悪の眼差し
遅れてしまって申し訳ありません。
課題に追われていました。
「ぐっーーーーあぁッ!?」
(何だ!?何が起きた!?)
右手で左胸を押さえる。そこそこ深く斬られたようだ。
「キリキリィィ……ショセン、ヒトハワレラ、ニハカテナイノダ」
「ぐ……っ」
やつが頭を振った瞬間に斬られた。もしかして、あの触覚みたいな刃で攻撃してきたのか?
クソッ、最悪だ……【加速】の残り効果時間は34秒……それまでに、決めれるか?
「シンデモラウゾ」
キリスホッパーは今度は、頭と右手を同時に振り、日本の触手刃と右手の剣による攻撃を仕掛けてきた。
「ッーーーぁ!」
咄嗟に『天壊の太刀』で受けるも、防ぎきれず肩や足に裂傷を負う。
『天壊の太刀』とキリスホッパーの右手の剣の鍔迫り合いとなる。
「あぁぁッ!」
「キリィ……オレノキンリョクヲ、コエテイルッ」
『天壊の太刀』の補正を含めると、俺の〝筋力〟は652。対して、やつは571。鍔迫り合いなら負けない。このまま崩して、『剛腕弁慶』で〝耐力〟を貫通すれば倒せるはずだ。
「キリィッ!!」
キリスホッパーが左足を上げ、蹴りを入れようとしてくる。
(蹴りッ!?)
優も腰を捻り、右足でハイキックを繰り出した。
そして、両者の足がぶつかり合う。
ーーーザクッ
「ッあぁッ!?」
優の右太腿に、キリスホッパーの左足のつま先から伸びた刃が突き刺さり、鮮血が散った。
(こいつッ!足にも仕込んでやがった!!クソッ、ヤバい!機動力をやられたッ!!)
ズブッ、という音がして、キリスホッパーは左足を離した。優の右太腿からは血が溢れ出す。
「キリキリィ……コレデサッキミタイナ、ウゴキハデキナイゾ」
「クソッ!!」
右腕に更に力を込める。すると、キリスホッパーは再び頭を振った。
(ッ!ヤバい!またあの攻撃がくるッ!!だけど、ここで離したら、次はもうないかもしれない!!仕方ない、アレを使うか)
「【ダブルディフェンス】」
【ダブルディフェンス】の効果により、一分間だけ〝耐力〟が2倍され、914となる。
「ぐぅッ!」
キリスホッパーが頭を振ることで加速した触覚刃が優の右肩を切り裂く。
が、〝耐力〟917は伊達ではなく、僅かに出血したのみで、大したダメージにはなっていなかった。
「キリィ!?」
「っらぁッ!!」
『天壊の太刀』に更に力を込めると、『天壊の太刀』の刃がキリスホッパーの左肩に届いた。
「キリッ……」
「終わりだ……!」
もう決着がつく。そう思ったその時、キリスホッパーが左手の剣を突き出してきた。
(多少くらうか?だけど、ここでこの鍔迫り合いを止めるわけにはいかないッ!)
そう考え、ノーガードで受けようとした。
「ーーーーハーフブレイク」
はっきりと、そう聞こえた。
「は?」
ーーーーザシュッ
「ぐっ、ぁッ!!?」
キリスホッパーの左手の刃が、優の右脇腹を抉った。
(何だ今の!?まさか、スキルッ!?けど、さっき解析した時はそんな表示はなかったぞ!?)
「キリキリィィ……バカ、メ」
痛みのあまり、『天壊の太刀』に込めていた力が緩んだ。
キリスホッパーはここぞとばかりに、左足を繰り出してきた。
(ヤバいッ!)
「がぁッ!」
左足から伸びた剣が、抉られた右脇腹に突き刺さる。
〝耐力〟によりそこまで深くは刺さらないが、傷口を更に痛めつける。
「キリィッ!!」
「ぐぅっ」
更に力が緩んだせいで、『天壊の太刀』を弾き飛ばされた。
『天壊の太刀』は、5メートルほど後ろへ転がった。
(不味いッ!この際、素手でもいいっ!)
優は右手をキリスホッパーの腹部に打ち込む。
ーーーズッ
「キリィッ」
「ぁッ!?」
右手に鋭い痛みが走る。見ると、キリスホッパーの腹部からは大小様々な剣が出ており、右手に突き刺さっていた。
(コイツッ、手足だけじゃねぇ、全身に仕込んでんのか!?)
「キリィッ!」
「ぁぐッ」
キリスホッパーが右足を振るい、つま先の剣が優の左肩に突き刺さる。
そして、蹴りの勢いを殺しきれずビルの柱に叩きつけられた。
(ッッ!!ヤバいヤバいヤバいッ!【加速】の残り効果時間は10秒……『天壊の太刀』を拾って……〝耐力〟でゴリ押すか……?いや、もしさっきみたいな攻撃を受けたら……!っけど、こっちは右足をやられてる!というか、あいつに【雷電の覇者】の効果は効いてないのか!?どうすればーーーー)
いや、取り敢えず『天壊の太刀』を拾わなきゃ絶対に死ぬ。まずはそれからだ。
そう考え、『天壊の太刀』の方へ走り出す。すると、キリスホッパーが後ろから追ってきた。
「ドコヘイクツモリ、ダ?」
(クソクソクソッ!『天壊の太刀』がないと【加速】状態でもあいつの速度に負けてる!)
『天壊の太刀』の目の前まで来た時、キリスホッパーが右手を優に向かって振り下ろした。
(クソ!こうなったらダメージ覚悟でいくしかないッ!)
『天壊の太刀』を右手で拾い、背中にキリスホッパーの斬撃を受ける。
「ッッ!」
背中に僅かに血が滲むが、〝耐力〟のおかけで大したダメージにはならない。
(ここで終わらせるッ!)
キリスホッパーの背後に回り込み、『天壊の太刀』を振り下ろす。
「キリィッ!」
キリスホッパーも優に右手を突き出してくる。どうやら相手も同じような考えらしい。
(互いにノーガードッ!やるしかないッ!)
「『剛腕弁慶』ッ!!」
「ハーフ、ブレイクッ!!」
ーーーズガァッ!!
両者の刃が、交わった。
二人が激闘を繰り広げている頃、それを駅の二階の窓から見ている男がいた。
「ア〜、サイクロプスヲ殺しタヤつ、死二ソウじャねェか。マぁ、別にニンげンガドレくらい死ノウとドウでモイインだケどナァ、簡単ニクたバッテもらッチャ困ルンだヨ」
身長175cmほどの男は全身が藍色の毛に覆われていて、上半身は裸で、下半身にはグレーの半ズボンを着ている。
更に、頭からは獣のような耳が、臀部からは尻尾が生えている。
男は口元を歪め、笑う。
「ククっ、生キ残ッた方ヲ、オれが狩ル……削リあエ……」
次話は1月8日12時投稿予定です。




