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DEARーestー  作者: トーヤ


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9/17

高峰洸哉1.親友だって言ってるだろ?

かなり前に書いたものですが、

データが出て来たので、

手直しして投稿していきます。

10月のよく晴れたある日。


この日から、オレの生活がめまぐるしく変化することなど、この時はまだ少しも知るハズがなかった。


オレは当たり前のように学校にいた。


教室のドアから、自分の席の隣にポケーっとしている顔を見つけ、後ろからそーっと近づいて、ポンと頭をひとつ叩いた。


そいつ、野宮(のみや)美乃(みの)は左手で後頭部を押さえながら、叩いたのがオレだと確信しているように振り向いた。


洸哉(こうや)っ」


オレ、高峰(たかみね)洸哉(こうや)、15歳の高校1年生。


美乃とは、たまたまクラスが一緒で、たまたま席が隣で、たまたま気が合った。


「よっ!!」


振り向いて抗議する美乃を牽制して笑った。


「人の頭叩いておいて、爽やかに“よっ”はないでしょうが......」


美乃はぶつぶつと文句をつけている。

美乃は少し人から誤解されやすくて、損な性格をしている。


そのせいか、美乃がオレ以外の人と話しているのを、見たことがない。


そんな美乃に、まことしやかについて流れたあだ名が“氷の美人”。

板についたポーカーフェイスが冷たく見えるらしい。


何とも不憫なヤツだよ......。

おっと、忘れるところだった。


「おまえさぁ、今日放課後ヒマ?」

「ヒマだけど、ナンデ?」

「友達のライブあんだけど、行かねぇーか?あっ、ヤベェか?美乃、優等生やってるもんな」


って、コイツほど学校とプライベートのかけ離れたヤツもいないよなぁ。

オレの表情を読んだのか、美乃はオレをひと睨みして、


「行ってもいいけど、場がシラケるんじゃないの?私が行くと、教師の手先とか思われてる生徒会の人間なんだからさ」


たまにコイツ卑屈になるよな。

美乃が思ってるよりもずっと、みんなは美乃に近づきたがってるんだけどな。


「大丈夫。その辺は問題ないんだ。向こうがおまえを連れてきてほしいって」

「なんでっ!?」

「“氷の美人”って呼ばれてるおまえと話してみたいんだって」


そうなんだ、昨日突然、中学からのオレの親友でもある佐久間(さくま)一樹(かずき)から、メッセージじゃなくて、珍しく電話で話しを持ちかけてきた。


「洸哉、明日のライブ来るよな?」


スマホの向こう側で一樹が確認している。


「あぁ、行くよ」


オレが軽く答えると、


「じゃあ、頼みがあんだけど、いいか?」

「別にいいぜ、花束持って来いとかって言うんじゃなきゃ」

「バカか、そんなことおまえに頼んでどーすんだよ」

「そりゃ、そうだけどよ。じゃあなんだよ」


一樹は一拍おいてから、口を開いた。


「野宮さん、連れてきてくれないか?」


オレは一瞬、野宮って誰だっけ?なんて思い、すぐに該当者にぶつかって叫んだ。


「って、美乃ぉ~~!?なんで!?」


驚くオレをよそに、一樹は言った。


「いや、“氷の美人”なんて言われてるけど、実際洸哉とは仲いいじゃん、そんな彼女と話ししてみたいなぁって、みんな言ってんだけど。それにおまえの好きな女の子がどんな子か知りたいじゃん」


オレはため息をついて言った。


「だから違うって言ってんじゃんか、オレと美乃は親友なの!!何度同じこと言わせんだよったく」


一樹はオレが何度美乃とは親友だと言っても、聞き入れない。


オレが美乃を好きだと思い込んじまってるからな。ホントまいるぜ。


「まぁ、そうムキになんなって、とにかく野宮さんに聞いといてくれよ」

「聞くだけは聞くけど、期待すんなよ」


その後、じゃあなと電話は切れたのだ。



美乃は少し逡巡したあと、笑顔で言った。


「OK。行くわ」

「あっマジ?それじゃ、放課後な」


そう言い残し、オレは一樹のところへ向かった。

教室の戸口で一樹を呼ぶと、オレのデカイ声に振り向いて待ってましたとばかりに寄ってきた。


「昨日の件か?」

「そういうこと」

「でっ!?」


オレは少しもったいぶってから、美乃も行くことを告げた。


「うわ、マジで?じゃあライブ終わったら楽屋まで来てくれよ。もちろん連れて」


一樹は嬉しそうに小声で言った。

小声なのはバンドを組んでるなんてのが、学校にバレたらうるさいからだ。


「楽屋まで連れていくのはいいけどよ、あいつさ、自分が行ったらしらけるんじゃないかって心配してんだよ。その辺はオレもフォローするけど、おまえらも頼むぞ」


オレは美乃をこれ以上、他人に対して臆病にさせたくないのだ。


「わかった。アイツらにも言っておく」


アイツらとはもちろん、今日のライブをするバンドのメンバーだ。


一樹以外はみんな、一樹を通して友達になったヤツらばかりだけど、気のいいヤツらだ。


だからこそ、オレは美乃を連れていくことに反対はしなかったのだけど。


毎日更新予定です。

よろしくお願いします。

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