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神々の世界18

現在、凍夜の世界の一部であろう城内部で、ルル達は脱出できる部分を探していた。ルル達が鎖に繋がれていた部屋の横が隠し扉になっており、その先の地下の廊下を歩いている所だ。


「……まずいな……」

千夜の息子にして望月家の当主の明夜は優しげな顔を歪めた。

「……ど、どうしたの?」

「凍夜様のご帰還だ」

「……」

明夜の言葉にルル達は言葉を失った。


「上手く逃げられなくなった……。なんだ……帰ってくるのが早すぎるぞ……」

「……じゃあ……私達」

憐夜が激しく震えだした。憐夜はルルを逃がしたこと、竜夜とかいう兄弟に喧嘩を売ったことなどに今更ながら恐怖を抱いていた。


「……大丈夫……。見つかったら俺がなんとかするから、泣かないで」

「……なんか変な感じ……。私の方が年上なのに……」

憐夜は困惑した顔で明夜を見上げていた。明夜は千夜の息子なので憐夜よりも年下である。


「……ねぇ、それよりこの廊下、どこに繋がっているの?」

ルルは怯えながら明夜に尋ねた。

「……外だよ……まずい」

「……?」

廊下の先から禍々しい気配が立ち込めてきた。ルル達が進んでいる方向から恐ろしい気配が近づいてきている。


「……走れ!早く!戻れ!!」

明夜がルルと憐夜に叫んだ。二人が震えながら元来た道を戻り始める。刹那、目の前に凍夜がいた。

異様な速さだ。やはり忍の足は異常である。


「こんな狭いところで何をしている?……ほう、やってくれるな」

凍夜は嘲笑しながら逃げ去る二つの影を見据えた。


「……もう隠し通せませんね……。俺は彼女らを逃がしたんですよ」

「くくく……おもしれぇガキだ。さすがあの千夜の子、千夜も俺にたてついてる。おもしろいことだ」

「それは愉快ですね。俺も愉快」

明夜は冷や汗をかきながら凍夜を観察する。凍夜は刀に手をかけていた。


……ああ、そうかよ。ついに俺に手を上げるか。大事なものが俊也に変わったか、凍夜。

だが、俺は殺せない。


俺が死んでもこの世界から出るだけさ。


「お前がここで死ねば……」

「……」

凍夜が明夜を下げずんだ目で見つめる。


「あいつらに、さらに強い術をかけられるな……くくく」

「……!」

明夜は目を見開いた後、軽く口角を上げた。


……そうきたか。


「さあ刀神、こいつを処分だ」

「……刀神?」

凍夜は刀を抜いた。その刀は不気味に輝いていた。近づいたら噛みついてくるような雰囲気がする。


……妖刀……?

……違う……。

こいつが持ったことによって刀神が『堕ちた』んだ!


「……相変わらず勝てそうにないですね……」

明夜が皮肉を言いつつ、自分の刀を抜いた。この狭い場所で斬り合いはできない。

……と思ってるのは俺だけかな。

こいつ、関節外したりできんだよな。

明夜は刀を構えたまま、じりじりと後ろに下がっていく。


「刀の使い方も知らんだろう。お前には何も教えてきていない。こういう時に歯向かわれると面倒だからな。お前は俺の飾り人形でいいんだ。もういらないがな」

「またまたご冗談を……」

明夜が苦笑いをした時、凍夜が刀を振るってきた。刀は妖しく発光し、真っ直ぐに明夜を捉える。


壁などがまるでなかったかのように、紙のように、斬られていく。切断された場所は糸鋸で切られたかのように真っ直ぐだ。


「……嘘だろ……。刃こぼれとか言ってる次元じゃない……」

明夜は仕方なく、迫り来る凍夜の刀を自身の刀で受け流そうとした。刀同士がぶつかり合った刹那、凍夜の刀がまるで空気を切り裂くように入り込んできた。


「っ!?」

気がつくとなんの抵抗もなく、明夜の刀の半分から先がなくなっていた。剣先が無惨にも廊下に転がる音が響く。


「……切れ味がおかしいよな?」

明夜は冷や汗をかきながら折れた刀を再び構えた。そのまま後退りをする。


……もう、彼女達は逃げられただろうか?予想では今、『竜夜達がいない』。何かの任務についたかわからないが、凍夜直々に俺達をどうにかしようとしていることでわかる。

問題は、俺がどうやって逃げるかだ。


「……あ!明夜!……げっ!」

ルル達がいたあの部屋からサヨの兄である俊也が突然に現れた。俊也は明夜を見つけると不安げな顔を一時和らげ、また凍夜を見つけて元の顔に戻った。


「俊也!部屋にいろって……!」

「あ、あー……うん。なんかひとりだと不安だったから明夜を探してて……騒がしい方に行ったら……」

俊也は動揺していた。目が泳いでいる。


「そうだ!」

明夜はひとり頷き、困惑している俊也を引き寄せた。


「わっ!」

「……俊也、盾になってくれ」

「ええ!?」

明夜の言葉に俊也は驚愕の声を上げた。

「ははー、頭のいい策だ。で?どうする」

凍夜は赤子をあやすかのように微笑みながら明夜を見ていた。その微笑みはかなり不気味であった。


「逃げる」

明夜は苦笑いのまま、凍夜に何かを投げつけた。

「……っ!なんだ?」

玉のような何かは凍夜に黒い煙を放出し、同時に焦げた臭いを撒いて爆発した。

爆発に身の危険を感じた凍夜はとりあえず後退し、煙が晴れた所で明夜達を探すが彼らはもうそこにはいなかった。


「くくっ……。肉体が向こうにある俊也はここから逃げられない。明夜はどうするつもりかな?」

凍夜はゲームでもしているかのように不気味に笑っていた。

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