初戦闘
やっぱり醜悪な見た目だな。
「鑑定」
《種族》ゴブリン
《属性》闇
《ランク》G-
レベル2 MP0 筋力 7 防御力 3 敏捷 4 魔力 0 魔法防御力 0
《通常スキル》仲間を呼ぶ
なんだこの脳筋ステータスは。
防御と敏捷は人より少し高い程度なのに筋力は俺と同じじゃないか。
筋力7のゴブリンの攻撃を防御力6の俺が受けたらどれくらいダメージを食らうかわからないが、防御力より高い数値の攻撃を受けて試すようなことはさすがにできない。
幸い敏捷は圧倒しているのだから攻撃を食らわずに倒そう。
何より不安なのがスキルだ。
仲間を呼ばれて多対一の状況に持ち込まれることだけは避けないといけない。
アルはまだとても戦えるようなステータスじゃないのだから。
「%#&%&$!」
ゴブリンはいつまでも待ってくれないようだ。俺めがけて素手で突進してくる。
中々の迫力なのだがなぜかあまり怖くも無く冷静でいれている。
なにより相手のスピードが遅く感じるのだ。というより自分が普段の動きより格段に速くなっているのだろう。
だが油断はできない。敏捷は圧倒していても筋力は同じなのだから。
俺はゴブリンの素手の攻撃をかわし、頭を思いっきりフライパンで殴った。
中々いやな感触だったが、ゴブリンは頭を押さえながらふらついている。
「悪く思わないでくれ、こちらも生きるために必死なんだ。」
ゴブリンはふらつきながらも何かをしようとしているようだったが、俺は躊躇することなくゴブリンに突っ込んでいきゴブリンの抵抗であろう鈍足のパンチをよけてもう一発頭をぶったたいた。
「&%、、」
ゴブリンの口から悲鳴のような声がこぼれ、そのまま倒れた。
すると、急激にゴブリンの体が圧縮されて黒色の小さな石となってしまった。
「経験値を獲得しました。レベルが上がりました。」
「倒したのか?」
何やらフラグのような発言をしてしまったが、経験値がはいってレベルが上がったようだし危なげなく倒せたようだ。初戦闘が無事終わって良かった。ここで苦戦しているようならとてもじゃないけど生きていけないだろう。
「さて、問題はこの石か。」
ゴブリンの体が石になったのには少々驚いたが、とりあえず鑑定をしてみる。
《闇の魔石(G-級)》
闇属性を持つ魔物が死んだときにその闇属性の魔力が結晶化したもの。微々たるものだが、魔力を宿している。
魔石か。これまた定番のものが出てきたな。ゲームなんかではこれを元に武器とか防具とかを作れるが、今の俺にそんな能力は無い。さて、どうしたものか。
どうしようか考えていると、戦闘中隠れていたアルが近づいてきて、魔石と俺を交互に見てきた。
「ほしいのか?」
そう俺が聞くと、アルは嬉しそうにうなずいてそれを食べてしまった。
「おい!大丈夫なのか?」
「召喚獣アルのレベルが上がりました。」
「は?」
俺の心配をよそに、アルのレベルが上がったというアナウンスが聞こえてきた。
どうやら召喚獣は魔石を食べることでレベルが上がるようだ。
一体どういう原理なのか謎だが、アルのレベルをどうやってあげようか悩んでいたからこの誤算はうれしい。
この調子で魔物を狩りながらスーパーに向かうとしよう。