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プロローグ 人魔決戦前

チートゾンビは置いといて、試験で見事に大爆死した作者が全力で書いていきます。どうぞよろしくお願いします。




「……本当に、行ってしまわれるのですか?」

「……………ああ。君はここに居れば、安全なんだ。私が迎えに来るまで、君は襲われない。私は必ず迎えに来る。だから、それまでここで待っていてくれ。」

「………わかりました。必ず、帰ってきてくださいね、私の魔王様……」

「勿論だとも、私の愛しき吸血鬼(ヴァンパイア)よ……」


彼女との現世で最後になるかもしれない口づけを交わす。


私は最強最悪の魔王としてこの世界に君臨していた。しかし、私の力は同族である筈の魔族にすら恐れられ、それでも愛してくれた我が妻と、その命を我のために捧げると忠誠を誓ってくれた数少ない忠臣達しか居なくなった。


現在、史上最強の勇者と呼ばれる人族が、私から離反した魔族の最強など、全世界の力を結集した者達が私を倒すべく私の住まう魔王城へと向かっている。

忠臣の大半は勇者達に倒され、私の元へたどり着くのも時間の問題だ。


そんな魔王城の地下深くのさらに奥。そんな場所で私は妻を恒久睡眠装置(パーマネントスリープ)の中に横たわらせた。

この装置は、来るべき時に備え、私とその仲間達が作り上げたものである。

装置の中に収容された者は心身の進退が止まり、鍵を持つ者が解錠するまで開けることが出来ない仕組みだ。

私は愛しき妻をこの装置によって、私が蘇るまで待ってもらうことにした。






現状では私だけが使える唯一無二の秘術『転魂』。文字通り、私が死んだ場合に魂が輪廻転生し、私の記憶、能力を受け継いだ状態で新しく生まれ変わるということだ。


勇者一人であれば私は勝てるだろう。しかし、奴には仲間がいる。魔法攻撃をされつつ切り込まれれば流石に長くは持たない。


私は死んでもいつか必ず転生する。そう仕組んであるが、我が妻にはそれがない。だから、私が転生して帰ってくるまで彼女を守らないといけないのだ。


何年掛かるかわからない。数万年掛かるかもしれない。原初の吸血鬼、真祖を生み出した神祖とも言われる彼女にも、数万年の時には耐えられない。

装置の中に居ても精神時間は流れてしまうが、それでも1年が2,3時間に感じられる程度だ。100年程度であれば彼女にとってはせいぜい数週間だ。尤も、その間待たせてしまうのは私としては許し難いのではあるが………。


装置は大地に流れるエネルギーを動力源としている。消費するエネルギーは極力減らし、万が一枯れたとしても僅かに流れるエネルギーで稼働し続ける。というより、遠くからエネルギーを自動的に見つけ、この地に流すため、寧ろ装置のお陰でこの地が豊かであり続けるという。

思わぬ副産物はあるが、私は装置に眠らせし彼女をこの地の繁栄の礎にするべくこの様なことをした訳では無い。必ず鍵を開けて、彼女を救い出し、再び2人で暮らすのだ。











「では。また、目覚めるまで。おやすみ、我が愛しき妻よ」

「ええ。おやすみなさい、私の愛しい旦那様」


互いに少し涙を流しつつ、私は装置の起動ボタンを押した。


カプセル状の装置の上部が閉ざされ、内部に保存魔法が霧状に多重発動。彼女を包み込み、やがて内部が白く包まれ、彼女の美しい姿は見えなくなってしまった。


少しの間、その場で涙を堪えながら立ち尽くしてしまった。































涙を吹っ切って地上の魔王城、その玉座の間に転移する。

すると、残り僅かとなった私の忠臣の一人、普段から側近として妻ほどではないが傍に居た男───バルバドスが私を見つけ、跪き、口を開けた。


「既に城門は突破され、残ったのは私とコーネリアス、フェルビアのみです。2人は正面玄関で勇者達を迎撃中です。」

「既に玄関まで来たか。2人をここまで戻せるか?」

「いえ……敵により空間遮断されまして、あくまでも時間稼ぎだと……」

「……………そうか。ならばバルバドス、ついて来い。互いに全力、最後の戦いだ。私がこの世界初の魔王になる前からずっとついてきてくれた、いや、元々私たちは親友じゃないか。妻が魔王の左腕と呼ばれたが、お前は魔王の右腕だ。どっちが周りに強いと思われていた?勿論お前だ、バルバドス。そんなお前には最高の装備を着けてもらわないと。宝物庫に行くぞ。それと………この戦いが終わったら、俺と昔みたいに一緒に遊ぼうぜ、なっ、バス。」

「…………あぁ、わかったぜヴィル、今度川行ったら思いっきり水ぶっかけてやらぁ!」

「それはこっちのセリフだ!」


昔の威勢を取り戻した私、いや俺───ヴィストル=デザストリア=フォン=マークスウェインは、古くは100年以上前からの親友、バルバドス=アークシュタインを連れて、数々の神級が揃う宝物庫へ向かい、武器を整え、玉座の間で2人、談笑を交わしながら勇者の到来を待つのだった。































