02.峠道を登ろう!
第三章開始記念その2♪
俺とナツはキャンプ地で朝食を取りキャンプを片付けるとウニキャンに乗り込んで旅の続きに出かける。ナツは何時もの定位置である助手席の籠の中だ。
目的地は獣人国だ。獣人国はエルフの都から街道を南下して国境沿いにある山脈を越えて獣人国に入る感じだ。大陸の北から南まで縦断するので距離はかなりある。
地図がどれぐらい正確かにもよるけれど直線距離でおおよそ一五〇〇キロメートルぐらいかな。札幌から鹿児島までの直線距離と同じぐらいだ。
実際には道なりに行くので二三〇〇キロメートルぐらいになる。休み無く走れば三〇時間ぐらいだけれどそんなに走ったら過労で死ぬな。
そんなわけで一日六時間ぐらいは走るとして五日ほどの長丁場だ。急ぐ旅ではないのでそんな感じだろうか。
エルフ国は国土的には平地が多いが国境沿いは山岳地帯になっている。始まりの村があるのも国境に近い山地にある。ただ始まりの村の標高はそんなに高くはない。国境沿いの山脈はフランスとスペインの国境にあるピレネー山脈レベル相当と見積もっている。一応街道が整備されていて魔導車も走っているのでウニモグなら問題ないだろう。
二日の夕方には国境近くの山脈の麓に着いた。明日からは山登りだ。二〇〇〇から三〇〇〇メートルクラスの山脈が連なっている。その峠道を登っていくのだ。
キャンプの準備をしながら雄大な山脈を眺める。日本じゃなかなか見れない景色だね。秋もそろそろ終わりなので暫くすると雪が降る。雪が降る前に峠を越えたいところだ。
何時ものように焚き火台で火を熾して暖を取る。今日はシチューかなとすっかり食べ慣れたエルフ風の羊肉とキャベツのシチューを作る。日本食も食べたい時に食べれるので普段は現地の料理を再現して食べている。本屋で料理本も仕入れたしね。
キャベツを刻んで鍋に骨付き羊肉とキャベツを交互に入れて塩と粒胡椒を振る。ハーブを入れて水を鍋いっぱいに入れて灰汁を取りながら二時間ほど煮込む。たったそれだけだ。
付け合せのジャガイモは別の鍋で茹でる。出来たものを皿に盛り付けて完成だ。
シンプルな料理なんだけれど美味しい。夜になると気温が急激に下がるのでより美味しく感じる。作り始めた時は豚のミルフィーユ鍋みたいだなと思ったんだよね。豚のミルフィーユ鍋も好きなのでそのうち作ろう。
ナツもご飯食べた後は膝の上で眠っている。起こさないようにそっと抱きかかえてウニキャンの中に戻ったのだった。
翌日は朝早めに出発する。天気は良いのでこのまま行ければ良いな。山の天気は変わりやすいので慎重に行こう。
麓の街を通り過ぎて川にかかる橋を越えればそこからは山道だ。狭い対向車線の道を曲がりくねりながら走っていく。谷側は日本の道路のようなガードレールはなくて低い石が積んであるだけなので慎重に行かないと危険である。
紅葉も終わりかけているが眺めは良いので気分良く走れる。朝日が西側の山肌を照らして紅葉が綺麗に見える。
暫く進むと九十九折の道になってきた。幾つものヘアピンカーブを伝わって山肌の斜面を登っていく感じ。日本のいろは坂みたいな坂を思い浮かべて欲しい。
段々高度が上がってくる感じで耳がツーンとする。ちょうど良さそうな退避場所があるのでそこでコーヒーを飲みながら一旦休憩。
休憩が終わったら峠を目指すぞ。
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誤字報告ありがとうございました。
2019/05/31
札幌から鹿児島までの距離関係を修正しました。