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ゴ●ラ

キーワードが設定されていないため、検索しにくくなっています。って出てるんですけど、どうしたらいいですかね?異世界は恥ずかしいから、胃下垂でいいですかね?怒られるかな?胃下垂出てないのにそんなことしたら。

その世界では、いくら待っても夜になることは無かった。

「インソムニアじゃないか」

ずっと白夜の。アルパチさんとあとロビン・ウィリアムズの。それからヒラリー・スワンクの出てくるあれじゃないか。それにいくら探しても時計が無かった。銭湯内を色々と探してみたがほんと一つもなかった。液晶の類も全部時計表示はなかった。テレビは砂嵐で映らなかった。

「砂漠の中のテレビが砂嵐。面白いねー」

佐々木はそんな感じできゃっきゃしてたが、腹立った。水没から助けなきゃよかったと思った。また沈めてやろうかと思った。

「しかし、これはもうあれだね西村」

「何よ?」

「夢見草使うしかないね」

なんだそれは。でもまあ、何にしてもないだろうけどな!

「あー、まあ貴重なアイテムだからねえ・・・ブラックマーケットでしか手に入らないかあ・・・」

そういうのじゃなくて!

「サボテン君も探さないと」

探しとけ!


それから何か使えるものはないかと銭湯のあちらこちらをくまなく探して回った。何にせこのままずっとここにはいられない。

「なんか探せ!武器になるようなものとか」

バールとか、鉄パイプとか、何でもいいから。ついでに引き出しとかにタイムマシーンとか入ってたら最高。

「隊長ありました!」

「誰が隊長だ!」

それで見つかったのはそれぞれの名前の書かれているクリーニング店のタグみたいなのが付いたポンチョ。それぞれ首のわっかのところに、佐々木咲羽。西村瑞穂。と書いてあった。外に出て日に焼けないように、直射日光を浴びないようにみたいな。そんな気遣いいらねえ!帰せ家に!しかし何もないよりはマシかと、二人で脱衣所の鏡の前で着てみた。

「私そっちがいいなあ・・・」

「変わんねえじゃん!」

青いドットと赤いボーダーじゃねえか。どっちでもいいよ。どっちも等しくダサいよ。酷いもんだよ。顔だけ出してさ。なんだこれは。弁慶か!byサンド。

「でも、ボーダーって太って見えるから」

「水玉だって、着てたら水欲しくなって喉乾いて死ぬかもよ」

「あー」

あーじゃないよ。っていうか太って見えるって言われたら、絶対に取り換えないから。


それからレジの中に昔のお金が紐でくくられたものが入っていた。

「六文銭だね」

六文銭?なんか聞いたことあるなあ。確か・・・死出の旅路における、三途の川の渡し賃?

「鈴木六文!」

「うわあ!びっくりした!」

何だお前こらああ!いきなり耳元で叫ぶんじゃない!何を魔王の漫画のゲルショッカーみたいな感じで叫んでんだ!佐々木ぃ!この野郎!あと誰だ!

「魔王 JUVENILE REMIXね」

こまけえことはいいんだよ。

「るくるくの」

何だ。うるせえな。うるせえな!


その後、二人でポンチョを着たまま、受付の所にあるベンチに座って冷蔵ショーケースのコーヒー牛乳を飲みながら外を眺めた。

「やっぱり夜にならない、時間が流れてない」

「太陽が燦燦としてますねえ、愛燦燦だねえこら」

あっついんだよなあ。死ぬほどあっついんだよなあ。外。行きたくねえなあ。コインランドリーに行ったからって何があるかもわからないし。ここに居たってどうにもならないのはわかるけど。でもなあ砂とかだってローファーに入っちゃうかもしれないしなあ。

「佐々木、ほんとに行く?」

「え?何が?」

佐々木は、コーヒー牛乳の紙の蓋を口にくわえてぴこぴこしながらこちらを見た。全く何も考えていないみたいな顔をしていた。天気いいなあみたいな顔。洗濯もの乾くだろうなあみたいな。そういう顔。

「何考えてたの?」

一応聞いてみた。

「ロボが、この砂漠を整地して緑の生い茂る場所にするまで何年かかるかなって」

「へー」

クロノトリガーの事考えてたんだ。へー。


「そんで祭壇に安置されるじゃん。私も安置されたいと思って」

安置されたいんだ。へー。


安置してやろうか!お前を蝋人形にしてやろうか!



