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DEARーestー  作者: トーヤ


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11/17

高峰洸哉3.ライブに行くぞ2

かなり前に書いたものですが、

データが出て来たので、

手直しして投稿していきます。

うっわー、なんだこりゃ。

改札を抜けたオレの目に飛び込んできたのは、ものすごい量の人だった。

なんだよ、こんなに人がいるんなら、向こうの駅でも同じだったな。


えっと、美乃(みの)はどこだ?

あいつが遅れてくることはないからな。

来てるハズだよな......美乃は......。


ふいにまだ探していない人ごみから名前を呼ばれた。

聞き慣れた美乃の声に振り向くと、美乃の周り全部が色褪せて見えた。


「おっ、まえ、美乃かぁ?」


思わず口をついて出た言葉がこれだった。

ついつい頭の上から、足の先までマジマジと見てしまう、そのくらい特別な雰囲気だ。


美人というのは、何を着ても似合うらしい。もちろんスタイルが良いのも要因ではあるが。


たぶんオレはかなりしつこく美乃のことを見ていたんだろう、美乃に、


「ちょっと、何よ。ジロジロ見ないでよ」


と、言われたからだ。


「だって...おまえ、学校とも普段とも全然違うじゃんか......」


素直な感想をもらすオレに対して、


「人のこと言えてんの?」


と、オレにはわからないセリフで、美乃が切り返してきた。

それよりも、


「なぁ?コレってもしかしなくてもパーマ?」


と、美乃の髪の毛を摘んで、さっきから気になっていた疑問を口にした。


「そーだよぉ?中学の時からネ。学校じゃうるさいから編んでるけど...」


って、学校だけじゃなく、普段一緒に出かける時だって、今日みたいにほどいてきたことないじゃないか。なんかやられたってカンジだぜ。


「やっぱ、おまえってすごいな」


しっかりしてるというか、根性入ってるというか、自分をしっかり持っているというか...。


美乃の“何が?”という問いにオレは心の中で、そんな風に色んなことをだな、と口には出さずに思うだけに止めておいた。

そして、少し話の方向をズラす。


「なぁ、知ってるか?さっきからあっちのヤツら、おまえのことずっと見てんだゼ!?オレすげー優越感だよ」


ホントに親友として鼻高々だゼ。


オレは得意気な気持ちのまま、ライブハウスへと向かった。


ライブは3つのバンドから構成されている。

FENCE(フェンス)FENCE(フェンス)一樹(かずき)たちのバンド)はラストに登場予定だ。

そこそこに人気があるのだ。

ライブハウスの中は、すでに熱気が渦巻いている。


1つ目のバンド、2つ目のバンドと続く中で、楽しんでいるみんなが何かのきっかけで狂い出しそうなほどだ。


いよいよアイツらの出番だ。

今日のアイツらの演奏はいつもより気合の入った音がしていた。


美乃も学校では見せない、楽しそうな表情をしている。

それだけでも、誘ったかいがあるとオレは思った。


すべてのプログラムが終了した後、ひどく混雑している人ごみの中で、美乃の耳に直接聞こえるように、頭の位置を下げて言った。


「楽屋行くだろ?」


美乃の頭が頷いたのを見て、


「迷子にならないように」


オレはそう言って、美乃の手を掴んだ。

そのまま関係者入口へと足を運んだ。

扉を1枚通り抜けただけで、世界は静寂に変わる。


何度も訪れたことのある楽屋が近づくにつれ、ハイテンションに話しているのが、アイツらだとわかった。


楽屋といっても、そんなたいそうなものじゃない。

小さい控え室みたいなものだ。


ただドアに「FENCE」の紙が貼ってある、それだけだ。


オレはそこで美乃の手を放し、その開きっぱなしのドアをノックしながら、誰の返事も待たずに顔を出した。


「よぉ、お疲れ。良かったゼ」


一樹達はオレの声に振り向いて、“サンキュー”を投げてよこす。

オレと目の合った一樹が微妙に笑い、早く呼べよと目で訴える。

オレはどうだってな気分で笑いながら、


「連れてきたぜ」


と、ドアの少し手前で待っている美乃を手招きして呼んだ。

美乃がみんなの前に顔を出した瞬間、


野宮(のみや)さんだ」

「氷の美人だ」

「イェーイ」


なとどいう、盛り上がりを見せた。

うわっ、コイツらいつもより、かなりハイテンションだな。

まっ、ライブ終わったばっかだからしゃーないけど.....。


しっかし、この瞬間の美乃の顔といったら、笑うしかないよな。


「おまえの顔、ハトが豆鉄砲だよ」


美乃の面食らった顔なんて、初めて見たな。

笑いの止まらないオレと、反応しきれない美乃に一樹が声を掛ける。


「2人ともそんなところにいないで入んなよ」


楽屋に入ってから、オレは美乃にみんなを紹介した。


ヴォーカルの一樹、ドラムの俊哉(としや)、ギターの(らい)、ベースの愛斗(まなと)、キーボードの(しげる)


