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社会不適合者
青年は薄暗い部屋で横たわる。24年の歳月を生き、生きる気力を失い、仕事を辞めた。やがて電気もガスも止まり、衣食住も儘ならず、立ち上がる体力すら残ってない。青年が横たわる布団は糞尿で汚れ、部屋は悪臭で立ち込めていたが、もう青年にとっては何もかもどうでもよかった。
固形物を口に入れたのは一ヶ月前。まともな食事は取っておらず、排泄物は自分の意志とは関係無く液状で垂れ流されていくほど、衰弱していた。
親は四年前に絶縁され、友は疎遠になった。頼れる人物はいない。
自暴自棄になって仕事を辞め、貯金が底を付いた時は水を飲んで空腹を誤魔化していたが、立ち上がろうとする度に頭痛や貧血を起こし、とうとう立ち上がる事すら出来なくなった。
そして遂に、青年が望んだ終わりが近づいて来た。
薄れていく意識の中で青年は母の言葉を思い出す。それは喜びや憂いから来るものとは程遠い。
もっと苦しめ。
嘲笑気味に青年の口角が上がる。
「もう、充分だろ・・・」
それが、青年の最後の言葉だった。