので出せますが、低いとなると何をもって山なのかによって変わってくることもあり、現状では国土地理院は日本一低い山については『ノーコメント』となっています。
※平成3年(1991年)に国土地理院の地形図に山の名前の記載がある山の中で低い山ランキングみたいな物を調査して発表した事はありますが、それはあくまで『国土地理院の地形図に山の名前が記載されている山の中で一番低い』であって“日本で一番低い山”というのは山の定義が何かに左右されます。
そういう事なので『日本一低い山』を標榜している山は私が知る限りでは5座あります。
大潟富士
日和山
天保山
蘇鉄山
弁天山
この5座を全て登頂してきました。
何れも登頂証明書をもらえます。
※費用などは何れも平成7年(2025年)現在
では順々に日本一低い山をご案内します。
●大潟富士
秋田県南秋田郡大潟村方上
海抜:0m (比高は 3776mm との事)
・日本一低い根拠
国土地理院の地形図に山の形であり名称が載っている中で一番低い。
・概要
大潟村は村域全てが八郎潟の干拓地で地盤が粘土質なので重い物を載せると不等沈下するので、山体は発泡スチロールで造ってその上を土で覆った物です。
比高(麓から山頂までの高さ)が富士山の千分の一で山頂が海抜ゼロメートルになるように造っている事から丸わかりでしょうが、日本一低い山と名乗るために造ったような山(?)です。
国土地理院に「『大潟富士』という“山の名前”」を地形図に掲載するよう要望しているようですが、国土地理院は地形図に山の名前ではなく『立体物の名称』として「大潟富士」と記載しています。
・アクセス
正式な駐車場かは不明ですが、車を止めるスペースはあります。
JR奥羽本線の八郎潟駅から車で10分とかJR男鹿線の船越駅から車で20分といった感じで公共交通機関でのアクセスは基本的に厳しい場所にあります。
・登頂証明書(証明書自体は無料)
大潟富士から車で10分ぐらいのところにある『道の駅おおがた』にある『大潟村干拓博物館(入館料大人300円・小中高校生100円)』の正面入口を入ったところにある案内窓口に申し出れば貰えます。
入館料を払わずに貰えるかは……ごめんなさい。分かりません。
・その他
大潟村にはもう一つ北緯40度・東経140度の経緯度交会点があります。
大潟富士はセンターラインがある広めの舗装路の脇にありますが、経緯度交会点は未舗装のさほと道幅が無い農道の脇にありますし、農道は水路を挟んだ向かいにもありますので進入する道を間違うとすごく大回りになりますのでご注意ください。
経緯度交会点の到達記念証明書も大潟村干拓博物館の案内窓口で発行して貰えます。
大潟富士→経緯度交会点→大潟村干拓博物館のルートも面白いと思います。
●日和山
宮城県仙台市宮城野区蒲生
標高:3m
・日本一低い根拠
国土地理院の地形図に山の名前が載っている山で一番低い。
・概要
かつては標高が6.05mで、平成3年(1991年)の国土地理院の地形図に山名が載っている山で一番低いとされた山です。
ある意味ではここから「日本一低い山ムーブメント」が起きたとも言えると思います。
当時は後述の天保山が地形図に載っていなかったのですが、平成8年(1996年)の地形図に天保山の山名が掲載(再掲)されたため日和山は「日本一低い山」から「元祖日本一低い山」になりました。
その後、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の津波や地盤沈下で山体が無くなったように思われましたが、平成26年(2014年)の国土地理院の調査で標高3メートルの山として確認され「日本一低い山」に返り咲きました。
・アクセス
日本一低い山の元祖だからか、ちゃんと駐車場なども整備されています。
駐車場から堤防っぽい物を乗り越えて(ちゃんと道があります)日和山に行くのですが、堤防っぽい物の方が断然高く、駐車場から日和山は見えません。
公共交通機関だと仙台市営バスの「蒲生・なかの伝承の丘」バス停から徒歩15分ぐらいかな?