コイツら全員、オレ達と同じ高校の1年だ。ちなみにクラスはバラバラ。

一通り紹介し終えた後、まだ何も口を開いていない美乃に水を向けた。


「ホラ、美乃も挨拶くらいすれば?」


一瞬の間があいて、美乃が口を開く。


「えっと、美乃です。ライブすごく楽しかった、呼んでくれてありがとう」


と、ニッコリ笑っている。

美乃のヤツ、挨拶ってホントに挨拶じゃねぇーか。

もっと何かあるんじゃないの?氷の美人が聞いて呆れるよなぁ。

笑い出しそうなオレをよそに、今この場に沈黙が流れた。

美乃が情けない顔で、オレを見上げたその時、


「かわい~~~~っ」

「カワイすぎる、美乃ちゃん」


弾けたように起こる歓声と、


「美乃ちゃん、一緒に打ち上げ行こうよ」


一樹達が口々に美乃を誘うのを見ながら、オレは美乃に新しい友達が出来るだろうと感じていた。

戸惑いながらも、新しい1歩を踏み出した美乃を見て、ホッとして笑った。



打ち上げと称して、近くのファミレスに場所を移動した。


すでに8時を回っていたことも手伝って、空腹感もピークに達していた。


次から次へと来る食べ物を、次から次へと胃の中に放り込んでいた、そんな時、


「なぁ、美乃ちゃんって、いつから洸哉(こうや)と付きあってんの?」


ふいに雷がそんなことを言った。

思わずオレは食べていたパスタを、吹き出すところだった。

雷のヤツ、何言ってんだよ。オレが口を挟むより先に、美乃が会話を成立させてしまった。


「えっ?なんで?」

「いやぁ、学校じゃ有名じゃん、洸哉と美乃ちゃんって」


なんだよ、その有名ってのはっ。誰もオレに口を挟む猶予をくれない。

雷の後に続いて滋が頷く。


「そーだよなぁ、コレくらい見栄えのいいカップルってちょっといないよなぁ」


見栄えってなんだよ、見栄えがいいのは美乃だけだろ?


「洸哉はテレちやって、親友だぁなんて言い張ってるけど」


と雷はオレにからかいの目を向けた。

ここでオレにも発言のチャンスが回ってきた。


「ちゃんと言ってくれよ、美乃。オレ達親友だってさ」


ホントに全然、みんなが思ってるような関係じゃないって言ってくれよ、頼むよ。

真剣に目で訴えかけながら、美乃にそう言うと、


「うん、私、洸哉と付き合ってないよ。洸哉の言う通り親友だよ」



肯定してくれた美乃に感謝しつつ、オレは1人ずつに“なっ!だろっ!?”と言わずにはいられなかった。


なのに、コイツらときたら.....。


「洸哉、おまえ変なんじゃないの?」


だの、


「そーだよ、美乃ちゃんほどの美人ってちょっといないゼ!?」


だのと、まだこの話題を止めようとしない。いいかげんにしてくれよ。

オレはくさって“うるせーな、ほっとけよ”と、みんなから顔ごと視線を外した。


一樹たちは盛大にオレのこと笑ってやがる。

ちくしょう、今にみてろっ。今に思い知らせてやるからなっ。

ふてくされてるオレにはお構いなしで、


「あのさ、全然話し変わるんだけどさ」


と、口を開いたのは俊哉だった。


「美乃ちゃんってそーゆーカッコもするんだねぇ」

「あっオレも思った」


と、愛斗も美乃のことを見ながら頷いて続けた。


「なんか美乃ちゃんってバリバリの優等生だからライブなんかに来るわけないって思ってたし、ましてや革のジャケットにミニスカート、それにブーツなんて姿想像も出来なかったし......」


愛斗達の気持ちはよくわかる。

オレだって、美乃のこんな恰好を見るのは初めてだからだ。


学校の美乃しか知らないコイツらにとっては、一種のカルチャーショックに似た感覚だろう。


学校以外の美乃を知ってるオレでさえ、かなりの驚きだったからな。


美乃は自分の服装を見下ろしながら、変?と聞いている。


「イヤ、メチャメチャ似合ってる、ついでにその髪も」


そんな滋の言葉に美乃は小さくありがとうを呟いている。

たぶん美乃は、こんな風にストレートにホメられたことがないのだろう。


美乃を取り巻く環境は、そのくらい美乃から1歩引いたところにある。


「オレ、これから学校で会ったら、美乃ちゃん見る目変わっちゃうかも」

「あっ、オレも。なんか親しみ覚えちゃうな」

「美乃ちゃ~~ん、とか言って話しかけちゃおうかな」


そんな会話を聞きながら、オレはこれがキッカケでみんなの美乃を見る目が少しでも変わればいいと思っていた。


オレは、さっきまでのふてくされていた気分も、どうでもいいくらいに美乃が一樹達と楽しそうに話しているのを嬉しく感じていた。


そんな時間は21時を過ぎる頃まで続いた。

オレは美乃を送るために、駅で一樹達と反対のホームへと歩き出した。

するとすぐに、


「どうしたの?」


と、美乃が聞いてくる。


「何が?」


主語がないじゃないかよっ、何がどうしたのなんだよ。


「何でこっちのホームにいるの?」


はぁ?


「バカか?おまえ送ってくに決まってんじゃん」


美乃はちょっと驚いたように、


「えっいいよ。大丈夫だよ」


その言葉に思わず、軽く頭を叩いてしまって、ホントは女の子に手をあげるのは、とてもいただけないんだけど.....。


「大丈夫なわけないだろっ、もう21時過ぎてんだゾ。こんな遅くに女の子一人で歩かせるわけにはいかねーだろうがっ」


と、強い口調で怒鳴ってしまった。


こいつ、わかってんのかなぁ、自分が美人だということを.....。

しかも、今日はいかにもってカンジの服装してるというのに....。


頭いいくせに、こういうところは、ヌケてるよな。

ホント心配だぜ....。


美乃は怒鳴ったオレに聞こえるか聞こえないかの小さい声で、


「イヤ、でも反対方向なのに....」


と、呟いている。


「おまえはいいから、黙ってなさい」


何を気にしてるんだか、今さら遠慮するような仲じゃねーだろう。


いつも出掛けたら送って行ってるんだから。

何というか、ホントに人付き合いの下手くそなヤツだよな、美乃は。

美乃を家まで送り届けた帰り道、オレはそんな事を思いながら歩いていた。

毎日更新予定です。

よろしくお願いします。

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