第四話 動機
翌日、スズリは学校を休んだ。
とても学校に行けるような気分ではなかった。
昨晩から自室に閉じこもりひたすらコトネのことを考えていた。
(コトネは明らかに私を憎んでいる。
私のせいで・・・。私が苦しんでいたコトネを救えなかったせいで・・・。)
ずっと泣いていたのか眼は真っ赤になっている。
気を奮い立たせて、自責の念を閉じ込めて別のことに頭を向けた。
(今回の事件は、ほんとうにコトネがやったのか?)
少しずつ冷静さを取り戻し、じっくりと考えはじめた。
報道では被害者に共通点は無いとされている。
では動機はなんなのだろう?
スズリは起きた事件について一から調べ始めた。
まず事件についての新聞記事を図書館で調べた。
殺害方法はすべてがバラバラだった。
首をへし折る、刃物での刺殺、鈍器での撲殺、地面に後頭部を叩きつける・・などなど。
改めてみていくとスズリにはあることがわかった。
それは全てがスズリの流派に存在する技術を使ったものだ。
詳しくはわからないが十分に可能な範囲だ。
(これは・・・もしかして技術を実際に試しているの・・・?)
目の前が真っ暗になるような絶望感にスズリは襲われた。
あのコトネがこんなにも変貌してしまったのか・・・。
直感にも似た確信を持ってスズリは被害者のことを
関係者に聞いてまわった。
そしてある事実が浮かんできた。
年齢も性別のでたらめで共通点は無いと思われていた
被害者に実は共通点があったのである。
(明るくて、人から好かれているような人ばかり狙われている・・・。
これは・・・・。)
今回の事件が自分へのあてつけであることをスズリは悟った。
それも技の練習を兼ねた・・・。
スズリはもう何も考えられなかった。
どうしてこんなことになったのか。
何がコトネをここまで変えたのか。
確かにスズリにもわかってはいた。
コトネが自分の性格に劣等感を感じていたことを。
実の子でないことに引け目を感じていたことを。
少しずつ溝ができていったことを。
だがスズリはコトネのことが好きだった。
可愛い妹だった。
落ち込んでいたコトネを励まそうとした。
だが・・どうしてこんなことに・・・。
自分の部屋に戻ったスズリは頭を抱えて泣いた。
どうしていいのかもうわからなかった。
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どれだけの時間そうしていたのだろう。
もう涙も出ないほどに泣きはらしたスズリは一つの答えを出した。
コトネの憎しみを全て受け止めよう。
そして警察に連れて行こう。
おそらくコトネは抵抗し激しい戦いになるだろう。
でも自分がやるしかないのだ。
これができるのは自分しかいないのだ。
そう決意したスズリは立ち上がり窓から朝日を見つめた。