ゴースト
「お師匠!アクタ!あれが討伐するゴーストじゃないっすか?」
ブレイが指さす方向を見るとそこには確かに依頼内容と同じ姿のゴーストがいた。そんな強そうには見えないとサキナは思いながら剣を抜く。
「いやはやまた良い餌がつれましたね。しかし、S級冒険者のサキナ・スレイまで釣れるとは。大収穫ですね」
ゴーストの背後あたりから見た目が獣型の人型魔物が現れる。
「お前は誰だ?」
「どうも。私は魔族の狼族。マクウと申します。私はあなた方のような人間をこのゴーストで釣り、餌にしていたんですよ」
マクウと名乗った狼族の魔族はサキナ達の前に何かを投げつけた。マクウが投げつけ地面を転がってきたそれは人間の首だった。
「これはこの依頼を受けた人達の首か?」
「さぁ?それに関しては知らないがゴーストを始末しにきた人間どもの首だよ。いやぁじつに美味かったよ。こんな楽して餌にありつけるなんてなぁ!」
マクウは下卑た笑い声をあげながら言うとサキナはマクウに斬りかかる。
「私の剣で斬られて死ね」
「あっはっは!遅い遅い!」
マクウはサキナに言った後マクウは鋭利な爪でサキナの腹部を引っ掻く。
「せいっ!」
「やるなぁ!私の引っ掻きをかわすなんて。今までの冒険者どもよりはやるなぁ」
「今までがどの程度か知らないけど私をあまりなめないでほしいわ。あなた如きレベルの低い魔族に本気を出すつもりはないの。正直私がやらなくてもいいと思うぐらい」
「それはあまりにもなめすぎだなぁ。でもこのままじゃ確かに私が負けてしまうかもしれないなぁ。なら、」
マクウはサキナから一旦離れ、かなり力んだと思えば人間の姿からより魔族っぽい姿へと変貌する。全身の毛並みが茶色から赤色になり口は嘴のような感じに少しのび、牙はさらに鋭利になる。そして手の爪は短くなり黒色に染まっていた。
「さて。私の本気だ。これでお前も本気を出したくなるだろう」
マクウはサキナに言うとサキナの背後にいたアクタがマクウを弓で狙うがマクウはよけようともしなかとった。
「なんだ?なんかしたのか?何か当たった感触はあったけど全然痛くなかったな」
「私の弓が通じ」
アクタが驚いている間にマクウが尻尾でアクタを攻撃しようとするとサキナが尻尾を剣で防ぐ。
「うぐっ!」
「サキナ!」
アクタはサキナの名を叫び、サキナはマクウをある程度の距離まで蹴りとばす。
「邪魔をしなければ命まではとらんぞ弓使い。そこの剣士を殺した後は殺すかもだけどなぁ」
「っ!すいませんサキナ」
「いや大丈夫。やっぱりオウガ様はすごいですね。こんな強い魔族のいる依頼に抜擢されるなんて。これで私が無様に負ければオウガ様の顔に泥を塗ることになる。だから」
オウガは自分の剣に手を当てると詠唱をはじめた。




