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DEARーestー  作者: トーヤ


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7/17

野宮美乃7.賭け事はもうしません

かなり前に書いたものですが、

データが出て来たので、

手直しして投稿していきます。

次の朝、私は目覚めから嫌な予感がしていた。


嫌な予感に限って、よく当たったりするのだ。


沈んだ気持ちに追い討ちをかけるかのように、外は雨が降っている。

その上、お気に入りの傘が今日に限って見つからない。


何もかもイヤな感じだ。


まさか、カケに負け…….イヤイヤ考えない。考えない。

そんなことは断固として考えないっ。


どっぷり憂鬱な気持ちのまま、学校へたどり着くと、玄関でカズキ君に会った。

今日は誰よりも一番会いたくなかったかも…….。

カズキ君はおはようと一緒に、


「今日だね、美乃(みの)ちゃん。楽しみだね」


と、イジワルな笑顔とウインクをくれる。


「ぜぇーんぜん。今日は朝からいやぁな予感がしてるんだよねぇ……」


と、目一杯弱気な私に、


「まっ、昼休みに会おうな」


と、ポンと肩を叩き、嬉しそうに去って行った。

対抗するだけの気力も萎えた感じだ。

教室では洸哉(こうや)が珍しく一人で席にいる。


「おはよう」


声を掛けると、なんだかすごく驚いて私を見た。


「あ、おはよう」


一言だけくれた。


「何かあった?少し顔色悪いみたいだけど…..」

「何でもない、少し寝不足なんだ」


と、言うや否や机にへばりついてしまった。


試験は終わったのに、寝不足なの?


チャイムが鳴り、担任が姿を現す。

1時間目は、担任の数学なので、そのまま授業へと突入してしまった。


答案が返される。解答が行われる。

数学は得意だから点数もそれなりだ。93点。


今回は英語にウエイトを置いていたから満点じゃなくてもしょうがない。


隣で洸哉は朝と同じく死んでいる。


2時間目は物理、これも特に問題はない。91点。


問題はこの3時間目の英語だ。

毎回80点取れればよくやった、と言える。けれど、今回は80点じゃダメだ。

だからこそ他の教科を捨てたのだ。

一人ずつ返される答案用紙、恐る恐る点に目を向ける。89点。


いつもならガッツポーズのところだ、がマズイかもしれない。

ホントにマズイかも知れない。どうしよう、どうしよう、どうしよう…….!?

頭の中は、どうしようが渦巻いている。


次の世界史もラストの国語も、もうどうでもいい。

きっとそれなりに取れているはずだ。


それなのに、あれだけやった英語が89点。

90点にも届かないなんて……。


もう、あまりのセンスのなさに泣きたくなるよ、ホンットに。


そんな時、3時間目の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

先生が出て行くと、ドアの陰からカズキ君が顔を覗かせた。


えっ!?


昼休みでしょぉ~~~~~~?

ちょっと待ってよぉ、心の準備がぁ~~~~~。





焦る私に対して、カズキ君はウインクひとつ投げてよこし、洸哉を呼んだ。


なぁんだ、洸哉に用事か….。

ふぅ…..。


洸哉とカズキ君が私の視界から消え、しばらくすると肩をガックリ落とした洸哉が席へと戻ってきた。


「洸哉?大丈夫?朝より更にヤバそうだけど…..」


聞こえるギリギリの声で、大丈夫と呟く洸哉は全然大丈夫そうには見えなかった。


「あ、ところでおまえ明日ヒマ?」


何の脈絡もなく、取ってつけたように洸哉が言った。


「明日?別に予定はないけど?」

「んー、なら遊園地行かねぇか?ただ券貰ったんだけど」


と、ダルそうに話している。


「あ、うん。行きたい」

「そっか、じゃあ駅に8時な」


それだけ言うと、また机と仲良しになってしまった。


わーい、洸哉と遊園地だぁ~~~って純粋に喜んでいいんだろうか…..?

もしかしたら、それどころじゃなくなるかも……。


授業なんて全然聞いてないで、そればかりが気になっていた。


逃げたしたい…..。


卑怯者でも何でもいいから、半分本気で逃げ出したかった。


こっそり逃げの体制で廊下に出ると、カズキ君が待ち構えていた。

それはもぉ、楽しそうな笑顔で…..。


授業終わったばかりなのに、なんて素早いのかしら…..。


「やぁ、美乃ちゃん。結果発表ってところかな?覚悟はいい?」


さすがに、もう逃げられない。

深呼吸をひとつして、頷いた。


「せーので答案開くよ?いいね?」


せーの。

…………….何度も瞬きを繰り返す。

何度見ても点数は変わらない。


目の前は真っ暗だった、イヤ真っ白だったかも知れない…….。


英語が得意だというだけはありますよ。

さすがです、カズキ君。95点なんて……。


逆立ちしたって私には取れませんって。


あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ。


これで明日は純粋に楽しめなくなってしまった。

もう、力の抜けきった私に追い討ちをかけるようにカズキ君は言うのだ。


「美乃ちゃん、約束は約束だからね。ちゃんと守るように」


と、ニコニコ顔だ。


「うぅぅ、カズキ君。何でそんなに楽しそうなのよぉ」

「えっ?だって楽しいもん」


こういう人だったのか?

誰かウソだといってくれぇ、なんて唸ってる私なんかお構いなしで、


「じゃあ、約束は守るんだよ」


ウインク一つ残して視界から消えていった。


教室は程よくざわめいている。

とにかく決まってしまったことだ、納得は行かないけど、決まってしまったことだ。


物事はポジティブに考えよう。

チャンスはすでに明日ある。


玉砕覚悟なのだから、最後に目一杯楽しもう、思い出を作ろう。

うん、そうしよう。そうしなきゃ。

そう自分に強く言い聞かせた。

毎日更新予定です。

よろしくお願いします。

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