野宮美乃2.親友はなくないかな?
かなり前に書いたものですが、
データが出て来たので、
手直しして投稿していきます。
パシッという音と次に後頭部に走った痛みは明らかに頭を叩かれたものだ。
こんなことする人間を私はたった一人しか知らない。
「洸哉っ」
後頭部を左手で押さえながら振り向くと、ニコニコ顔の洸哉の顔があった。
「よっ!!」
「人の頭を叩いておいて、爽やかに“よっ”はないでしょうが…..」
この高峰洸哉という男とは、ありがちに隣同士の席で話しも気も合う奴だ。
新聞紙からもN.Pからも脱出を果たした私は野宮さんと呼ばれるようにはなったが、
学校中のみんなが、先生までもが私から一線、一歩引いたのだ。
そんな中で、洸哉だけが私のことを「美乃」と呼び捨てにする奴で、私のことを殴るのも洸哉一人だ。
「おまえさぁ、今日放課後ヒマ?」
「ヒマだけど、ナンデ?」
「友達のライブあんだけど、行かねぇーか?あっ、ヤベェか?美乃、優等生やってるもんな」
ニヤリとずるそーな顔で笑ってるしぃ~~~、こいつわぁぁぁぁぁっ。
私の本性知ってるくせにぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっ。
「行ってもいいけど、場がシラケルんじゃないの?私が行くと、教師の手先とか思われてる生徒会の人間なんだからさ」
自嘲気味に私が言うと、
「大丈夫。その辺は問題ないんだ。向こうがおまえを連れてきてほしいって」
「なんでっ!?」
「“氷の美人”って呼ばれてるおまえと話してみたいんだって」
と、洸哉はニヤリと笑う。
なぁーんかヤな笑いなんだけど、やっぱりたまには遊びたい、優等生ヅラ脱ぎたい。
「O.K行くわ」
「あっマジ?それじゃ、放課後な」
洸哉は一言だけ残して、友達の所へと消えていった。
洸哉がいなくなると、私の周りにはまた静寂が戻ってきた。
はぁ、“氷の美人”ねぇ…..。
これはK高に来てからついたものだ。
常にポーカーフェイスで冷たい感じがするから、らしいと洸哉が教えてくれた。
私ってよくよくあだ名がつけやすいらしい…..。
「ねぇ、ライブって何時から?」
駅までの帰り道、洸哉と並んで歩いている。
「あー、6時からだけど?おまえホントに大丈夫かよ?夜出れんの?」
「だぁーいじょうぶだって」
普段から優等生やってるから、信用はおつりがくる程有り余っている。
それがいいのか、悪いのかは疑問の残るところではあるけれど…..。
くだらない話をしながら歩く私達を見て、すれ違う人が囁いていく。
「うわぁ、お似合いの2人」
とか、
「すっごい美形カップル」
とか……。
そうなんだ、私は“氷の美人”なんて言われてるけど、実は洸哉も10人中9人にはカッコイイと評価される顔立ちをしている。
背の高い私と並んで歩いても、更に見上げる事が出来るくらいの長身の持ち主。
性格は人懐っこくて、ノーテンキでちょっとおまぬけだけど憎めないヤツ、なのに押さえる所はキチンと押さえるという、なんとも私好みのヤツだったりする。
「なぁ、今の聞いたか?」
頭の上から降ってきた言葉に顔を上げると、必死に笑うのを堪えている洸哉がいた。
「今のって?」
「だから、今すれ違った子達の会話」
あぁ、それのこと。
「笑っちゃうよなぁ、オレ達が似合いのカップルだってよ。オレ達親友だっツーのになぁ」
と、なんのためらいもなくそう言う。
オレは背が高いというのと同じレベルだ。
そうなんだ、洸哉は私との関係を親友という言葉で片付けてしまう。
女の子相手に親友はないでしょう、親友は。
というのが、現在の私の心境なのだが、今の関係を壊すのにもためらいがあるから、まっそのうち目に物を見せてあげよう、なとど考えながら洸哉に相槌を打った。
駅までの短い距離を終えると2人は右と左に分かれる。
「じゃあ、5時にココな。遅れんなよ、美乃」
「そっちこそって、なんでココ?」
ライブハウスとかは洸哉の家の方向だ。わざわざこっちに出てくる必要はないハズなんだけど…?
洸哉はナニが?と首を傾げ、あぁ、と呟いた。
私の言いたいことが分かったらしい。
「ライブハウス分かりにくいんだよ、場所が。だからココな」
じゃなって手を上げて階段を駆け上がって行った。
私は思わず後姿を見送ってしまった。
ホームに出ると、向かいのホームから洸哉が手を振っている。
私の周りの女の子達がザワザワとざわめいている。
誰に手を振っているのか気になるらしい。
私が小さく控えめに手を振り返すと、女の子達のざわめきがため息へと変わった…..。
毎日更新予定です。
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