学園のまにまに五話3
戦いが始まった。
会場は熱気に包まれている。
俊也は順番まで冷や汗をかきながら他のチームのプレイを見ていた。
目には見えない女の戦いが繰り広げられている事とまわりの女性達のゲームの上手さが俊也を震わせている。
……こえー……。
皆、顔が怖い……。
もっとワイワイ楽しくやるゲームじゃないの?これ……。
プレイ中の女性達が握っているコントローラーは壊れるんじゃないかと思えるくらい激しくボタンが押されている。
……というか、これ、けっこう操作が難しいんじゃ……。
俊也は観察している内にさらに顔を青くした。
プルプル震えているだけの時間は残酷であっという間に日高サキ達チームの番になった。
……いやー!順番きちゃったー!
俊也は時野アヤ達の前なので努めて冷静にしていたが心はもう折れていた。
「あ、ちなみにさ……、僕は負けてもいいんだよね?」
完全に萎縮した俊也はとりあえず日高サキに確認をとった。
「何言ってるんだい?負けてもいいなんて言ってないよ!さあ!気合いをいれるよー!」
日高サキはやたらと気合いを入れていた。俊也はもうだめだと思った。
実況アナウンサーが日高サキチームと相手方のチームを会場のステージへとあげる。
どよどよとした声と歓声が俊也を包んだ。
よく聞くとどよどよしている原因は俊也にあるらしい。
この会場内で唯一の男性参加者だからだろう。女性達の興味が俊也に向いていた。
……ひぃー……よくよく聞くとあの子、どんだけ上手いのかしらとか聞こえるー……。もうやだ。帰りたい。
「あ、じゃあ最初は俊也君!よろしく!こういうのはラストに主将が出ていくもんだから最初はそんなに上手くない人が出てくるさ!」
俊也の心を丸無視した呑気な日高サキの声が耳に入ってきた。
もう逃げられない。俊也は仕方なくステージにあるゲーム機前に立った。コントローラーを持つがゲームをあまりやらない俊也はどのボタンがどれなのか全くわからない。
これはしばらくトラウマで何回か夢に出てくるかもしれない。
対するは小さな女の子だった。小学校低学年くらいかもしれない。かなり大人しい感じの少女だがなんだかオーラを感じる。
しかし、このチームは応援団まで引き連れ「なんとか神愛」とか書いてあるハッピみたいのを着ている。ちなみになんとかの部分は漢字で神の名前が書いてあるが難しくて読めなかった。
年齢はバラバラでなんかのコミュニティで出場している感じだった。
「第十五戦開始しますっ!キャラクターを選択してくださーい!」
アナウンサーが熱く叫んだので俊也は慌てて操作するキャラクターを選ぶ。
……わっかんねぇー!!何がいいんだ?横にスライドするには方向キーでいいのか?
まごまごしていたら時間切れでカーソルの合っていたキャラになっていた。
……えーと。天津彦根神?タイプ龍神?タイプ龍神って何?
気がつくと試合がスタートしていた。アクションゲームなので必殺技があるらしいがよくわからない。
「えーん……やり方がわからなーい……」
俊也は半泣きで方向キーを動かす。女の子は俊也の出方をうかがっているのかまだ攻撃を仕掛けてこない。上手いと思われているらしい。悲しいことだが。
「もう!何やってんだい!ガーッと倒すんだよ!」
日高サキが無茶な指示を飛ばし始めた。
「そ、そんなこと言われても……」
俊也がまごついていると女の子が攻撃を仕掛けてきた。当然だが女の子はとっても強かった。フルボッコにされヒットポイントが残りわずかになっていた。
秒殺である。
「もー!仕方ない!みー君!俊也君を助けてあげておくれ!」
「何バカなこと言ってるのよ!人間に厄神をつけるんじゃない!」
日高サキの発言に時野アヤは怖い顔で怒った。
「ちょっとだから平気だよー。みー君、お願い!」
日高サキが何にもない空間に手を合わせていた。
するとすぐに俊也に悪寒が走った。
「いっ!?なんだ!なんか気持ち悪い……」
寒くないのに寒く、変なものがあふれでてくるような気持ち悪さを感じる。
ふと気がつくとコントローラーのボタンが触ってもいないのに勝手に動いていた。
「うぎゃあああ!?」
俊也は恐ろしさのあまり叫んだ。
「こんっ、こんっ、コントローラーがっ!」
しかもコントローラーから手が離せない。何かに包み込まれている。
これは一種の恐怖である。
……呪いだ!呪いのコントローラーだ!!
「た、助けて……」
俊也は情けない声で小さくつぶやくとそのままぶっ倒れて気絶した。




