第一話 変化のはじまり
久々に少女漫画風の恋愛ものを書いています。
読者のみなさんに楽しんでいただけるようにとおもっています。
どうぞよろしくお願いいたします!
高校生の平凡な毎日に何かしら変化があるといえば
「恋愛発展」が主だろう。
でも僕にはそういう恋愛願望はない。クラスには楽しい友達や、親友がいる。女子たちも僕を異性扱いしてないお陰で意識せず話せるから僕としてはそれが居心地が良いのだ。
そんな人間だから恋愛なんて考えてなかったし
女子から「好きです」と言われることなんてないし行ったこともない。
ましてや僕から好きになった女子はいないし告ったこともない。
そんな僕に、突然現れた女子生徒が
「透くん! 好き!!!!!」
と、言ってきたのだ。
僕、吉岡透は
先程述べたように何の変哲もない平凡人間である。
見てくれもかっこいいとは思わないしモテてるともおもわない。女子から告白はないけどよく話しかけられるし恋愛相談みたいなものもされたりする。
ようは「みんなと仲良しな平凡人」なのだ。
そんな僕に、前のめりに「好きです!!!!」とまるでバドミントン選手の渾身のスマッシュを決めたぐらいの高速さを感じる愛の告白をうけて、僕はラケットを振ることが出来なかったのだ。
告白してきた人、弥高友里乃という子だ。「という子だ」というには理由がある。その子は本日僕のクラスに編入してきた人だからだ。
高校二年になっての5月GWが開けての転校生だ。変な時期に転校してきたなとは思ったけど、まさか告白してくるとは思わなかった。
「いーや、まてまて、え? ガチ? まぢ? 人違いじゃない?」
「ガチマジじゃないと、いえません!!」
そんな勢い余って言わなくても…
ちなみに今この愛の告白を受けている場所は、漫画とかでありがちな屋上や人気のない公園とかではない、朝のホームルームが終わったあと、この子が僕の席の前にきての出来事なのだ。
ともすれば周りには観客というクラスのやつらが沢山いる。
「えーーー!! なんでなんで?」
「おいおいー、ヨッシーに遅めの春か?!」
クラスのやつらがあらゆることを言ってくる。が、それをつっこめる心境ではない。
弥高さんのキラキラした目から視線を外せないのである。
「透くんのその名の通りの透明感ある肌! 可愛い後頭部! 照れるけど正直なところ! 笑ったら可愛いところ! もう、私の心臓もたないんです!!!」
いや、まて、恐ろしいわ! だって今日初対面じゃないか…こんなのまるで前から知ってたというか見てたって感じじゃ………。急に恐怖を感じた。
「やっと、やっとなんです! 生透くんに会いたくて編入してきたんです! まさか同じクラスにしていだけるなんて、本当に、神様ありがとうございます!」
いやいや、お前どんな権力つかって編入してきたんだ?
そんな動機で学校編入できるんか??
そもそも弥高さんは僕を知っていた?? なんで? どこで?
僕は一度会ったことあるのか??
「こら、やめい。」
弥高さんの頭をチョップして彼女の興奮を止めたのは親友の富井圭吾だ。
ナイスタイミング! さすが富井!
「ちょ、痛いよトミー!」
「明らかにこいつ引いてんだろ。落ち着けって」
「でも、やっと、やっと会えたんだよ? 落ち着いていられる?」
「いや周り見ろって」
富井は弥高さんの頭を両手で押さえ込み首を左右に回した。
「な? みんな引いてる」
「……あ、ちゃーーー」
弥高さんはへにゃと座り出した。
「えーーどゆこと?」
「なんだよ、三角関係かー?!」
「トミーどうゆう関係なのー?」
クラスのやつらが富井に事情聴取をする。
1番聞きたいのは僕で、1番の被害者は僕だ。
「あー、こいつ、俺の幼なじみ」
富井は弥高さんの頭をぽんっと置き少し撫でた。
僕は呆然とした。目の前で何が起きてるのかまだ理解ができていないのだ。
「親同士が昔から仲良しなんです!」
それにしては付き合ってるような雰囲気じゃないか? 富井からは一回も恋愛相談みたいなのは聞いたことないし、そもそも幼なじみの女の子(同級生)がいるなんて初耳だし。でも彼女は僕のことを知っていて「やっと会えた」と言っている。どうゆうことだ?
「ちなみに、みんながいうこいつとの恋愛発展は全然ないし、むしろさっき皆が見た通りだから」
まてまて、富井、僕の事助けてくれたんじゃないのか? これじゃまるで…
「てなわけだから、透くん! これからよろしくお願いします!」
弥高さんはにこっと満面の笑みでいう。いやいや訳分からんから!
平凡な毎日を送ってきた僕だぞ?こんな変化球がきて、受けて立つ! ってなるわけないだろ?! そもそもこの状況がのみこめないんだけど!
「まって、僕、まだ弥高さんのこと全然知らないし、突然好きだって言われても困るからさ、まずは友達からでいいかな?」
「大丈夫だよ! 透くん! 私は透くんのことしっかり知ってるから!」
親指たててグッドサインをする。何を根拠にそんな事いうのだろうか。
何を知って僕のことを好きだと言ってるのだろうか何かしたのだろうか?
僕の頭ではずっとはてなマークが離れなかった。
嬉しそうにニコニコしながら笑う弥高さんとやれやれと面倒くさそうにする富井が僕の前で立っている。僕は大きくため息をついた。
このとんでもない転校生からの愛の告白が、これから先とんでもなく苦しく、
でもとても幸せだと思える残りの高校生活を送ることになる。