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第三話 こじらせ高校生

昔から女の子と話していても

ドキドキしなかった。


可愛い子にも綺麗な子にも

優しくされても甘えられても

ドキリともしなかった。


決して女の子が嫌いな訳では無い。

ガールズトークは聞いてて楽しい。


だからって【男の子】が好きな訳でもない。

男友達とも女子同様のトークで満足している。


結論からいうと

僕は【恋愛】でいう【トキメキ】を感じたことがないのだ。

それをクラスの女子に話したら


「いつか、透くんにも現れるといいね! 運命の人」


運命の人ってーのもしっくりこない。

赤い糸で繋がってるってーのもよく分からない。

そんな束縛したところで幸せと呼べるのだろうか?


……相当こじらせているって言うのは自分でもわかっているのだ。



「美味しかったね! 透くん!」

3人で頼んだパフェは本当にお値段以上の味と見た目で僕はビックリしつつも味わって食べた。

こんなパフェがある喫茶店を知ってるなら紹介してくれよ富井。

「抹茶の渋みもいい塩梅だった。白玉がモチモチでうまい」

「お前ならそーいうと思った」

富井は頬杖着きながらニヤリとした顔で俺を見ていた。

「また透くんの事ひとつ知れた! メモメモ…」

おいっ! メモってるのかよ!

「で、どーすんだよ。お前ら付き合うのか?」

「……僕は友達としてがいいんだけど」

僕はちらりと弥高さんの方を見た。

「と、友達でも大歓迎ですよ! 実物リアルが隣にいてくれるだけで私生きててよかったとおもうので!」


おいおいショックどころか、キラキラした目で僕を見ている…これは正直にいうべきなのだろうか。


「弥高さん。僕は恋をしたいとは思ってないんだ。人を好きになる感覚が欠落しているというか、、、だから君の期待に応えられないこともある。それでも友達になってくれるなら、だけど、いいのか?」


キョトンとした目で僕を見る。

「はい! 言ったじゃないですか! 私は透くんのことしってますって! 付き合って欲しいのは山々ですけど今の私は透くんと同じ学校で同じ教室で同じ空気吸えているだけで幸せなんです……!」

いやもうそれ変態レベル。しかもそれをみて富井は腹抱えて笑ってる。体を震わしながら笑ってる。


「わーった! わかったよ!んじゃ、ヨロシク」

僕は弥高さんに握手を求めた。

「へ?! ちょっと待ってください! アルコール消毒しますので! ……はいっよろしくお願いします!」

おいおい僕の手そんなに汚かったか?


「あぁ……この右手今日は洗えない…!」


洗え!!

そして富井はまだ体を震わしながら爆笑していた。



喫茶店をでて帰り道がそれぞれ違ったので解散した。

なんだか今日は変な一日だった。

平凡な毎日だったのに、弥高友里乃さんという女子高生の出現で僕の高校生活が少し変化したように思えた。…僕的には普通なこうこうせいかつをおくりたいんだけど。

それが吉と出るのか凶と出るのか、分からない。

とにかく、これから弥高さんに絡まれるのは覚悟しなければ。



「おっかえりー! マイブラザー!」

帰った途端玄関口で両手を広げて待ち構えて居たのは僕の10歳上の姉、吉岡結絃(よしおかゆづる)は、都心のスーパーで働いている社会人。軽めのパーマがかかったセミロングが女性らしさを醸し出していて、大学時代はちょくちょく色んな彼氏を家に連れてきていた。所謂モテ女だったのだ。今はだいぶ落ち着いてきたが、僕へ対する愛情は昔から変わらなかった。


「ゆづ姉ねぇその出迎えやめてくんない? そのせいで女性嫌いになりそうだわ」

「えーーん? こんなに可愛い大人の女性に抱きしめられるんだよ? もったいないよ? トーくん!」

あ、あと胸がでかい。胸がでかいおかげで直ぐに彼氏が出来て直ぐに別れる。これは女の武器だな。

台所からカレーのいい匂いがしていた。

「あら、おかえりなさい。透くん。今日はお姉様特製のグリーンカレーよ」

台所で料理をしているのはもう1人の年子の姉、吉岡葵瑠(よしおかまもる)、高校三年生。ゆづ姉とは違って、清楚な容姿。ストレートの黒髪にメガネを掛けていて近寄り難い感じだが、高嶺の花と称されているとのこと。しっかりしているようでどこか抜けている姉だ。


「なーんでよりによってグリーンカレーなの? 普通のカレーじゃねーの?」

「え、だって今流行ってるから。タイ料理…」

「まも姉ねぇの趣味を晩御飯にまでださないで!」

「でもでもーまもちゃんのこないだ作ったガパオライス美味しかったよ? いいじゃん! 異国に行ったみたいになれるんだし!」

悠長にまも姉に加勢するゆづ姉。僕はこの2人の姉に昔から勝てないのだ。


まぁ、僕が【恋】をしない理由の根源でもある。


「そういえば、今日僕、告られてさー」

いただきますをして、一口目を食べ終えた直後、僕はそういった。

カラカラカランとスプーンがお皿に当たる音がする。

「え、だれ? どの子? 私知ってる子?」

ゆづ姉は興味津々に僕の横で女の武器を当てながら聞いてくる。

「ついに透くんにも、ねぇ。これはお母様に連絡しなければ…」

まも姉も気が早すぎる。ポケットからスマホを取り出してお母さんに連絡いれようとしている。

「ちょ、たんま! 告られたけど、断ったから」

「えーーー! なんで? その子そんなにかわいくなかったの?」

「違うし。そもそも僕は恋なんてしないし」

「透くん。恋をすると、肌のツヤが変わるわよ?」

「なんで恋しないなんていうの! トーくん!」

いやいや、原因は元凶はあなたたちだから。っとまでは言えずにもくもくとグリーンカレーを食べる。

「高校生活って一度しかないのに。トーくん、考えたことある? 人生100年時代、そのうちの3年間の人生よ? 100分の3よ? 時間に換算すると……」

ゆづ姉が真面目な顔をして僕の横で計算し始める。そんなこと考えたって僕はしたくないんだ。

「透くん。断るのは透くんの勝手だけども、その子は傷ついていなかったのかしら?」

「あ………、むしろ喜んでいた? 友達でもいいって」

「変な子ね」

「変な子だわ」

この時は姉の意見に同意した。確かに変な子だと、改めて思う。

好きだといっていたのに、友達でいいのか?

僕のこと好きならもっと距離を縮めたいとか思うんじゃないのか……

でも、むしろ、なんか、神様みたいな扱いだった…。


弥高友里乃、やっぱへんてこな子だ。


そう考えながら僕はまも姉の作ってくれたグリーンカレーを完食した。

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