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DEARーestー  作者: トーヤ


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5/17

野宮美乃5.ハッピーバースデー

かなり前に書いたものですが、

データが出て来たので、

手直しして投稿していきます。

気持ちよく太陽が笑っている日曜日の朝10時、駅で待ち合わせた私達は電車に揺られて、人ごみに揉まれながらショッピング街へと足を運んだ。


今日の洸哉(こうや)洸哉(こうや)はジーンズにTシャツというラフな格好だったが、スタイルが抜群なので、3割増カッコよく見えた。

スリップドレスにジーンズの私とも相性のいい感じだ。


「おーい、何買うんだよ。いいかげんに教えろよ」


さっきからあちこち見て回るだけの私に、いい加減に苛立ちを隠せなくなった洸哉のセリフだ。


「ゴメン、実はまだ決まってないんだ」


ナニィー!?とすっごい嫌な顔一つして、


「じゃあ、なにか?ただウロウロ歩き回ってただけかよ」


さすがに、こめかみに怒マークが出ている。


「ゴメン、色々見ているうちに決まると思ってたんだけど、全然反応ないし…..」


段々声が小さくなって、語尾があやふやになっていく。


「反応ってなんだよったく」


洸哉はぶつぶつ文句を言ってる。

あぁ、この分だと今日が何の日かなんて絶対忘れてるんだろうな。ニブイ奴め。


「さて、ここで問題です。今日は何の日でしょう?」

「何だよ、イキナリ。今度はクイズかよ。えーっと?今日は何日だよ!?」


ふぅ、私は一つため息をついて言った。


「今日は10月28日だよ」


そこで洸哉の顔があっ!!となった。


「もしかして、オレの誕生日!?」

「そうだよ、忘れてたんでしょ?」

「キレイさっぱりっ」


と、頷いた。


「やっぱりねぇ……」


と、私が頷く横で、洸哉の不機嫌な顔が笑顔に変わる瞬間を見た。


「もしかして、買い物ってオレのプレゼントだったりするんだ?ちゃんとオレの誕生日覚えててくれたんだ。オレは嬉しいっ」


一人、感激している洸哉を連れて、プレゼントを探しにもう一度見て回ることにした。


洸哉は調子に乗って、たっかいスニーカーがほしいとか、ビンテージのジーンズがほしいとか、散々好き勝手なことばかり言ってくれちゃって、その度にマジメに選べとツッコミを入れたのは言うまでもない…..。

結局はTシャツに落ち着いた。


それから私達はかなり遅くなったランチを食べて帰ることにした。


洸哉は必ず、一緒に出掛けた時は家まで送ってくれる。

今日も当たり前のように、家までの距離を送ってくれている。

家にたどり着くと、いつものように、じゃあなっと言って、来た道を戻ろうとする洸哉を初めて呼びとめた。


「待って」


何?と振り向く洸哉に、私は震える気持ちを押さえながら言った。


「ちょっと寄っていかない?」

「イヤ、でも…..。やっぱ帰るよ」


そう言って、今にも走り出しそうな洸哉を、


「待って、お願いだから。見せたいものがあるんだ、だから上がっていって」


ねっ、とダメ押しの笑顔も付け加えてもう一度、お願いしてみた。


洸哉はたっぷりとためらった後に、


「…….じゃあ、少しだけ……」


と呟いたのだ。私の勝ちだわ、って何に勝ったんだか…..。

背中を押して、私の部屋まで連れて行くと、洸哉はなぜか部屋に入るのをためらった。


「何やってるのよ、早く入って、その辺に座ってて」


何とか洸哉を座らせて、すぐ戻るからと言い残し、私は部屋を出た。


この時、私の部屋で一人になった洸哉が何を見て、何を考えていたか、それは私には分かるハズのないことだった。


さっき私が洸哉に見せたいものがあると言ったのは本当のことで、決して洸哉を家に上げるためのウソではない。


そのものを持って部屋に戻った私に、


「なぁ、おまえの部屋ってなんかかわいいなぁ、やっぱ女の子だなぁ」

「何よ、突然。それよりハイこれ。開けてみてよ」


渡した箱を洸哉が開けると同時に、


「改めて、ハッピーバースディ洸哉」


ニッコリ微笑むと、


「もしかして、コレっておまえの手作りなワケ?」


そう、洸哉に渡した箱の中身は、昨日の夜に作ったチョコレートケーキなのだ。


「そうだよ」

「なんか、オレすごく嬉しいよ。サンキューな美乃(みの)


そう言って、珍しくテレた洸哉はなんだかカワイく見えた。

そんな些細な一瞬が私にはタカラモノの時間になった。

とてもとても大切な瞬間に思えた。


「美乃、サンキューな」


そんな言葉を残して走り去る洸哉の後ろ姿をずっと見つめていた。

毎日更新予定です。

よろしくお願いします。

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