01.魔導車の街に行こう!
第六章開始です。
俺とナツは魔女島と大陸との海峡連絡フェリーから降りてドワーフ国に再び戻ってきた。そして陸路を北へと向かう。この大陸の季節は冬が終わって春になっている。南の島で過ごしているうちに冬が終わってしまったようだ。
港から直ぐ山々が見える立地なので日本の港町に似ているかもしれない。そんな長閑な街道を景色を見ながらゆったり走る。やがて谷あいに入り両側は山ばかりとなった。そんな山中の新緑を愛でながら進むとあっさりと山間を抜けて平地に出た。遠くに大きな湖が見える。ここが今回の目的地だ。
その湖周辺に大きな街が出来ている。ここには多くの魔導車工房が立ち並び。魔導車に関連する工房も集まっている。日本で言えば豊田市。ドイツで言えばヴォルフスブルク。アメリカで言えばデトロイト。そんなイメージを持ったら多分正解だ。
とりあえず屋台のために市場を探そうと地図を見ているが、この街の市場は青空市場のようだ。大きな広場で朝市として開催されているようである。今日は市場の時間も過ぎているので行くなら明日だろうな。
そんなわけで昼食に良さそうな店を探すことにした。公園の近くの石とレンガ造りの七階建ての建物。建物の前は広い駐車場になっていたのでそこにウニキャンを停める。流石、魔導車の製造で成り立っている街だ。魔導車への配慮が行き届いている。その建物の一階に質素な外観の店を見つけた。間口は狭い奥に細長い店舗。両側にカウンターがあって一〇人ぐらい座ったら満席になるような小さな店だ。
奥の調理スペースの前にはショーケースがあって幾つかのハムやチーズ。ペースト状のソース。野菜などが並んでいる。棚の上には数種類のパンが並んでいる。つまりサンドイッチ専門店のようだ。客は好きなパンと具材を選んでサンドイッチを作ってもらうスタイルのようだ。地球にも似たような店はあったな。オーソドックスにフォカッチャに似たパンにハムとチーズにレタスとトマトなどを挟んでもらい特製のソースで味付けしてもらったものを頼む。飲み物はレモネードの炭酸入りを頼む。
店の親父は注文が入るとパンを二つに切り分けてバターを塗り食材を載せてソースを掛ける。ホットサンドメーカーを大きくしたような魔道具で軽くパンの両面を焼いたら出来上がりだ。値段は八三クローナだったがボリュームと食材が高そうなので仕方ないだろう。
空いてるカウンター席に座って食べてみる。両手で持たないと食べれない大きさだ。重さも結構あるのでずっしりとしている。マヨネーズやフレンチドレッシングに似たソースがいい感じで野菜やハムと合う。野菜も新鮮でハムは地球で買ったらかなりの高級ハムではなかろうか?この世界はまだ安い大量生産の食品はあまり無いので、どうしても加工食材は高くなっちゃうのだよね。肉の味がしっかりしていて熟成も程よい感じで美味しいサンドイッチであった。
食後にレモネードを飲んで落ち着いていると店が混みだしたので慌てて店を出る。最初は客は少なかったけれど人気店なんだな。テイクアウトする人が多いようで店の外まで客が並んでいて繁盛しているようだ。
昼食後の腹ごなしにナツを連れて近くの公園に向かう。川沿いの公園で細長い感じの公園だ。公園の中に散歩道があるのでナツと歩いて見て回る。公園内には美術館があったり、図書館があったりなど文化地区のようだ。その先を少し進むとスポーツを楽しむスペースがあって運動公園となっている。小道も迷路のように入り組んでいる場所とかあって歩いていて飽きないように工夫されていて面白い。ナツも楽しそうに歩いている。春ということもあってか公園に沢山の花が咲いているのも目を楽しませてくれる。
そんなゆったりとした昼下がりをナツと一緒に過ごしたのであった。
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