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学園のまにまに十二話3

やがてトイレからサヨと時野アヤが帰って来た。

「まちぽよー!」

「まちぽよ!?」

サヨの発言にいちいち答える俊也に時野アヤはため息をついた。


「おまたせ。俊也君、サヨにいちいち反応しなくてもいいのよ」

「う、うん。ついうっかり……」

俊也は軽く苦笑いで答えた。


「じゃ、行くかい?」

「そうしましょ」

日高サキに時野アヤは同意した。


俊也達はコンサート会場の神社に足を進めた。

「神社でロックフェスか……」

「えー?別にいいんじゃん?だいたい一緒に騒いでるよ?」

俊也のなにげない一言にサヨが答える。


この答えは前にも聞いている。たしか、テレビでお祭りの報道がやってると楽しそうに映る神々がいるとか。


その後、俊也がニュースの録画の話を持ち出し、サヨに馬鹿にされる。


「そうなんだ!」

俊也は二の舞にならないように返事だけした。


「おにぃ、珍しいね。おにぃなら見たがると思ってたのにー。ニュースの録画してある?とか笑えることを聞いてきそうだなーとか」

サヨの言葉に時野アヤと日高サキは「いやいやないでしょ」と鼻で笑っていた。


これはこれで嫌である。


なんだか嫌な気持ちを抱えつつ俊也は会場まで歩いた。


会場は一度経験したあの時と対して変わらなかった。神社前では屋台が出ていて子供連れがワイワイ騒いでいる。バナナチョコや射的といった昔からある屋台が多い。涼しいのにかき氷もある。


俊也達は横目で見ながらコンサート会場のチケット確認所に並び、中へと入った。

俊也はなにげなくとなりにいた日高サキを見る。

日高サキは俊也に気がつかずサヨと楽しそうに前の方へと走っていった。


……彼女の話をしっかり聞くと……日高さんは二回も同じ事を経験しててはじめてのように振る舞っているということになる……。


……不思議だ。

おかしくならないのだろうか。


目線を日高サキから外すと時野アヤが右側を凝視していた。


……ああ。


俊也はピンときた。前回、となりには芸術神の姉妹とやらがいたはずだ。

目を凝らすと金色の髪が見えた。ツインテールの子は小さいのでたぶん妹、時野アヤと同じくらいの歳に見える子はたぶんお姉さんだ。


ふと、お昼に父から聞いた話を思い出した。


……彼女は僕達の先祖と関係があるらしいこと。


「ちょっと会話してみよう」

「え?」

俊也の言葉に時野アヤが訝しげにこちらを見た。


「あ、いや……あそこにいる神様が気になるなと。ちょっとお話に行きたいんだけど時野さんも行く?」

「え?ええ。いいわよ。そうだった。あなたも見えるんだったわね」

時野アヤは突然の事に驚いていたが了承した。


まだコンサートは開始していない。もう少し時間があるようなので芸術神と話してみる事にした。

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