↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な僕へのSOS  作者: ゆらゆらゆらり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/14

7雨の朝

 いつもの朝のように小鳥の声は聞こえてこない。強い雨が屋根を叩いている。部活の試合ということにしている以上、制服を着ていくしかない。

 しかも、これも。柔道着が入った肩かけバッグを手に取り、静かに階段を下りていく。


 母ちゃんの姿はない。昨日は21時頃に、ただいま、という声が聞こえたが、寝たふりを決め込んだ。


 テーブルの上に焼かれたソーセージとレタスがのった皿がある。焼かれていないが食パンまで用意してくれている。


 手を合わせ、それらを口へと運んでいく。ふと、目に止まった伝言板。そこには、『がんばれ』、とある。


「ごめん」


 本当は試合なんかじゃないんだ。焼かないままの食パンも口に押し込んだ。



 傘を差して門をでると、淡いブルーの傘が目に止まった。制服姿でスポーツバッグを襷がけにした美和が近づいてくる。


 こんなに早く――まだ5時だっていうのに、もう試合に行くのか。


「いやあ、こっちも柔道の試合があったんだよね」


 頭に浮かんだ嘘が口をつく。


「バッカじゃないの」、一刀両断するような鋭い言葉が返ってきた。続けて、「ほら、行くよ」


 美和は向きを変えて、歩きだしている。


 慌てて後を追い、「試合に行くんじゃ?」


 美和の足は止まらず、こっちを一瞥して、「そんな格好をしてるってことは、そっちも同じような理由か」


「えっ?」


 どういうこと?


「嘘が下手なくせに、気ばっか回すんだから」


 電話での嘘は全て見透かされていたのだろうか。だけど、美和の場合は本当に試合が、「いや、でも、試合は?」


「そんなことより、急がないと始発に乗り遅れちゃうよ」


 微かな笑みを浮かべ、足を速めていく。


 きっと、美和も、朔じいに余計な心配をさせないように、僕と同じように嘘をついてきたのだろう。申し訳なさを感じながらも、ホッとする自分がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。