1話
「玲さ、運動部やらないの?」
帰ってきて早々、母が私に詰め寄るように同じことを聞きまくってくる。
まだ制服も着替えてないと言うのにせっかち極まりない母親だ。
「やらないよあんなの!」
「あら、それにしてはかなりチラシもらってるみたいだけど?」
「うぐっ……」
そう、私はあのあとバスケ部の先輩たちを振り切ったと思ったら、所狭しと先輩に囲まれてしまった。その勢いで多分運動系の全部の部活からチラシをもらったと思う。
その理由もわかっている。背が高いから。
「その身長あるんだから、私は部活続けた方がいいと思うけどねぇ……」
私のもらったチラシに目を通しながら呑気に話す母の姿に、私はため息しか出ない。
やる気のないものに力を注ぐなんて、無理にもほどがあるだろう。
女子に関わる部活、水泳部・テニス部・バドミントン部・バレー部・卓球部・女子バスケットボール部。
男子が主だけどマネージャーも希望しているということでもらった部活、サッカー部・野球部・男子バスケットボール部・陸上部・剣道部・柔道部。
これだけみても、どうして私のところには運動系の部活しか来ないんだ。背が高いだけでこんなに来るとかおかしいだろう。
「背が高い=運動ができるっていう方程式どうにかならないかなぁ……」
このレッテルのせいで私は幾度となく勘違いされ続けてもきた。
たいして運動ができるわけでもないのに勘違いのせいで妙に期待され、その期待が裏切られると急に私のことを見捨てるように遠ざかっていく人たち。
そのせいで私がどれだけ傷つき、この身長を恨んだことか。本当に勘弁してほしい。
「あら、玲は人並みにはできるんじゃない?」
「そんなことないよお母さん、むしろ出来ない部類だよ」
誰かが買いかぶったところで私の身長と運動神経はどう考えても比例しない。
いい加減他の人たちも気が付いてほしい。
「あらそう?とりあえず前向きに部活くらい考えとかないと、大学進学厳しいわよ~?」
「わかってるよー!だから一応考えてる部活はあるから!」
そう、考えてないわけじゃない。やろうと思ってる部活くらい、私の中にだってある。
「文化部」でだけど。
「あら、それなら心配ないかしら?まぁその辺はもうあなたに任せるわ。なんたって高校生だもんね」
「あったりまえ!バイトだってお母さんに一応許可もらうくらいでいいでしょう?」
「いいんじゃない?あなたがそれでいいっていうなら、私はそんなに咎めないわよ。面倒事に巻き込まれるものじゃなきゃね」
こういうときの母は他の家の母親と違ってさばさばしているからものすごく話が通る人で正直助かる。
他の友達の話を聞くと、みんな過保護になってやらせてくれない人だっているとか聞くし。その点では私は両親に恵まれた方なのかもしれない。
全体的にさばさばしている家庭で、個人の自主性をとことん尊重してくれる家庭。私はその中で育って今までの事をやりきってきたわけで。
この家庭に生まれてこなかったら多分私はこんな性格な女子にはならなかったし、本当に感謝はしている。
だけど――――――
「……玲帰ってたのか?」
「あ、陽兄」
「俺も忘れんな!」
「ただいま、泰兄」
無口でほとんど会話を交わさない私の6つ年上の兄、神影陽平と最近はバイトやらでほとんど家で顔合わせることのないせわしない8つ上の兄、神影泰輔。二人とも運動をやっていて、共にエースやらキャプテンやら大役を務めあげている。
その影響もあって私は、なにやらのサラブレット的な存在とまた勘違いをされているわけだ。
「ハァ……」
「……なんだ玲、ため息ついたら幸せ逃げる」
「十分逃げまくってるよ。この身長のせいでね」
「そんなに落ち込むなって!女子で大きいってスタイルいいっていうし!」
「そんなの気休めじゃん。二人はいいよね、男だから背が高いと人気者じゃん」
そう、二人は背が高い。二人とも180センチ台で170センチある私でも見上げるほどの身長だ。
この身長は男にとっては羨むほどのものであるし、もてる理由にだってなる。事実二人ともすごくもてているし、運動能力にも見合った身長で私が羨む理由にもなる。
でも、私の場合はと言うと―――――
「お前まだそんなこと気にしてんのかよ!気にすんな――――」
「あんたたちと違って私はこれで困ってるんだから気にするわ!!あんたたちに身長に関して言われたくない!」
泰兄を振り切ると私は自分の部屋へ一目散に逃げた。
あんなのと一緒にいたら、私はまたどんどんテンションが下がる一方じゃないか。そんなの私の中で厄介だし、困る源と話していたくもない。
このように、私の家系は大きい。とにかく身長がでかい。
母親も165センチで、平均身長よりは高い方だし、父親とか190センチ近くある。
その中で生まれた3人の子供は共に170と180。もはや軽くチート級の身長だ。
こんな家族じゃ、とにかく運動部に目もかけられるわけで、家族全員運動部所属。しかもみんなエース級の力を持っていたと言うか困りものだ。私はそんなカリスマ的な能力はもっていない。ただ平凡な高校生なんだ。
私はこの家族は嫌いじゃない。むしろ好きな方だ。
だけどこの、家計のDNAは心の底から恨むしかない。
「なんでこの家族に生まれてしまったんだろう―――――」
ベットに潜ると、ここ一番のため息が私の口からこぼれおちた。
これから始まる高校生活。
不安たっぷりなスタートに、私は耐えきれるのかと心配になるばかり。
「……はぁ」
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どうも、結構お久しぶりです。森野涼子ですw
最近は見えない翼のプロットにつまずいたのでこっちで気分転換がてらに書いた感じですw
当初は私の実体験を書こうと思ったんですけど、そうすると今まで以上に登場人物増えちゃうんで、急遽創作系にしました。
だからこの主人公のステータスも、私に似て入るけど、私じゃないですwむしろこんな家族に生まれていたら170以上の身長を私は持っていたと自負しています←
今回は全体的に家族の大体のお話。ぶっちゃけあんまり本編と関係ないかと思うけど、一応書いておくとこれから書いていく上で楽になるかなぁって思って←
ぶっちゃけこれは趣味で書くものだからね、あんまり手を入れないことにしましたwそんなのでも、いいよねっ(`・ω・´)←
ということで、今日はこの辺で失礼します(`・ω・´)