電撃戦
人形は、段々とその姿を現した。短い赤い髪に、175cmほどの身長。頭部からは二本の青色のツノが生えていて、顔がトカゲのような男だった。
「て、天上さん!?」
「大丈夫か!?天上君!」
「無駄だ〜〜ぁ、このエレクトロン様の電撃を喰らって生きてるやつなんて悪魔でもなかなかいない〜ぜ?まして、人間なら尚更な。……おぉ?そいつ、まだ立ってるのか。もしかして、一番強いやつを先に殺っちまったかぁ?」
エレクトロンは優を一瞥すると、血月と浜野の方へと向き直った。
「〜んだよ、つまんねぇ〜な。さっさと殺して帰るか」
そう言うと、エレクトロンは電柱から地面に飛び降りた。
「まあ、さっさと死ねやぁ」
エレクトロンが二人に近づこうとした次の瞬間、優の体が動いた。
バキィッ!
「ぐぉっ!?」
優の左拳が、エレクトロンの恐らく右頬部分にめり込んでいた。
(【電熱無効】……まさかここでも役に立つとはな)
「なんだぁ、ちっとは骨があ〜るやつじゃねぇか、よぉっ!」
「がぁッ」
エレクトロンは右足で優の左脇腹に蹴りを入れる。優は家の塀に叩きつけられた。
(痛……ッ、こいつ、強いっ!軽い蹴りだけで肋骨をやられた……)
「『天壊の太刀』」
優の右手に『天壊の太刀』が握られる。エレクトロンはそれを面白そうに見つめていた。
「ホォう、面白れぇ〜、なッ!」
ガッ
エレクトロンの放った拳を、優は『天壊の太刀』で受け止める。
「二人とも、早く逃げて!」
「おお"い、逃がさねぇ〜ぜ?」
「お前の相手は、俺、だっ!」
ゴッ!
優はエレクトロンの頭を左手で掴み、頭突きを入れる。エレクトロンの〝耐力〟が優の〝耐力〟を上回ってるため、優は頭からを血を流し、純白の前髪が朱く染まる。
「邪魔、すんじゃ〜ねぇッ!」
エレクトロンが怒りに任せて優の腹部に蹴りを入れる。
ベキバキ
「ッぁがあッ!!」
骨が折れるような音と感覚、そして何かが圧迫される感覚。
バゴォッ
優は塀を突き破り、家の庭に転り、うつ伏せに倒れた。
「が、はッ」
優の口から血が吐き出る。どうやら内臓がやられていたようだ。
口元の血を右手の袖で拭い、両手に力を込めなんとか上半身を起こす。
(やば、いな……こいつ、キリスホッパーよりも断然強い……【強化解析】)
崩れた塀から庭に侵入するエレクトロンに、【強化解析】を使った。
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名前 エレクトロン モンスターランク:D
性別 男 Lv.91
体力 606
魔力 928
筋力 669
耐力 637
敏捷 811
総合 3615
SPーーーーー
ゴスッ
「ッぁ?」
そこまで見た時、頭部に衝撃が走り、視界が暗転した。
「何処見て〜んだぁ?」
ズガッ
再び、衝撃とともに視界が暗転する。
ああ、頭を蹴られたのか。
ゴッ、ガスッ、ガッ
エレクトロンは何度も優の頭を蹴りつける。
「おいおい、抵抗してみろよ……つまんねぇ〜な」
「ッ、あ……【加速】」
優の体が急激に加速し、エレクトロンに肉薄する。
「おぉっ?」
「ふ、ぅッ!」
ビュン!
優が『天壊の太刀』をエレクトロンに向かって振るうと、エレクトロンはそれを避け、風を切る音がする。
(エレクトロンの〝敏捷〟は811、今の俺の〝敏捷〟は806……クソッ、【超加速】があれば……!)
心の中で悪態をつきつつ、再びエレクトロンに刃を振るう。
「ファファッ、い〜いねぇッ!」
ミシッ
エレクトロンは優の右脇腹に回し蹴りを入れた。
「ぅッ!」
優の体は吹き飛ばされ、家の玄関に叩きつけられ、玄関を突き破り家の廊下に転がる。
「ゴフッ、くっ、そ……」
直様立ち上がり、『天壊の太刀』を構える。見ると、手が震えている。
(やっぱり、この恐怖には慣れそうにないな……)
「まだま〜だ行くぜぇッ!」
「ッ!!」
エレクトロンは優に接近すると、拳や足を次々に繰り出してくる。
優も『天壊の太刀』で応戦するが、やはり〝敏捷〟で負けているため、確実に攻撃をくらっていく。
「ファファッ、どうした〜ぁ!?その程度かッ!?」
「ッうぅ!」
エレクトロンの拳が掠る度、擦り傷ができ、蹴りが直撃する度に身体が破壊されていく。
(もう少しだっ!もう少しで届く!届け届け届け届け届けッ!!)
エレクトロンが近づいてきた優に拳を振り下ろす。そして、優はその言葉を呟いた。
「【ダブルディフェンス】」
ガッ
「何〜〜ッ!?」
エレクトロンの拳は、優の額に命中したものの、優は全く気にせずに、エレクトロンの懐に入った。
首まで、何も遮るものがない。このまま刃を振るえば、倒せる。
「ーーーー【雷牙天撃】」
そう思ったその時、腹部に衝撃を感じた。
「あ……?」
同時に、灼けるような痛みが走る。ふと、視線を落とすと、電流によって形作られた刃が、鳩尾を貫いていた。
「がッ……これ、は……〝スキル〟……!?」
「ファファッ、俺の〝固有スキル〟の派生効果だ。これも、派生効果の一つだ、見せてやるよ……【魔雷鎚】」
ドドォッ!!
雷鳴の戦鎚が、優に向かって振り下ろされた。




