童話 とおりすがりのきみへ
やあ、こんにちわ。
それとも、おはようかな。
もしかしたら、こんばんわ、かもしれないね。
あ、はじめまして、だね。
ごめんごめん。
きみをここによんだのは、ぼくなんだ。
きみにちょっと、おねがいがあって。
できれば、きいてほしくてね。
ことわってくれてもいいんだ。
なにせ、かなわなくてもいいんだから。
え? なんのおねがいかって?
もしかして、きいてくれるのかい?
……あ、きくだけきく、ってことだね。
ま、いいけどさ。
ぼくがしりたいのは、ただひとつ。
ここがどこなのか、ってことさ。
あーっ! ちょっとまってよ!
わけわからないってかんじだよね! わかるけどまって!
ぼくだってわからないんだからまって!
ふう。
……だってさあ、ぼくだって、すきでここにいるんじゃなくて。
いつのまにかここにいて。
だーれもこないんだよ。ほんとうに。
で、ふらっときみがきたから。
うれしくってさ。
え、ほかにもいるだろ、って?
……え? だれもいないよ?
ま、まさか、おばけとか、なのかい?
ちがうの?
ああ、びっくりした。
うーん。とにかくぼくからは、きみしかみえないわけで。
じゃあ、ここのことについてだけど。
ぼくにはなにもわかりません!
あ、まって! だからまってって!
え? それでもすこしくらいわかったことはあるだろう、って?
え、なにもないよ? まっしろで、なにもみえないし。
きみが、どんなすがたをしているのかもわからない。
ただ、なんとなーく、だけどね。
きみ、というきもち、っていうのかな。
それが、ぼくのちかくにある、っていうことがわかるだけ。
ぼくがどんなすがたで。
ここがどんなばしょで。
きみがどこからきたのか。
なにも、わからないんだ。
って、ごめん。
たいせつなことをいってない。
ぼく、きみのかえりみちも、しらないや。
ごめん。うん。こまるよね。
よんだぼくがわるいんだけど。
そもそも、きみをとおくにかんじたから、いっしょうけんめいよんだんだ。
そしたら、きてくれたのは、わかるんだけど。
どうやってきたのかは、わからないんだよ。
え? じょうだん?
……うーん。じゃあ、きみはぼくのうしろに、なにがみえる?
きみはそこからきたんだけど。
ちなみにぼくは、かえりみちをじゃましようと。
うん。ごめん。
で、なにか、みえる?
なにかは、みえるけどわからない?
じゃ、いくといいよ。
うん? ぼくのおねがい?
きにしてくれるのかい?
ありがとう。
うーん。じゃあ、こうしよう。
もし、もういちど。
ぼくにあったら、ここから、きみがかえるまでになにがあったか。
それをはなしてくれないかな。
あ、おもしろおかしくはなしてよ。
ぼくがたのしめるように。
え? いいすぎ?
だいじょうぶだよ。ぼくはかってにたのしむから。
ああああっ! ごめん! ごめんってば! そんなきもちにならないでよ!
じゃあ、いってらっしゃい。
きみがどういうもので、どうやってそこまでいくのかもぼくはしらない。
けど、ここであえたのは。
いや、やめておこう。
もし、もういちどあえたなら、へんなはなしになっちゃうからね。
みおくりはしないよ。
ぼくはぼくで、いつでも、ここにいるから。
じゃあ。
また、ね。
ご意見ご感想ご評価などお待ちしております。
ふと、目が覚めたら、一つの物語ができたので、さっと書いてみました。
面白いかどうかは、さておき。