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prologue
魔の国と呼ばれる都市で、僕はこの世に生を受けた。
思えば、僕が生まれ落ちた瞬間から、物語は始まっていたのかもしれない。
いや、きっと始まっていたのだ。
この世界、精霊世界には、古くから伝わる伝説があった。
それは、百年に一度、世界が崩壊の危機に陥る、という何とも作り話みたいな伝説だった。
そしてもう一つ、百年に一度、その"世界の崩壊を阻止するため"の神子が、この世界のどこかで生を受ける、という伝説だった。
普通の人物なら、到底信じることができない、御伽噺だった。
そんな伝説を真実とし、"理想"を掲げて活動するアテルーナ教団。
そんな伝説など信じない、その目で見たもの以外を否定するグリモワール教団。
この世界のどこかで、二つの教団は"魔戦争"を引き起こしていた。