E6仙台東部道路の仙台港インターチェンジの近くにある高砂市民センターから歩いて往復といったイベントもある(あった?)ようですし、仙台港近辺にはアウトレットモールやショッピングモールもありますので少々時間はかかりますが歩いていける範囲だとは思います。
・登頂証明書(無料)
前述の高砂市民センターの窓口に申し出れば貰え……私が行ったときは高砂市民センターは大規模修繕工事中でして、仙台市地下鉄東西線の荒井駅の舎内(改札の外)にある『せんだい3.11メモリアル交流館(入場無料)』の1階の窓口(2階にも展示がありますが窓口は1階です)に申し出て登頂証明書を貰いました。
※工事期間中の郵送での発行は高砂市民センター仮事務所宛てだそうです。
令和8年(2026年)3月末ごろまで工事の予定とのことですので、工事が予定通り終えれば令和8年4月ごろからは高砂市民センターでの発行になると思います。
●天保山
大阪府大阪市港区築港
標高:4.53m(15尺)
・日本一低い根拠
三角点がある山の中で一番低い。
・概要
元々は江戸時代後期の天保年間(1831~1845年)に安治川の浚渫ででた土砂を積み上げてできた山です。
前述のとおり、平成8年(1996年)の国土地理院の地形図に山として掲載されて日本一低い山となったのですが、平成26年(2014年)に日和山が天保山より低い標高3メートルの山と確認されたため日本で二番目に低い山と……
但し、日和山には三角点はありませんので三角点がある山としては一番低い山と言っても問題はないでしょう。
・アクセス
著名な水族館である海遊館の近く(というか隣り)にある天保山公園の中にあります。
しかし、ご注意あれ、天保山公園の一番高いところは天保山ではありません。
天保山公園の北端近くの麓に三角点や石碑などがあります。
そうです。ここが天保山の山頂(?)です。
他の山と比べるとアクセスは比較的容易です。
車で行けますしコインパーキングもあちらこちらにありますが……海遊館という集客力がある施設の近辺ということでお察しください。
大阪メトロ中央線の大阪港駅から徒歩すぐですのでお勧めはこちら。
・登頂証明書(証明書自体は無料)
天保山商店会の加盟店のどこでもいいので申し出れば貰えます。
私はお店に行って何も買わずに登頂証明書だけもらう強心臓は持ち合わせておりません。
●蘇鉄山
大阪府堺市堺区大浜北町
標高:6.97m
・日本一低い根拠
一等三角点(登録名は蘇鉄山ではなく大浜公園)のある山としては一番低い。
※天保山の三角点は二等三角点です。
※富士山の三角点は二等三角点で、一等三角点の最高峰は南アルプスの赤石岳(標高:3121m)です。
・概要
大浜公園の中にありますが、堺駅方面からなら大浜公園には入らず正門に向かって左の市街地と公園の境の道を通った方が分かり易いし近いです。
・アクセス
大浜公園に駐車場(有料)はありますが、蘇鉄山は駐車場からは大浜公園の反対側になります。
南海電鉄の堺駅の南口から10分ほど歩けば着きますので(登頂証明書の関係もあり)こちらもお勧めです。
堺駅には西口・東口・南口がありますが、蘇鉄山(大浜公園)に行くには南口がお勧めです。
西口からは徒歩15~20分ぐらいかかります。
・登頂証明書(50円~)
南海電鉄の堺駅の南口の側にある神明神社(大阪府堺市堺区栄橋町2-1-22)で貰えます。
社務所に人がいればその御方にお聞きください。
無人の場合は自分で記帳して発行費用をお賽銭箱へお納めください。
神聖なる神社で不心得な事をする人なんていませんよね?
私は不心得者ではありません。
●弁天山
徳島県徳島市方上町
標高:6.1m
・日本一低い根拠
ここまでの山は全て人工の築山で、国土地理院の地形図に山の名前が記載されている天然の山の中で一番低い。
・概要
東日本大震災の前の日和山より50cm高いだけなので、当時の日和山があと60cmぐらい高ければ、あるいは山の名前が付されていなければ「日本一低い山ムーブメント」の起こりである発表で弁天山が日本一低い山になり、その後もその地位は不動だったかもしれません。
山麓をぐるっと一周するのに一分もかからないとても小さな山です。
それと山の名前から分かるかもしれませんが、山体全てが神社(弁財天厳島神社)です。
・アクセス
近くというか参道入口の鳥居から道路を挟んだ真正面に弁天市という販売所に駐車場はありますが、当然ながら弁天市の利用者用ですのでご注意ください。
あまり交通量がある道路ではないので路駐という手もありますが、弁天市で買い物をしてついでに参拝というのが正道でしょうか。
公共交通機関だと、JR徳島駅から徳島市バス(丈六寺南(とくしま動物園経由)行)に乗って「方上小学校前」バス停から歩く(約500m)か、JR牟岐線(阿波室戸シーサイドライン)の地蔵橋駅から歩く(約1000m)という手もあります。
ただし、列車やバスの時刻表をよくよくお確かめの上でお願いします。
・登頂証明書(100円~)
厳島神社
山頂の祠の手前にあるガラスケースの中にあります。
取材とかなら神職の方が立ち会われるかとは思いますが基本は無人だと思います。
ガラスケース内の手持ち金庫っぽい物に発行費用を入れて自分でいただくスタイルです。
普通版と豪華版がありますが当然お値段も違います。
無人だからといって神様は見ておられますよ。
○日本一低い山5座の雑感
大潟富士と日和山は行政(大潟村・仙台市)も積極的に推していて、天保山は地元の商店会が、蘇鉄山と弁天山は有志が推している感じです。
多少なりとも坂を登ったと思えるのは蘇鉄山と弁天山です。
6メートル級になると3メートル級とは違いますね。
蘇鉄山の登山口(ちゃんと登山口と表記があります)は南側と北東側にあって北東側はなだらかですが、南側はそれなりに急です。
逆に、麓に山頂がある天保山は登山感ゼロです。
天保山の山頂()は天保山公園の最奥に近い場所なので、そうだと分かって行かないと見つけられないかもしれません。(大げさ)
公園の一番高いところに行って「うーん(三角点が)無いなぁ……ここと違うのか?」となって公園を二周ぐらいした愚か者がいたとかいないとか。




