陽だまりの中で
おはよう、と君が言えば
おはよう、と
ただいま、と君が呟けば
おかえり、と
私は君の言葉を追いかけて
軽い相槌も
要領を得た間合いも
慣れたもので
沈黙の中でさえ薄く添い続け
関係性の深さよりも
培った
ふたりで経た時間が
ちょうど良い温度のお湯のように
私たちを包み込む
フローリングの
つやつやの陽だまり
窓の外から
別々にふたりはやってきたのに
まるで同じ部屋で
うまれたみたいに
丸くなって
あたたかい、と君が微笑めば
あったかいね、と
眠たいね、と君が呟けば
眠たいね、と
私は君の余韻を追いかけて
そこからとけてしまっても
きっと染みにもならない
私たちは
今は寝そべる淡い光
飲みかけの麦茶が入ったグラス
ふたつ並べて
君の読みかけの雑誌を
私はぱらぱらと捲り
壁掛け時計のかちこち
小さな寝息と
擦れる紙の音
開け放った窓
まるで膨らんだカーテンから
うまれたみたいに
丸くなって
そこから流れ出しても
きっと風にはならない
私たちは
まどろむ今は柔い光