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一般白髪ロリータでも頑張れば魔神殺せる  作者: 輪舞曲
第1章 崩壊し始める世界 第二幕 東京の楽園
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蠢影

ギリギリ。

「では、自己紹介も終わったところで、これからの対策について話し合っていきたいと思います」


「話し合うって、具体的には何を話すんだよ?」


 三鷹さんが手を挙げてそう言う。


「見張り番をつくるか否か、皆様のレベルに関しては、などについてです」


 吉田さんはそう言うと、俺の方へと目を向けた。


「えー、この中で一番強いのは天上さん、貴方なので、何かわかっていることや、意見などありませんか?」


 うーん、わかっていること……モンスターやスキルについてなら他の人よりは詳しいとは思うが……

 ぶっちゃけ、この後も戦い続けられるビジョンが見えない。俺たちが強くなるとしても、その間に何人が死ぬ?どれくらいモンスターは強化される?

 俺たち一部だけで戦っていてはいつか全員死ぬことになる。ならば、全員で戦ったほうがいい。しかし、戦いたくない人がいるのも事実だ。どうにか、納得してもらうしかないな。


「じゃあ……皆さんは昨日立川市のボスが討伐されたことは知っていますか?」


 俺がそう言うと、皆頷いた。吉田さんや三鷹さんは『まさか』という表情になった。どうやら察したようだ。


「立川市のボスは、俺が倒しました」


 その言葉に、皆、いや、昨日説明していた瑞姉と優姫以外の全員が驚いたような顔をした。まあ、それもそうだろう。


「俺自身、本当に死にかけのギリギリのところでした。〝総合〟は2900を超えていました」


 吉田さんや三鷹さんなど、モンスターと戦ったことのある者達が絶句する。〝総合〟2900。サイクロプスの2倍近くである。俺自身、最初見た時は同じように驚愕したから理解できる。


「一部、というのがどの程度の範囲をさすかは現時点では分かりませんが、モンスター達がSPを使い始めれば、モンスター達は今より遥かに強くなります」


 モンスターと戦ったことのある人、否……経験の無い人でも理解できる。見て、体験している人もいる。人智を超えた化け物を、人間とソレの圧倒的な差を。

 それが、更に強化されるという現実。それに、絶望するのも無理はない。


「ですが、俺たちも何もできないわけではありません。俺たちには、スキルとステータスがあります。これを上手く駆使すれば、モンスターにも対抗できるはずです」


「そ……それはつまり、私たちにも戦えと、そういうことですか?」


 血月さんが手を挙げ、震え声でそう言う。

 確かに、その通りだ。一部の人たちだけで戦っていてはとても間に合わない。今は数が必要だ。強力な敵でも、強力すれば倒せるかもしれない。


「確かに……その通りです。また他のエリアのボスがこの町に来た時、戦いたくない人は戦わなくていい、なんて悠長なことを言っていたら、俺たち全員が死ぬことになります。俺も、なるべく努力はしますが……俺が勝てるかどうかの保証なんてないんです」


「だ、だが、モンスターと戦えば死ぬ可能性もあるのうだろう?」


 浜野さんがそう言った。そうだ、モンスターと戦えば死ぬ可能性もある。


「その通りです。死ぬ可能性だってある……ですが、それは俺たちも同じです。ただ、可能性が低いだけ。いや、ボスの前ではそれも大して変わりません。俺たちが死ねば、貴方達は確実に死にます。俺たちの為じゃなくていい、自分たちのために、強くなってください」


「……しかし……」


 浜野さんは、いや、大抵の人は渋っている。怖いのだ。死ぬことが、苦痛が。俺もそうだ。死ぬのは誰だって怖いのだ。瑞姉が、視線で諦めろと言ってくる。

 仕方ない、と諦めかけた時、一人の人物が手を挙げた。


「……私は、やります。それが、皆さんのためになるのなら」


 血月さんが、ゆっくりと、しかしはっきりとそう言った。


「……ありがとう、ございます、血月さん。皆さんはどうですか?」


「お、俺もやるぞ。どうせ死ぬかもしれないなら、強くなった方がいいに決まってる」


 サラリーマンの20代後半と思われる男性がそう言う。すると、皆が手を挙げ始めた。

 最初に誰かがやると他の人に追随するというのは本当らしい。


「ううむ……しかし……」


 浜野さんは最後まで渋っていたが、BPのこと、上位(ハイ)スキルのことなどを話したら最終的には戦うと言ってくれた。全員で協力すれば、強化されたモンスター達にも対抗できる可能性があるかもしれない。

 そのあとは、俺の知っていることを共有し、見張り番を当番制で行うことになった。



「優、貴方すごいわね。まさか全員に戦うことを了承させるなんて」


 その日の夜、寝る前に保健室で瑞姉がそう言った。


「いや……本当は戦いたくない人は戦わないようにさせたいんだけど……そんなことを言ってる余裕がないんだ。まあ、全員が了承してくれたのはラッキーだった」


「優兄、なんかかっこよかった」


「はは、ありがと、優姫」


 電気を無駄遣いできないので、電気を消して早めに就寝する。


 暗くなった部屋のベッドの中で考える。

 今はまだいいが、もし更にモンスターが強化されていったら、人類側の敗北は決定的になるだろう。


(ゲームマスター、か……もしゲームだったら、楽しめたか?)


 そんなことを心の中で呟くと、自然と優は眠気に呑まれていった。



スーッスーッ


 僅かに寝息を立て、ベッドで寝ている優を、見下ろす一つの影があった。


「ふーん……成る程。確かに綺麗だねぇ。まあ、()()()が欲しい理由はどうせこの子の力だと思うけど……」


 影は優を値踏みするような眺めると、優の左頬に自身の右手を添える。


「……渡せばいいってことは……私が好きにしても渡せばそれで構わないってことだよねぇ?」


 影は目を細め、優の白い前髪をに手を触れる。


「ふふっ、こんな上物久々だし、楽しめそうだなぁ……」


ブブッ


 その時、影ポケットの中のスマホが鳴った。


「ああ、そういえばそろそろだっけ……」


 影は保健室の扉を触れずに静かに開け、廊下へ出る。影が出ると、扉が勝手に静かに閉まる。

 影は廊下を歩きながら、スマホを取り出し電話に出た。


「もしもし?」


『……出たか。てっきり契約を反故にされるかと思ったぞ?』


「えー、私そんなことしたことないけどなぁ?っていうか、電波戻したんだ」


『ああ、態々お前のところに行くのも面倒臭いし、癪だからな』


「酷ーい。ほむ姉そんなこと言うんだー?」


 影が小馬鹿にしたようにそう言うと、通話相手の声色が変わった。


『貴様……貴様のような下衆が、その名で呼ぶな。』


「あはは、ごめんごめーん。それで、契約通り私は好きにしていいんだよね?」


『……ああ、殺さなければいい』


「ふふっ、了解」


『……期限は1ヶ月以内だぞ』


「わかってるよぉ。それと、アレの準備もよろしく♡」


『……チッ』


ブツッ


 通話相手が電話を切り、通話が終了する。影はつまらなさそうに、それでいてどこか可笑しそうに言う。


「あーあ、切られちゃった……ふふっ、今回のゲームは……暇つぶしにしては、楽しくなりそうだなぁ……?」

ゲームであることを知っている人物。こういうの大好きです。

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