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DEARーestー  作者: トーヤ


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1/9

野宮美乃1.新聞紙と呼ばないで

かなり前に書いたものですが、

データが出て来たので、

手直しして投稿していきます。

ふと目を向けた。


教室の窓からは透き通るような青く高い空が広がっていた。


教室の中では心地よいだけのざわめきが、私から少し離れた所で起きている。

私の周りはいつも静寂が保たれていた。


私、野宮(のみや)美乃(みの)。高校一年生、12月生まれの15歳。


この名門私立K高等学校に入学して早半年、ここでも私は優等生を演じてしまっている。


これに関しては長い年月を経ての年季が入っていて、とても一言では説明できない、簡単に外すことの出来ない仮面でもあった。




それは小学校三年生の初日まで遡る。


世の中には、大抵の確率で進級するとクラス替えというものがある。

新しい友達、新しい先生に少しの不安とたくさんの期待を胸に抱えて、教室のドアをくぐり抜けた私は知った顔を見つけ少しだけホッとした。


担任は若い女の先生であり、名前を若月(わかつき)といったと思う。

私はこの先生を生涯忘れないだろう…。


一人一人自己紹介が始まり、ドキドキしながら私は自分の番を待っていた。

前の子が座り、私は少し緊張しながら立ち上がる。


「1組から来ました、野宮美乃です。たくさん友達を作りたいです、みんな仲良くしてください。よろしくお願いします」


確か、そんなようなことを言ったハズだ。


まさか、この直後に私の人生を変える一言が待っていることなど、誰一人知る由もなかった。


もちろん言った本人も、そんなことは爪の先程も思わなかったに違いない。


しかし、その一言は確実に、決して大袈裟ではなく私の人生を変えたのだ。


自己紹介を終えた私に向かって、若月先生はこう言った。


「あら、野宮さんって、野宮美乃ちゃんって言うのね。上から読んでも下から読んでも、"のみやみの"ちゃんなのね。」


と…..。


それは私自身も気づいていなかった事だったが、新しいクラスメートには笑える出来事なのだ。


教室中が笑いの渦になり、私は恥ずかしくて俯いてしまった。

ほんの一瞬の静寂の隙間をぬって、8歳の私を打ちのめすには十分な一言が教室を駆け抜けた。


「新聞紙みてぇ」


もう、後は収拾のつかない騒ぎになったのは言うまでもない。


「ほんとだぁ」

「やーい、新聞紙」


などと、ヤジを飛ばされる始末。

その結果、3年4年を私は「新聞紙」と呼ばれるハメになったのだ。

これが私の人生で一番初めの屈辱だった。


5年に進級するとき、クラス替えに大きな期待をしたのだが、学年4クラスしかない私の学年では単純に計算しても25%は元クラスメートがいることになる。


しかも、最悪なことに最初に私のことを「新聞紙」と呼んだクラス一のガキ大将が同じだった。


期待が大きかった分、ショックの大きかったことといったら…..。


私は小学5年で絶望と言う言葉の意味を知り、この瞬間に私の小学校生活は終わったのだと悟った。


私立中学を受験するべく、猛勉強を始めるハメになるが苦にはならなかった。

この屈辱から抜け出したかったのだ、どうしても。


果たして結果は厳しい倍率をものともせず、受験戦争に勝利した私は気持ちも新たに中学生活を始めたのだ。


始めたつもりだった….しかし、世の中というのはそんなに甘くないらしい。

私以外にも難関クリアした同じ小学校出身者がいた…..。


神様の意地悪……。


信仰心などまるでないのに、思わずそう呟きたくなった。

ソイツは私の肩をポンと叩きながら、


「よっ、N.P。同じとこ出身なんだからヨロシクな」


と、ニヤッと笑って通りすぎていった。


んっ!?

N.Pってナンダ!?


ふと、ひとつの答えにたどり着いた時、心底「ナマイキだ、ムカツク」と思った。


そう、私の小学校時代のあだ名は"新聞紙"。


新聞紙を英語で言うと、ニュースペーパー。

つまり、NewsのNとPaperのPでN.Pってワケだ。


それ以来、中学では3年間「N.P」で通ってしまったのだが、これには私にも多少の原因があるので何も言えない…..。


たまたま、その時隣にいたクラスメートの子に、


「ねぇ、野宮さん?N.Pって野宮さんのことなの?N.Pって呼ばれてるの?」


と、尋ねられたときに、


「アイツが勝手に呼んでるだけ、今まで一度もN.Pなんて呼ばれたことないもん」


と、言ったにも係わらず彼女が、


「ふぅーん、でもN.Pってナニかしら?何かの略なのかな?」


なんて言うものだから、もちろん新聞紙の略よ、とは言えない私はとっさに言ってしまったのよ。


「Nomiya Prettyの頭文字じゃない?」


と、この辺がまだまだ人生経験の浅い中学生である。


明らかに余計な一言だったのだから….。


普通なら軽く流してくれそうなセリフではあるのだけれど、私の場合は周りのみんなが納得してしまうような顔立ちだった。

幸か不幸かそれが災いした。


「じゃあ、私もN.Pって呼んでいい?」


と…….。


N.P-それは野宮プリティーの略-


と、噂は広がり続け私の通称は、新聞紙からN.Pに昇格(?)したのだ。


中にはN.Bと呼ぶ男子もいた。

どうも"野宮ビューティフル"の略らしい……。


まったく勘弁してほしい限りである。


そんなこんなで中学3年間はN.P。

私はN.Pからも脱出するべく超マジメ生徒になり、またもや猛勉強をし、今の超進学校であるK高に入学した。

これには少しおまけがついて、トップで入学するというバカなことをしたため、先生たちの期待が大きすぎるくらい大きく、優等生を演じるハメとなったのだ。



新聞紙とN.Pという2つのあだ名から逃れるためだけにマジメに勉強したことが、結果的に優等生の仮面を被り、レッテルを張ることになってしまった。

しかも血液型A型の私は、一度張られたレッテルをいつまでも剥がせずにいた。


毎日更新予定です。

よろしくお願いします。

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