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おっさん、早期リタイアしてキャンピングカーでのんびり異世界ライフ  作者: 椎乃律歌
第二期 第七章 ドワーフ国その三

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第一話 モン・ジャ山ハイキング その1

 そうだ、登山に行こう。


 唐突だが俺、山野浩史(やまのひろし)は山に行くことに決めた。今いるのはドワーフ国の魔導車の町トレノから北東部にある山岳地帯の麓の町クールユイレールにあるキャンプ場。この辺りは中心に聳える標高4200メートルのモン・ジャ山と周囲を囲む森林は国定公園として整備されていて登山道は魔導車禁止だ。登山道の入り口まで魔導車で行ってから、駐車場に止めて置いて登山するようになっている。


 キャンプサイトはモン・ジャ山を始めとした雄大な山岳を眺望しながら宿泊出来るという最高のロケーションが大いに気に入った場所で、次回来る時きにはまたお世話になろうと思うほどだ。


 ハイカーの朝は早い。まだ朝日が昇る少し前にベッドからのっそりと起き出す秋田犬のナツ。まずは前脚を伸ばしてゆっくりとストレッチ。そして体をブルブルと震わせると自らの毛繕いを始める。毛繕いに満足すると俺の方にやって来て一吠えする。


「わんっ!!」

「ナツ……。あともう少し……」


 ここでナツによるペロペロ攻撃が発動した。


「うぉっ!! ナツ、ちょっとやめて!!」

「わぅっ!!」

「ナツ、起きたから、もう起きたからね!」


 起きるとナツが頭をお腹へグリグリと押し付けてくる。甘えモード発動だ。ナツも成犬に近いサイズになってきたので突撃されると一撃が重い。本人はまだ子犬だと思っているから憎めない。


「よーし、よしよし」


 俺はナツの頭を撫で回し、背中を撫で回す。するとナツは仰向けになると腹をなでてアピール。


「ほうほう、ここがいいのか。ここが気持ちいいのか、うりうり」


 俺はナツの腹を気が済むまで撫で回す。満足したナツは今度はご飯が食べたいと給餌用の皿のところに行く。


 秋田犬のナツに顔中舐められて起こされたので俺も一緒に朝食を取ることにする。焚き火は昨夜に片付けているし、これから出かけるので車内のIHコンロで簡単に目玉焼きを焼いて前日にパン屋で買ったパンで済ませる。ナツにもご飯をあげてからしばらく休憩。食べてすぐに動くと腹が痛くなるのでそのためだ。


 今回はモン・ジャ山の周囲をぐるっと巡るトレッキングコースの一部を歩く予定だ。朝早くウニキャンを登山入り口近くの駐車場に停める。


 俺とナツはウニキャンから降り立った。俺はハイキング用のバックパックに必要なものを詰め込んで背負った。ナツにはハーネスを付けてリードを繋ぐ。このハーネスは革製品が得意なドワーフに頼んで製作したものだ。


 長閑な村の小径を山に向かって歩いていく。ナツは色んなものが珍しいのか、あちこち匂いを嗅いでは垣根に首を突っ込んだりしている。


 石造をベースにしながら木造建築とのハイブリットな建物が建ち並んでいる風景を興味深く眺める。壁面も木そのままのものもあれば、漆喰で表面を塗り固めている壁もあって建物一つとっても色々な表情が垣間見える。


「ほら、ナツ行くよ!」


 ナツに呼びかけると「待って!!」と言う感じで転がるように走ってきて、そのまま前を歩いていく。尻尾をフリフリしながら先導するナツを微笑ましく眺めながらも確実に歩みを進めていく。


 突如、民家が途切れて山道を案内する立て看板に出くわす。ここからがトレッキングの本番だと気を引き締める。


 そんな俺の気持ちも知らずナツは相変わらずのマイペースで山道を登っていく。


「よーし、行くか!!」


 俺もナツにおいて行かれないように登山道をゆっくりと歩き始めた。


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