「……………………来たか」

「ッ!?」

「おいおい、緊張し過ぎだっつの、前の勇者相手に引けを取らなかったバルはどこ行ったんだ?」

「べべ、別に緊張なんかしてねーよ!これは武者震いっつーやつだよ!わかるだろ!?」

「いやいや、別に冗談だって。寧ろ過剰に驚くなよ心配するじゃねーか」

「あぁーまたからかわれた!まぁ、お陰で昔は全力出せたからな。感謝してるぜ。」

「今もの間違いじゃねーの?」

「あーもー喧しいわっ!」

「ハハハハハハハ」

「チッ!たくもぅ…………」


俺が気配を感じ呟くとあからさまにバルがビクッと震えたのでからかって落ち着かせる。未だに変わらないコイツの弱点だ。


だか、次の瞬間俺が気を引き締めて、扉を睨むと、バルもすぐ切り替えて同じ場所を睨む。この切り替えの速さと持ち合わせた実力がなければ親友だからといってコイツを横に付けてはいない。





















そして……………扉が大きな音を立てて動き始めた。




遂にこの時が来た。


鍵はしっかり私の魔力を設定してあるし、転魂も私の中にしっかり仕掛けてある。後は勇者と戦うだけだ。たとえ負けても保険はあるが、出来れば勝っておきたい。バルバドスを死なせるわけにもいかない。


なによりも、長きにわたりこの地で孤立していた私が、久々に全力で戦えるというのが、戦闘狂でもなければ穏健派であったはずの私の体を熱くしていた。これからの戦いを嬉々として待ち侘びることなんて、今迄無かった。死線を潜ってきたこともある私にすら人生初の感情に、皮肉にも人生終幕が訪れるかもしれないタイミングで、私は囚われているのであった。















扉の奥から現れたのは、白銀に輝く鎧を纏う人族。これが勇者か。

そしてその後も、人族の聖女、獣人族の戦士、天人族の天使、海人族の英雄、竜人族の皇帝、そして私と忠臣達を魔族とし、自分たちは別種族として彼らに加わった魔人族の魔法使い。


合計七人の選ばれし人類最強が、私とバルバドスの前に現れた。


勇者が口を開く。


「お前が魔王か」

「いかにも」

「ならば、我々に倒され、人類の平和を取り戻させてもらうぞッ!」

「「「「「「オォ!!」」」」」」

「受けて立とう!我が相棒よ!いざ参るぞッ!」

「承知ッ!!」


私の掛け声を受けて、バルが返事し、共に前へと飛び出す。このセリフは若い時に考えていた始めの決めゼリフだったりする。この時初めて使ったもので、この受け答えを出来たということが、より互いの戦意を高めていた。


そして勇者達も時を同じくして、まるで双方打ち合わせたかのように前に飛び出す。


広大な玉座の間、扉からここまで100メートル近くある距離を一瞬でゼロにする。


「うおおおおおおおおおおッッ!!!!!」

「ウオオオオオオオオオオッッ!!!!!」


勇者は聖剣、私は魔剣をそれぞれ抜き放ち、まずは一太刀切り結ぶ。


「どおおりゃああああああッッ!!!!!」

「ふんぬううううううううッッ!!!!!」


バルバドスは魔斧を振り回し、獣人の英雄のハルバードとかち合う。


互いにまずは力調べ。まったく引けを取らない相手に、戦意の炎はさらに燃え上がる。


一度間合いをとって、再び突っ込んでいく。


魔法使いなど後衛からの攻撃を躱し、相殺しつつ、再び勇者と切り結ぶ。


「フハハハハハッ!!!ここまで熱くなる戦いは初めてだ!さぁ勇者よ!掛かってこい!歴史に残る戦いにしようじゃないか!!!」

「望むところだ!その姿、塵になるまで切り刻んでくれる!!!」

「いいぞいいぞその意気だ!さぁ来い!!!」


最早穏健派の面影が見当たらないほど高揚した気分。どれほど戦いに飢えていたかがわかる。


こんなさまを妻に見せたくはないな、と心の隅では思いつつ、歯止めの効かなくなった昂りに身を任せ、勇者達との戦闘に身を投じるのだった。































遥か昔、誰も勝つ事が出来なかった史上初にして最強の魔王と、それを倒すべく異世界から召喚された勇者がいた。


勇者は仲間を集めて魔王の配下を次々倒し、後に人魔決戦と呼ばれる最期の戦いへ向かう。


原初の魔王と呼ばれる存在に、多くの犠牲を出しつつも倒した勇者達。

最期に魔王は、「私はいずれ蘇るが、事を荒立てるつもりは無い。私亡き後、平和な世界を作るが良い」と遺したと、勇者は言った。


この言葉が確かなら、原初の魔王はいつか再び現れる。言葉は当時の王達に伝えられ、今も語り継がれているが、人々からはやがて、原初の魔王は忘れ去られていった。


いつしか再び魔王が現れるも、原初の魔王ではなく、やがてその時に召喚された勇者に倒されていった。


世界は原初の魔王の時から一万年。やがて王への伝承にすらその存在は消え、国の宝物庫の奥深くにそれを記された古文書があるのみ。再び魔王が現れ、また史上かなり強いことがわかり、勇者達が召喚された。


この時、およそ30名もの勇者が召喚されたわけだが、ここから、原初の魔王は再び歴史に現れるのであった。






これは、原初の魔王と呼ばれた者が転生し、再びこの世界に戻り、妻との邂逅を果たす物語である。

一箇所だけLINE英語通訳に頼った結果

もっといい呼び名あったら教えてください。


次回更新……書けたら

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