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おっさん、早期リタイアしてキャンピングカーでのんびり異世界ライフ  作者: 椎乃律歌
第二期 第七章 ドワーフ国その三

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第四話 モン・ジャ山ハイキング その4 

 モン・ジャ山を眺めながらコーヒーを楽しんでいると。ご飯を炊いていた固形燃料の火も消えたので、暫く蒸らす。


 次はおかずを作ろう。まな板とフェデカ折り畳み式料理ナイフを取り出す。このナイフは料理に特化したナイフでオピネルなどの通常のアウトドアナイフと比べると料理がしやすいので重宝している。長ネギを適当な長さに切りして白髪ネギを作る。次はベリカ豚のロース薄切りを用意して丸まらないように筋切りしておく。


 アルコールストーブに点火してスキレットに油を入れて熱する。スキレットはプレヒートして満遍なく熱が行き渡るようにすると肉がくっつかない。


 肉を投入して8割ほど焼いてからスキレットから取り出しておく。スキレットに醤油、砂糖、みりんを合わせた豚丼のタレを入れて少し煮詰める。とろみが出てきたところで肉をスキレットに再度投入!! あとはタレを絡めるように肉に火が通るまで焼いていく。


 出来たらメスティンで炊いたご飯の上に肉を載せて盛り付ける。最後に白髪ネギを肉の上に載せれば完成だ。みりんで照りを出した豚肉が宝石のように輝く。


「これは美味しそうだ。ではいただきます」


 うん、これだよ。この甘味のあるタレと豚肉の相性の良さ。ご飯が何杯でも食べれそうな美味さ!!


「こいつはたまらんですな〜」


 はふはふしながら食べていたらあっという間に完食してしまった。


「ふー、美味しかった――!!」


 食後にお湯を沸かして梅昆布茶を飲む。


「なんか、ほっとするよな〜。梅昆布茶」


 梅昆布茶を飲んでいると尾根沿いに新たなハイカーがやってきた。観光ガイドに載っているような立地なのでハイカーも多い。


「こんにちはー」


「こんにちは」


 ドワーフのハイカーに挨拶されたので挨拶を返す。


「ここ、空いてますかね?」


 ドワーフが俺の近くの場所を指して訊いてきたので答える。


「空いてますよ。どうぞ」


 ドワーフはザックを降ろすと荷物を取り出して設営を始めた。椅子とミニテーブルを設置してどっかりと座る。


 テーブルの上に薄い四角い箱を置く。大きさ的にはエスビットのポケットストーブぐらいの大きさ。観音開きの蓋の部分を開けると見た目はポケットストーブとそっくりだが、固形燃料を置く場所は無く厚めの板状の物に五徳がついている形みたいだ。板状のものには魔法陣が刻んであるので魔導具だろうか?


 ドワーフはケトルに水と挽いたコーヒー豆を入れて五徳の上に置くと板状の所に付いているツマミを操作した。すると魔法陣が光って動作中になった。


 暫くするとケトルから湯気が立ち上りお湯が沸いたようだ。


 コーヒーを淹れているドワーフに俺は話しかけた。


「すみません、そのストーブは魔導具ですか?」


 ドワーフはニヤリと笑うと自慢げに話し始めた。


「おうっ、これはな最新型の魔導ストーブだ。登山用に開発された超軽量タイプだ」


 やっぱり魔導具だ。それも最新型らしい。


「へー、最新型ですか。使い勝手はどうです?」


「ああ、これは熱だけ出るタイプでな、炎は出ないから安全かつ軽量でどんなに高い山でも確実に動作する。そのうえ炎が出るタイプのように風防は要らないから使い勝手もいいよ」


 おー、それは凄い。持ち運び式のIH調理器みたいなものか!!


「それはいいですね。ところでどこで売っています?」


「これは麓のアウトドアショップで売っていたが、人気があるので売り切れているかもしれないぞ」


「教えてくださってありがとうございます」


 俺は、ドワーフに礼を言うと尾根から撤収して下山した。そして教えてもらったアウトドアショップに行ってみたが小型魔導ストーブは人気商品につき欠品、入荷待ちだったことを付け加えておこう。



【参考文献】

北海道 豚丼ぶたどん農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/butadon_hokkaido.html


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