11.魔女エアレースを見よう!
丘陵地帯でのキャンプと動物と戯れる生活を十分楽しんでやって来たのは北の玄関口である港町。ここは大陸に近いので晴天の時に丘に登れば対岸の大陸が薄っすらと見える。ここから大陸への移動は今回もフェリーだが乗船時間は短く二〇分程度だ。予約も無しで乗れるほど運行本数が多い。
折角の街なので屋台やったり観光したりしよう。とは言ったが、北の玄関口であるこの港町には観光名所みたいな物は特に無い。大陸からのリゾート地として発達しているみたいなので綺麗なビーチとかは一杯あるのだが時期的に海で遊ぶという気分ではないので基本は屋台となりそうだ。
何時ものように商工会議所に行ってみると受付が賑やかだ。その辺の人を捕まえて聞いてみると魔女によるレース大会があるそうだ。その関係で屋台関係の申請で混み合っているらしい。タイミングが良いので俺も屋台を出すことにした。
申請も終わったので市場にでも行ってみようと市場に向かう。ここの市場は魚市場と青果市場は別々の場所にあるようで少し手間がかかる。まずは魚市場から攻めて見ることにした。
街の規模もそんなに大きくないので魚市場も小ぢんまりとしている。全て見て回るには広すぎないので丁度良いかもしれない。適当に買い物しつつ次の青果市場に向かう。青果市場も小さめなのであまり期待してなかったが、とあるものが目に入った。見た目は長芋である。あのとろろになったりする山芋とも呼ばれる長芋。店員の魔女さんに試食をさせてもらったが間違いなく長芋だ。これはアレを作るしか無いだろう。そんなわけで長芋を適当に買い込みウニキャンに戻って試作だ。
三日後、魔女エアレース会場がある港へと向かう。魔女エアレースは魔女たちが決められたコースを飛んでそのタイムを競う競技だ。各地を転戦して戦うらしい。レースのコースは既に海上に設置されていてコース上に魔法で作られた円形のゲートが設置してある。円の直径は三メートルぐらいと正確に飛ぶのは難しそうだ。円の外周に触れると減点になるようで減点分はペナルティとしてタイムに加算される。タイムが同着だったとしてもミスが少ない方が勝ちとなるルールだ。
現在は練習中らしくて選手の皆さんがコースを練習飛行している。服装はスピードスケートのようなぴったり系の薄手の飛行服を着ている。魔法で飛ぶ時もスピード競技では軽量化は重要な要素のようだ。
そんな風景を横目に屋台の準備を始める。今回は間違いなく出店側なのでレースに出る羽目にはならないはずだ。出ろと言われても飛べないしな。
屋台で長芋があれば、やっぱりお好み焼きだろう。長芋入りの関西風お好み焼きだ。まずはキャベツをざく切り。ネギは小口切りにする。そして長芋をすりおろしておく。あらかじめ用意した出汁に長芋と小麦粉を入れて良くかき混ぜる。生地にキャベツ、ネギ、天かす、紅生姜、卵を入れて手早くかき混ぜる。後は焼くだけだ。
鉄板を熱しておき油を引いたら生地を丸い形に流し入れる。上には豚バラ肉を並べておく。片面が焼けたらひっくり返して、もう片面をしっかり焼いたらもう一度ひっくり返してソースを塗り、マヨネーズを掛けて完成だ。青のりは手持ちの分しか無かったので今回は無しである。
毎回思うがソースの匂いが客寄せの決め手になっているよな。ソースの匂いにつられて、お客さんが足を止めるから、すかさず試食を勧めると必ず買って行くのだ。そんな感じで段々と忙しくなった頃に、試合会場ではアクロバットチームによるオープニング飛行が始まっている。このチームは以前のみなと祭りのアクロバットチームと同じ人達のようだ。カラースモークが次々と大空をキャンバスに見立てて絵を描いていく。
最初の魔女さんがスタートしたようで屋台村の方まで歓声と熱気が凄い。競技が盛り上がるに従って屋台の方は一旦暇になる。昼飯近くになったらまた忙しくなるだろうということで仕込をしながら屋台村に設置してある大型のモニターで競技を見て過ごす。ただの映像ではなく実物大の立体映像なんだよね。この超絶生映像中継は、もちろん魔法技術で実現しているらしい。
そんな感じで競技は進んで昼になったので昼飯の稼ぎ時で忙しくなるので、ひたすらお好み焼きを焼いては売りまくった。おかげて昼が終わる頃には材料を使い尽くして完売となったので後片付けをして残り時間はナツと一緒に競技を見て過ごしたのであった。
細々と続けていたウニキャンも三〇万アクセスと五万ユニークを達成することが出来ました。
読者の皆様には百万の感謝の言葉を。
評価、ブックマーク、誤字報告、お好きな航空ショーが有りましたら、お気軽にお願いします。