それから意を決して二人でどれくらい歩いたらあるかもわからないコインランドリーに向かうことになった。

「どれくらいある?」

距離的なものは。何せそのコインランドリーは佐々木にしか見えない。私の肉眼の限界。その限界の先にコインランドリーはある。佐々木には見える。壁にカエルの絵の描いてあるコインランドリー。

「うーん、砂漠で距離を測ったことないからなあ」

そらそうだけど。どれくらいあるかどうかによってさ、私のメンタルの準備とかあるじゃないですか。


「ラクダとかだったら・・・」

「ラクダの話いらない」


「フタコブラクダだったら」

フタコブラクダの話もいらない。


そんな感じで私達は銭湯を出発した。相変わらず太陽が阿保ほど照らしてきていた。そんな中、二人してあほみたいなポンチョ着て、口のあたりにはナウシカのマスクみたいにタオルを巻いて、牛乳瓶に水入れて片手で持って、

「牛乳って気温高いとすぐダメになりそうじゃない?」

「あー、それあるなあ!」

それで牛乳瓶に水入れたのを持って。蓋が無いのがしんどいんだけど。二人してそれを持って。あと一個ずつ六文銭をひもでくくったものを持って。


それで一歩ごとにローファー内にざしざしと音がする砂、鳴き砂みたいな砂の侵入を許しつつコインランドリーに向かった。

「ダメだったら戻ってこよう」

「イエスサー!」

微笑みデブかお前は!

でもまあ時として戻ることも必要だ。無謀や命知らず、考えなしが英雄視されるのは空想の話の中でだけなんだ。現にその昔、考えなしに連載を始めて挫折して心折れた人を私は知ってる。私知ってます!(cv:佐藤聡美)。


「人生は・・・人生って、だっけ?不思議なふふふふふ~ん♪」

先を歩いている佐々木は、おそらくだけど愛燦燦を歌ってる。でもうる覚えだ。まあ、ちゃんと覚えてたら困るんだけど、JASRAC案件になっちゃうから。


とにかく私達はしんどいしんどいってなりながら、コインランドリーに向かった。


「西村見えた?」

「見えねえ!」

佐々木によると銭湯を出発した頃よりもコインランドリーはもだいぶ見えるようになってきたらしい。いや全然見えんけど。私の目ってそんな脆弱?ほんと全然見えないけど。いや、っていうかさ、

「ねえ、佐々木さ、あれじゃないよね?」

「あれってよ?」

あれ。世にもの。

「映画版の最初の雪山のやつじゃないよね?」

「ああー、あれかー」

あれじゃないよね?あれが雪山だったからそれに対抗して砂漠にしてるとかそういうのじゃないよね?ねえ?あれだったらやべえぞ。おい。どうなの?ねえ。


「あれだったらどうする?」

佐々木は振り返ってメンソレータムのリップの小悪魔の橋本環奈の感じの流し目の感じでなんかほざいた。

もしもあれだったら・・・。

「たとえそれで私が死んだとしても、佐々木を埋めます」

埋めます。


がっつり埋めますから。地下水出るくらいまで掘って埋めますから。一生許さない。絶対に許さない!これはネタにしちゃいけないらしいから(cv:)は無し。


「ああーみえたー!」

ようやくズタボロの布切れみたいになってた私にも件のコインランドリーが見えてきた頃、

「うおおお!」

先を歩いてた佐々木が叫んだ。

「もう、なんですかあ・・・」

こっちはもう満身創痍ですよ。満身創一です。もう無理です。何も入りません。疲労困憊です。次のアンタップステップにアンタップしないですよ。


「ゴジ●だ―!」

は?

「すげーまじかー!」

嘘だろ?

見ると、見上げると、疲労困憊どころか疲労コンバインくらいに疲れた顔を上げると、

「おお・・・」

確かに●ジラだった。コインランドリーよりも春か無効。いや、変換!動揺してる。遥か向こうずっと先にゴ●ラがいた。背びれが見える。それは私の脆弱な肉眼でもはっきりと分かった。あの特徴的な背びれ。見間違えるはずもない。怪獣王だ。それが悠然と。まるでジュラシックワールドとかのブロキオザウルスみたいに悠然と歩いていた。


「こんなところで何してんのかな?」

佐々木はその背に向かってぼそっと言った。


いや私達もじゃんそれ。


「あとあれはラゴス島からベーリング海に転送されて、帝王グループの原子力潜水艦むさし2号をぶっ壊した後のゴ●ラだな」

そんなんどうでもいい!


今はどうでもいい!


今じゃなくてもいいそんな考察。



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